とある外道の6人組   作:毛糸ー

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学校始まる詐欺を何回かやらかしましたが、今回は本当に学校始まってるので、もしかしたら
週1、いやそれ以上に更新の頻度が下がるかもしれません。
ですがこれからも、「とある外道の6人組」を、よろしくお願いします!


2.大山鳴動して鼠一匹

――神奈川県・上条家近辺――

 

 『水翼』が変じた肉塊にまみれながら、アンドレは笑う。『神の力』を殺すために。

 

「ヒャハハァ―ッ!」

 

 アンドレは哄笑と共に『神の力』を仕留めんと飛び掛かる!『神の力』は飛び下がって避ける!

 

CRAAAAAAAAAAACK!

 

 空振りしたアンドレの一撃はしかし、足元のアスファルト地面を破壊し、巨大なヒビを入れた!

 

「くっ……!」

(奴をこれ以上暴れさせるわけにはいかない!)

 

 神裂はアスファルトに入ったヒビを見て、我に返った。あれほどの力がサーシャ=クロイツェフの体に振るわれれば、その体は木っ端微塵となろう。『神の力』を斬ることさえためらう神裂である。『神の力』を宿したサーシャ=クロイツェフの体が木っ端微塵になることなど、望むはずもなかった。

 加えて、仮にあのレベルの一撃が何度もアスファルトにぶち込まれれば、ここの住人にも何らかの悪影響があるのは必定。まして何かの間違いで家屋に当たったら、留守や空き家でもない限り死人が出るだろう。

 それは一般通念と神裂の『魔法名』、どちらにおいても看過できない……!

 

「止まりなさい!『食人鬼』!その力を無闇に振るえば、どうなるか分かっているのですか!」

 

 しかしアンドレは、神裂の呼びかけを鼻で笑い、『神の力』を追う!そしてまた、一撃!さらに道路にヒビ!

 

「ハッハァ―ッ!」

 

CRAAAAAAAAAAACK!

 

 だが『神の力』は回避!アンドレが攻撃した隙を狙い、『水翼』を振り下ろす!

 

「……隙を狙えば殺せるとでも?そいつは俺を舐めすぎじャねェかァ?ガガンボモドキがよォーッ!」

 

 ……しかし、神を『肉』に引き摺り堕とす技術の粋を集めた怪物を、神の使い如きが殺せる道理もなかった。攻撃を仕掛けていない側の腕が、まるで関節がないかの如く180°回転すると、『水翼』に赤いケズメが突き刺さり、肉塊に変わる!

 

「……lkd飛翔xz不可ml逃走mz」

 

「待てコルァァッ!」

 

 『神の力』は全力で逃走!そしてアンドレはそれを追う!

 

「……アァ?」

 

 しかし鋼の糸が巻き付き、アンドレの自由を奪う!神裂火織の仕業である!

 

「何だお前コラ。どういうつもりだ?遺言あるなら、聞くぜ?」

 

「……もう一度聞きましょう。その力を無闇に振るえば、どうなるか分かっているのですか?」

 

「そりゃお前、建設会社が喜ぶだろ。こんなでかいヒビが入ってんだ、直したら相当な金が入るだろうぜ。」

 

「本気で言っているのですか!?」

 

「ジョークに決まッてるだろ。ユーモアセンスのねェ奴だ。……あーあー、天使の野郎どッか行ッちまいやがッた。で、力をふるうとどうなるかッて話だッたよなァ……。楽しいことになる。それ以外に、考える必要があるか?」

 

 神裂はギリッ、と歯ぎしりをすると、何も言わずに鋼糸の締め付けを強めた!並の相手ならばこの時点で音を上げただろう!だが、アンドレは怪物揃いの「鋼龍」の中でも有数の化け物である!

 神裂の歯ぎしり、鋼糸でアンドレを斬らない手ぬるさ、決意を全て鼻で笑うと、前進しようともがき始めた!

 

 天使を、殺すために!

 

 無論神裂も黙ってはいない!全力で踏ん張り、そして鋼糸を渾身の力で引く!アンドレも譲らぬ!両者は渾身の力を振り絞り、拮抗する!鍔迫り合いの如し!両者の体は渾身の力を籠められ、小刻みに震える!

 傍目からは、ただの均衡。されど、当人たちにしてみれば、力、そして意地のぶつけ合いであった!

 

 アンドレが前進しようとすれば、神裂は鋼糸を引き、神裂が引き寄せんとすれば、アンドレは前方へ力を集中する……!

 

 トモエじみた鋼糸の綱引きの中で、ついに”綱”の方が悲鳴を上げ始めた。ギチギチと、嫌な音を立てながら軋み始めたのだ!

 神裂、アンドレの双方が、鋼糸の綱は長くはもたぬこと、そして鋼糸が切れた時が戦端を開く時となることを悟っていた。そして、”綱”はさらに軋む!

 

 ギチギチから、今にも”綱”が千切れそうな、ギギギギギという軋みに変わるまで、そう時間はかからなかった。だが、神裂が祈り、アンドレが蔑む神は、この二人に興醒めな結果を用意していた。

 

 『神の力』により広がっていた夜空が、夕暮れへと戻ってしまったのだ。

 即ち、『 御使堕し(エンゼルフォール)』の儀式場―――お土産のせいで、偶然魔術の儀式場と化した上条当麻の実家―――が土御門元春の手により、跡形もなく吹き飛んだということである。

 

「……チッ。興醒めだ。帰る。」

 

 アンドレはそれだけ言うと、()()()()()()()()()()()()()、消えた。

 

 神裂は尻もちをつき、『 御使堕し(エンゼルフォール)』が終結したこと、『食人鬼』アンドレが消えたことに安堵したのだった……。




この小説をお気に入りにしてくれた読者の皆さん、本当にありがとうございます!

感想、高評価などよろしくお願いします!

旧約4巻編はこれで終わりです。

※2023/10/21 改稿
※2023/10/28 改題
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