とある外道の6人組   作:毛糸ー

146 / 203
7.撤収!解散!

――天体水球(セレストアクアリウム)バックヤード――

 

「手術、完了。……楽な手術だったなぁ」

「ああ……礼を言う」

 

 『解体屋(バラシヤ)』の声で目を覚ますと、蠢動は己の身体を見る。その身体は、まさしく己が蜜蟻に与えたファイブオーバーOS:モデルケース・メンタルアウトのタコ状ボディそのもの。わざわざ陸上では不便なシャチに脳を組み込むほど外見に気を使う蠢動にとっては不本意な姿。

 

「チッ……我ながら、デザインセンスが終わっているな」

 

 人工的に作られた脂肪であるデザイナーズ・ゲルであるファイブオーバーOS:モデルケース・メンタルアウトは、その姿を自由に変えることができる。ゴボゴボ、コポコポという音と共に、デザイナーズゲルが変形していく。蠢動俊三の()()姿()をとったかと思うと、更に変形していく。

 

 最終的に、蠢動はシャチに昆虫めいた六足がくっついた姿となった。かすかに首を動かし、納得した様子だ。その様に『解体屋(バラシヤ)』はドン引きしているが、蠢動は気にしていない。

 

「うん、これだな。やはり、こうでなくては。姿に気を使わなくては人間とは言えないからな」

「貴様はあれかぁ?シャチが異常に好きなんだなぁ」

 

 一通り体を動かすと、蠢動は『解体屋(バラシヤ)』に目を向ける。『解体屋(バラシヤ)』の()()()が終わり次第、蠢動はここを離れる予定だからだ。……そして、蠢動率いる『スウォーム』はここに戻ることは無い。

 

 『解体屋(バラシヤ)』についてきたゴロツキ共がバックヤードにある資料や機械を全て持ち出し次第彼らはここを離れ、第十区の予備アジトに向かう。滞空回線(アンダーライン)は毒電波で使用できなくなっているため、この動きがアレイスターに悟られることは無い。

 

 蠢動は己が散々利用した小娘に思いを馳せる。今頃は無駄な仏心を出して自滅している所だろうか。チンピラ共の呼ぶ声を聞き物思いを中断した蠢動は、一度だけ長年の隠れ家を振り返ると『解体屋(バラシヤ)』達の後をついて行った。

 

――特能総研――

 

 蠢動達が天体水球(セレストアクアリウム)を引き払った後、一報が木原乱数たちに届いた。

 

「乱数君、『スウォーム』の一味から連絡だ。蜜蟻の生体『恋査』、無理に発動しなくてもいいらしい。自滅しかけているならそのままにしろ、だそうだ」

 

 『博士』が各地の滞空回線(アンダーライン)から送られてくる映像*1を睨みつけるように見ている乱数に声をかける。乱数の目だけがこちらを向く。

 

「……おい、ザゾグさんの悲願だろ、生体『恋査』は。それを『発動しなくてもいい』ってのはないだろ」

 

 乱数は『博士』に反論するも、幻生が間に入る。

 

「ひょひょひょ。生体『恋査』の実証はタタラがやるらしい。()()()()()()()()()()、連絡……いや命令が来たよ」

「……!!」

 

 乱数の喉が干上がる。ドロームはあのザゾグが、アレイスターや統括理事会すら畏れぬザゾグが唯一従う相手。逆らえば自分など……。

 

「……分かったよ」

 

 ゆっくりと乱数は生体『恋査』を制御するボタンから手を放す。彼が見ていた画面の先では、丁度上条当麻が食蜂と蜜蟻の元に現れるところであった……。

 

――天体水球(セレストアクアリウム)前――

 

「…………」

 

 一匹のゴールデンレトリバーが天体水球(セレストアクアリウム)を睨みつけている。演算回路を外付けされたゴールデンレトリバーである彼こそ、木原脳幹。木原一族の重鎮にしてアレイスターの懐刀。

 

 今回、アレイスターが不在の間に増長し、再合流も拒んだ連中を殺す任務に就き、蠢動俊三以外を殺した。だが、最後の一人である蠢動はアレイスターが手を出せずまごついている悪性、『峰岸』に繋がっている疑いがある。

 

 木原脳幹は深呼吸をすると、天体水球(セレストアクアリウム)に踏み込む……!

*1
椎名朗々が発する毒電波はアレイスターとそれに与するものにのみ影響を与える。




決意固めている所悪いけど、奴はもういないぜ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。