――特能総研――
「ひょひょひょひょ……あれの調子はどうかな?『博士』」
「幻生殿か。ああ。順調に調整が進んでいるよ。
幻生と『博士』の二人の背にあるのは、ゲルめいた質感のタコめいたシルエット。これこそは超能力者の一人、
彼らはこの代物を蠢動俊三の新たなボディにしようとしているのだ。こいつはデザイナーズゲルと呼ばれる人間の手で再デザインされた脂肪で作られており、機械でありながら身に纏うことができる。デザイナーズゲルに蠢動の遺伝子を混ぜ込めば拒絶反応も起こり得ない。
これこそ、
「しかしまぁ、蜜蟻君も不幸だね。ファイブオーバーOSはこうして完成品があるというのに、試作品を掴まされるとは」
「ドローム君は間違いなく『聞かなかったのが悪いんじゃ!』と言うだろうけど、一度動かしたい所ではあるよねぇ。何てったって、この完成品はアーランズ君のよく分からない魔術で
二人が雑談する中、モニターとにらめっこする男が一人。木原乱数である。彼は木原交雑の離脱後、本来の専門である感情刺激物質に加え、細菌の培養も請け負っている。その彼は、現在蜜蟻に
「どうかな乱数君。生体恋査システムは?」
博士が言う生体恋査システムとは、ボディの構造を自在に組み替え、第七位以外の超能力者の能力を用いることができるサイボーグ、恋査を生体改造によって再現せんとする悪魔的バイオサイバネ研究である!
このシステムが実用化されれば、従来凄まじい維持費がかかる恋査を比較的安価に運用し、加えて学園都市の超能力者の能力を量産し得る……!その試金石にされたのが蜜蟻愛愉である。無論、彼女はこのことを知らぬ。己が手に入れたと錯覚しているファイブオーバーOSに体を馴染ませるための手術程度にしか思っていないだろう。
ドローム達は過去に蜜蟻が上条と親密な関係にあったことを知っている。ゆえに、土壇場で下らぬ仏心を出し、食蜂を見逃す愚を犯す可能性が高いと踏み、
「良好っすね。今すぐ発動しろといわれりゃすぐにでも発動できます」
「ひょひょひょ……それならいいんだけどねぇ」
――
「……これ本当にやるの?レベル5の搾取なんて、面倒なことになる予感しかしないけど、あの男ちゃんと脳味噌がついてるのかしら?」
「諦めろ。ドロームがやる、といったらやるしかないんだよ」
「そうだぜ。俺達のやる事と言ったら、あの小娘の持つ試作品ファイブオーバーOSの
ここは、『スウォーム』のアジト。弱音を吐くベニゾメをたしなめる山手と佐久。実際、諸々の証拠隠滅に比べれば今回の仕事は楽と言える。
「やめてよね。……分かってるわよ、私だって。ただ、嫌な予感がするのよね……」
「所詮は小娘共の相手だ。気楽に行こうぜ」
2024/09/26 ファイブオーバーOS:モデルケース・メンタルアウトの説明を追加
2024/09/29 護衛がいる旨を追加。