――特能総研――
木原幻生と『博士』は、奇妙な夢から目覚めた際、すぐにザゾグが寝ているはずの部屋に向かった。奇妙な胸騒ぎと共に足早に立ち入り、ベッドの回りの白カーテンを剥ぐと、そこには空のベッドと乱暴に取られた点滴と電極。そして枕の側に置かれた紙に一言。
「私は帰って来た。アレイスター、震えて眠れ」
それを見た木原幻生と『博士』は顔を見合わせ、取り合えずドロームへ連絡した。動揺はなかった。以前のドロームの言からすると、これもある種予定調和だったからだ。
だが余裕の表情も、応接間のソファで雑魚寝していたはずの木原乱数の姿がない事に気付くと、曇った。当惑気な表情で『博士』が幻生に問う。
「……乱数君はどこに行ったと思う?幻生氏」
「うーん……ザゾグ君は彼の常在細菌を利用したスーツにいたく感心していたけど、連れて行ったのかな?何が狙いなのかはちょっと絞り切れないねぇ。彼が目覚めたらやりたいと思うことはいっぱいあるからねぇ」
二人は歩きながら
――ストレンジの九龍城:ドロームの居室――
「……来たか!」
ドロームは幻生らから連絡を受け取ると椅子を蹴倒し、勢いよく立ち上がる。ザゾグが目覚めた。
きっかけは”ドローム達の世界”にあるバベル大図書館*1の主、ザゾグ・ザンリックが失踪したことだった。当然司書共は慌てふためき、裏社会の顔役の一人であるドロームに多額の金と共に捜索を依頼したのだ。
当初、ドロームは事態を軽く考えていた。だが、状況は彼の想定より数段厄介だった。調べていくうちに異世界転生教なるカルト宗教の行った実験にザゾグが偶然巻き込まれたことがわかったのだ。
異世界転生教はキラー・Bがプロデュースしたカルトの一つで、その名の通り今の人生を捨て、異世界で第二の人生を歩むことを教義としている。彼らが行った実験は、”別世界”へつながるワープゲートを開き、異世界転生の扉を開くというものだった。”ドロームの世界”の魔術師なら容易い儀式だ。
しかし、カルトのアホ共はワープゲートを正しい位置に開くことも出来ず、丁度ザゾグがいた位置に開いてしまったのだ。当然ザゾグはワープゲートに飲み込まれ失踪。そんな体たらくのカルトであるから、ゲートの先がどこかも知らなかった。
ダウジングと”覗き見”と勘を利用しザゾグを何とか見つけ出した時には、ザゾグは自失状態に陥り、ロンドンをうろつく都市伝説怪異めいた存在に墜ちていた。その頃にはアーランズと意気投合し、”この世界”で暗躍するつもりではあったが。
それはさておきドロームは気付けを試みたがザゾグの記憶は戻らず、恐るべき探究者としての頭脳とアレイスターへの憎悪のみを携えた中途半端な状態で学園都市に向かってしまった。そこでザゾグが種々のトラブルを引き込みやがったのでドロームはその対応に追われた。
それでもザゾグの記憶は戻らずにいたが、ここに来て奴にとっての
ちょっとプロットとか変更が多いので短めで。