とある外道の6人組   作:毛糸ー

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6.派手な舞台の裏側で

――『ストレンジの九龍城』:椎名朗々の居室――

 

 椎名朗々は己の居室に敷き詰められたスパコン群の上でアグラを掻いている。無論、ただ休んでいるわけではない。その身から毒電波を発し、アレイスターの滞空回線(アンダーライン)による監視網を妨害しているのだ。

 

 毒電波、といっても浴びれば即発狂というような代物ではない。ただ、滞空回線(アンダーライン)だけを問答無用で、何があろうと破壊するだけのものだ。人が浴びても影響はない。しかし、学園都市内の情報収集をほとんど滞空回線(アンダーライン)に頼っているアレイスターにとっては致命的なものだ。

 

 この毒電波により、アレイスターが蠢動俊三改造手術に感づかないようにするのが朗々の役目である。無論、朗々の力をもってすれば学園都市の機能を全て破壊しつくすことも出来よう。しかし、そうしない。()()()()()()と蠢動俊三の移動問題を解決しない限り、学園都市を滅ぼしても『6人組』が損をするからだ。

 

 ザゾグの方は目途が立っていないが、蠢動の方は今回を乗り切れば片が付く。椎名朗々は瞑想を深めていく……!

 

――天体水球(セレストアクアリウム)隠しエレベーター――

 

 誰も乗っていないエレベーター内でスズメバチが顎を打ち鳴らす音を数倍大きくしたようなガチガチ、という音が響く。消音加工のされた扉と床、三方の壁から視線を上げると、巨大な蟲だ。棘に覆われた足に、燃え上がるが如き三つの複眼。その外観は蜂と人のキメラめいていた。

 

 この怪物は、『スウォーム』によって使役されている。普段は天体水球(セレストアクアリウム)の天井裏でタバコと薬物を吸いながら過ごしているが、この度エレベーター内の()()に駆り出されたのだ。

 

 今回蠢動が主導するプロジェクトは成功しようと失敗しようとアレイスターに睨まれることは明白。その刺客として選ばれるのは恐らくは木原脳幹。過去にこの木原一族の重鎮に殺され、そしてその力の一端を見るに至った蠢動は、足止めのためにこの蟲を放ったのだ。

 

 キチキチキチキチ、ガチガチガチガチ。蟲は顎を打ち鳴らす。その顎と爪の標的がやって来るまで。

 

――天体水球(セレストアクアリウム)最上階バックヤード――

 

 隠しエレベーター内に蟲が待機している頃、いよいよ蠢動の身体の問題を解決する手術が始まろうとしていた。執刀医は『解体屋(バラシヤ)』。傍には死にたてのタコめいてべしゃりと横たわるファイブオーバーOS:モデルケース・メンタルアウト。

 

 そして手術台に横たわるのは蠢動俊三……が身体を借りているシャチ。『解体屋(バラシヤ)』はローブの中から複数のアームがせり出す。『解体屋(バラシヤ)』は眼下のシャチを厳かに見下ろす……!

 

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