とある外道の6人組   作:毛糸ー

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『1.いい計画は綿密な下準備から』に護衛の一件についての説明を追加しておきました。


5.一方その頃二人は……

――第十五学区――

 

「全く、この女、躾がなっておらんな。どこの小娘だ?」

「……この制服は常盤台の奴らだ。大方()()()()の危機に動かされたんだろうよ」

 

 猩々と山手が意識を断たれた女学生の前で話し合う。この女子高生は山手に攻撃を仕掛けようとしたところ、猩々の跳び蹴りをくらい、続けざまに放たれた首筋にチョップを叩き込み気絶させる魔技、アテミの一撃で昏倒した。

 

「どうせその()()()()とやらは死ぬのだし、ここで殺してやった方が後腐れなかろう!はははは!」

「……やめとけ」

 

 哄笑する猩々を控えめに止めようとする山手。その表情は苦々しい。それに気づかぬ猩々ではない。当然、その故を問う。

 

「……どうした?」

「あの小娘はな、食蜂操祈に執着している。悪い方向にな」

「……?それがどうした?奴には執着故のいたぶりに走った所で封殺できるだけの力は授けられているだろう?」

 

 猩々には山手の懸念が理解できぬ。蠢動俊三が裏から蜜蟻に今まで供してきた兵器・身体改造を加味すれば、多少の()()があった所で、問題なく蜜蟻は食蜂を殺せるだろう。だが、それは蜜蟻が食蜂を()()という前提の元に成り立つ。

 

「残念ながら、あの小娘は食蜂を()()()()()()()()()()()()()()()。けど、そんなのはよほど上手くやらないと反撃を食らうってことは……」

 

 山手は素性を隠して配下として蜜蟻と接している際に見つけた危うさを打ち明ける。暴力に習熟した猩々も、山手の言いたいことを察する。

 

「……俺達が一番よく知っているな。あの小娘は暴力の素人、今まで誰も、自分の手で縊り殺したこともないカスだろう?」

「そうだ。あんたも察してるとは思うが、蜜蟻の奴の企みが上手くいくなんて俺は思ってねぇ」

「なるほどねぇ。なら、コイツを殺すわけにはいかんな。無事に帰って来た()()()()が怒るかもしれんからな!ははは!」

 

 猩々は発言と裏腹に大して気負う様子もなく、女子高生を蹴飛ばす。蹴りが向かったのは腰。本気ではないとはいえ、運が悪ければ死ぬまで下半身が動かなくなるであろう。それを咎めることもなく歩き出す山手。猩々は遅れて隠れながらついて行く……。

 

――第十区――

 

 佐久・山手が比較的スムーズに視点協力者の任務へ戻ったのと対照的に、ベニゾメは大声を上げる必要に駆られていた。護衛をしていたザン・ニンがアンブッシュで襲撃者の意識を刈り取ったはいいものの、横合いからやってきた浦々が襲撃してきた常盤台生の懐をまさぐり始めたのだ。

 

「やめてよね!その小娘が死んだらどうするの!?常盤台の学生が死んだら凄まじい面倒が舞い込むんだからやめてよね!?」

 

 ベニゾメは熱蒸気を吹き出しながら懐漁りをする浦々を止めようとするが、止まらぬ。浦々は賽に借金をしており、カネはいくらあっても足りない。

 

「……金は天下の回り物だろ?コイツは金を持ってる。俺は金が必要だ。金を持ってる奴から金を奪うのはあれだろ、経済を回してるだろうがよ!」

「……ベニゾメさんよ、諦めろ。コイツは金目の物を全部奪ったらどこぞに消えるだろう。明らかに金を何度も引き出せる相手を殺すほど、コイツは阿呆ではない」

 

 既にザン・ニンは浦々を押し留めることを諦めている。今更浦々を翻意させた所でどさくさにまぎれて漁り盗った金目の物は根こそぎ持っていくだろう。ザン・ニンとベニゾメの二人は溜息をつく。浦々の懐漁りはいまだ終わる気配がない……。

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