とある外道の6人組   作:毛糸ー

139 / 203
新約 第7章:魔神の掌で踊る蜂と蟻
0.廃棄処分


――『6人組』定例会――

 

蜜蟻愛愉(みつありあゆ)……確か蠢動、おんしが()()しとったんじゃったか?」

 

 議題に出た蜜蟻愛愉とは、元々食蜂操祈のスペアとして育成されていた能力者である。しかし、諸々の事情あって自殺を図り、そこを蠢動俊三が回収。心理掌握(メンタルアウト)の能力を持つ食蜂操祈を強奪するための駒として生かしていたのだ。

 

「その通り。だが、今は正直、不要な駒だ」

「我々が作ってしまったからな。ファイブオーバー:モデル・メンタルアウトを」

 

 蠢動が断言し、多々羅が補足するように、現在蠢動が心理掌握(メンタルアウト)を確保する必要性は薄い。『目覚め待つ宵闇』の魔術、分類不能(ブランクペーパー)により、ファイブオーバー:モデル・メンタルアウトを作る道が開かれてしまったからだ。

 

 だがしかし、蠢動が裏から手をまわしたせいで蜜蟻は無視できぬほどに力を身に着けている。そして、このままならば食蜂操祈とぶつかるだろう。普通ならば、そのまま放っておけばよい。だが、それが出来ない理由があった。

 

「蠢動殿、そういえばあなたは木原脳幹に目を付けられていたんじゃなかったかな?」

「……その通りだ。そして、我々『スウォーム』だけで奴をどうにかする手立てもない」

 

 然り。蠢動は以前、強引に心理掌握(メンタルアウト)の能力を強奪しようとした際、木原脳幹に爆殺されかけている。そのせいで彼は今、シャチの姿でいる。今度蜜蟻が騒ぎを起こせば、確実に脳幹がやって来る。

 

 蠢動も脳幹を迎撃するための兵器は用意していたが、先日の『目覚め待つ宵闇』との交戦を見ると、あれがどれだけ役に立つか疑わしい。

 

「どうするのだ?処分するつもりなら、自我破壊して兵士としてくれいまいか?我々はいつでも、新たな兵士を欲している……」

「自我を破壊すると能力を使えなくなる。ドローム、貴様なら奴を殺せるんじゃないのか?」

 

 甘粕の要請を断った蠢動は、ドロームに尋ねる。聖人に匹敵するローマの十三騎士団を虐殺したドロームならば、アレイスターの虎の子ともいえる脳幹を苦も無く消せるだろう。だが。

 

「ま、そりゃあんな犬っころ、ワシにかかりゃ簡単にブチ殺せる。ただ、奴をブチ殺すとアレイスターが己の全兵力をワシらに差し向けて来るじゃろな。ワシらの兵力も無限じゃないからの。漏れが出るとおんしらやザゾグの首が取られる可能性も出て来る」

「アレイスター君が()()を発動するだけで僕らは戦力外になってしまうしねぇ。本気になられたら特能総研の守りもすぐにはがされてしまうだろうし、ザゾグ君もいまだ眠りの中だしねぇ」

「俺もこんな体の都合、逃げ隠れは出来んしな。水槽を破壊されれば死ぬしかない」

 

 木原脳幹が死んだ結果、アレイスターがなりふり構わなくなれば、『6人組』の欠員も考えられる。ドロームとしては、それは避けたい。『6人組』なのに欠員がいるなぞ、笑い話にもならないからだ。

 

「かといって、蜜蟻とやらをブチ殺すのも惜しい……。あのツンツン頭の小僧に懸想しとるクソアマと共倒れしてほしいもんじゃが……」

「あのガキの一番厄介な所は、手を出すと横から茶々を入れてくる連中が多すぎるところだしな。一人でも削れれば、それに越したことはない」

 

 ただ、ドロームとアーランズが言うように、蜜蟻が食蜂を消してくれるなら万々歳と言った所だ。あのツンツン頭の上条当麻とかいう小僧は、要所要所で『6人組』の計画を邪魔している。一匹だけなら良いものを、上条当麻につられて多くのクソ共が湧く。そのクソを一匹でも駆除できる機会を逃すわけにはいかない。

 

「……やはり、貴様ら『鋼龍』か『目覚め待つ宵闇』があの、蜜蟻とかいう小娘の手助けをしてやる他ないのではないか?」

「そうやのう。そこで派手な騒ぎを起こしとる間に、蠢動、おんしをシャチの身体から出す」

「ハァッ!?」

 

 思いもよらぬ話になった蠢動は吃驚する。シャチのボディには、それなりに思い入れがある。それに、騒ぎを起こす、とはどういう意味だ?

 

「ま、おんしの気持ちも分からんでもない。おんし、シャチ好きだからの」

「いや、確かにシャチは好きだが「ま、ええから。説明してくれや、幻生の爺さんよォ」

「ひょひょひょひょ……分かったよ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。