とある外道の6人組   作:毛糸ー

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14.来たるべき咎人の姿

――デンマーク:ミミル湖――

 

「おお?……やっと来たか、遅いぞ。はははは」

 

 トールの遺体をミミル湖に投げ込み、暇を持て余していた猩々は、ターゲットの到来を察知し、笑った。その目線の先にいるのは上条当麻とオティヌス。しばし猩々の発する異様な雰囲気に固まっていた二人であったが、オティヌスが口を開く。

 

「……何の用だ?」

「クククク……これは長老が怒るのも分かるというものだ」

 

 猩々はゆっくりと立ち上がる。穏やかな、だが剣呑とした目つきを見て、上条はオティヌスをミミル湖の方に押しやる。そして喋り出す。戯言を。猩々にとって果てしなく意味のない妄言を。

 

「……あんたはオティヌスを憎んでるかも「ああ、違う違う。奴がやった悪行自慢なんぞ興味はないし、個人的な恨みなんて一切ないんだ」えっ?」

 

 困惑する上条をよそに、猩々は微笑む。

 

「奴の罪業や償い云々に興味はない。奴をはるばる見に来たのさ」

「何のためにだ!?」

「気になるだろ?魔神の()()。人間のまがい物染みているのか、それとも全く人間とは違うのか……今からはらわたを掻っ捌くのが楽しみだ……!」

 

 猩々の恍惚が恐るべき殺気に裏返った。上条が仕掛ける。右拳を構え、殴りかかる!

 

「イヤーッ!」

「ごぼっ……!?」

 

 猩々は半身となって躱し、掌底を心臓にぶち当てる!上条は倒れる!当然だ。心臓の拍動に合わせて掌底を打ち込んだ。ゆえに、心臓は止まる。心臓が止まれば身体中の細胞が酸素を受け取れず、死ぬ。自明の理だ。

 

(……もはや立てまい)

 

 そのままオティヌスを追わんとした猩々だったが、上条は死んではいなかった。彼はインパクトの瞬間、本能に従い体をほんの少し後退させ、心臓への衝撃を極々僅かに軽減していたのだ。しかし、彼に出来たのは蛆虫めいて這うだけ。

 

 猩々は驚くも、鼻を鳴らして足を払う。それと同時に、ミミル湖に異常が起きた。凄まじい振動が襲い掛かり、ミミル湖にいるオティヌスの背からは、巨大な羽めいた何かが映えているが如し……!

 

「ははははははは。勝手に自殺してくれるとは、何とありがたい」

 

 羽状巨大物体の正体が、世界をも吹き飛ばす『(いしゆみ)』であることを知らぬゆえ、牧歌的な猩々。這い出そうとした上条の背を踏みつけ気絶させ、ゆっくりと歩きだす。

 

 オティヌスがひび割れ滅びていく様を見て、猩々は歩みを速める。はらわたを掻っ捌く前に死なれては興醒めだ。

 

 BRATTTT!BRATTT!突如、猩々の身体が横に弾かれる!……否、目にも止まらぬ速度での側転回避だ!

 

「何のつもりだ?……殺さずに()()()()()()のが分からなかったのか?やはり愚かなのか?」

「……てめぇ、あいつよりよほど碌でもない野郎じゃねぇか」

 

 怒りを押し殺すように呟くのは、イングリッド=マーティン軍曹。アメリカ軍人であり、一度はオティヌスや上条を捕らえるも、上条が大統領を説得したために彼らの監視につくことになった。そこで猩々の非道を目撃し、怒りのままに銃撃したのだ。

 

 そして、オティヌスらを監視し、猩々に怒りを覚えたのは彼だけではない。彼の横で雪が盛り上がる。3つだ。一つは赤い修道着を纏う女。また一つはボンテージめいた格好をした小娘。最後はラクロス女学生めいたガキ。

 

「全く……鼠駆除はきちんとしなければならん、とまた一つ学んだよ」

「ゲス野郎が」

 

 ラクロス少女、レッサーの言葉に応じることもなく、ゆっくりと闖入者の方に足を進める。ゆっくりと懐に手を入れると同時に、闖入者どもが襲い掛かって来た!




あの監視の風景ってどこからどこまでが放送されてたんだ?
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