とある外道の6人組   作:毛糸ー

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8.帰って来たザゾグと前々から企んでいたドローム

――ダイヤノイド最下層――

 

 己の前でわだかまる霧を前に、ザゾグは足を止める。始めは茫洋とした霧が、だんだんと形をとっていく。アグラ姿勢の影が取った形を見、ザゾグは眉根を寄せ、乱数は目を見開く。

 

「……何の用だ。ドローム」

 

 然り!ザゾグが口にしたように、形をとった霧はアグラ姿勢のドロームとなったのだ!ドロームはいつも通りのニタニタ笑いを浮かべながら驚愕の中にいるザゾグらに話しかける……!

 

「のう、ザゾグよ。上条当麻を殺すのはいったん待ってくれんかのう?」

「ふざけるな、貴様ァ!我々がやっているのは元をただせば貴様の尻拭いだ!それを、止めろだと?」

 

 ドロームの発言で一気に殺気立ったザゾグは、今にもドロームにつかみかからんとす。それをゆったりと躱しながらドロームは言葉を続ける。

 

「いやぁの、おんしが間抜けにもおねんねしとる最中、アレイスターの奴が蠢動の奴をぶち殺そうとしとったのよ。あのクソガキ、おんしが寝てると存外強気での、脅しても蠢動の(タマ)ァとると聞きやがらんかったじゃて。しゃぁないから、上条当麻の命を()()()()助けるっちゅう交換条件で同意したんじゃ」

「……!!!!!」

 

 ドロームの発言に、もはや言葉も出ないザゾグ。何たる愚か。あの小僧の命を助ける契約を交わすなど。あの愚かなるアレイスターは、それを良い事に何度も上条当麻の命を救わせようとするだろう。歯噛みが止まらぬ。それを見ているにも関わらず、ドロームの口舌は止まらない。

 

「……んな怒んなよ。お前が()()()()()からにゃぁ、アレイスターの野郎も強気にはなれんさ」

「何故そんなことが言える!」

 

 ザゾグは下の事も気にせず怒鳴る。ドロームはなだめるように掌を向けながら、言葉を続ける。その言葉は、怒りに脳を支配されたザゾグをして、聞き返さずにはいられないものだった。

 

「奴は、おんしを恐れとる。奴の復讐の意思をおんしに萎えさせられることを恐れておるのよ」

「……何?」

 

 ザゾグは眉をひそめる。アレイスターが()()()()()()()()()を持っていることをザゾグは知っている。なぜなら、ザゾグはアレイスターが娘の復讐*1のために()()()()()()()を世界に広めたことに怒り、奴を襲撃し、そこでトルネンブラとトゥールスチャのアンブッシュをくらったからだ。

 

 ザゾグはアレイスターによる魔術への復讐の意思を誰にも話したことはないが、ドロームなら何かをして知ったとしても不思議ではない。不思議ではないが、自分が奴の復讐の意思を曲げられるとは?

 

「……どういうことだ?」

「お前、奴を襲撃した時にやったことを思い出してみんかい。あのガキの娘、蘇生したやろ」

 

 ザゾグがアレイスターを襲撃した際、彼は確かにアレイスターの娘をネクロマンシーを用いて蘇生した。娘の死に対する報復などという些末な事象のために魔術の進歩を止めんとしたアレイスターへの嫌がらせのために。

 

「あれがの、アレイスターの決心を揺るがせておったのよ。奴の復讐心を揺るがしかねないおんしが戻って来た。それだけで、奴はワシらにちょっかいかけることをしり込みするじゃろ。上条を見逃してもそれで釣りがくる。今回は手を引け、ザゾグよ」

「…………」

 

 ザゾグは俯くと、ゆっくりと乱数の待つ高架に戻っていく。ドロームはそれを見てニヤリと笑うと、宙に消えた……。

*1
魔術によって位相に干渉すると「火花」というものが生まれ、この「火花」が人々の運命に干渉する。アレイスターの娘はこの「火花」のために死んだため、アレイスターは魔術を憎むことになった。




アレイスターって魔術の発展っていう意味では有害極まりないことやってんだよな……。
一人の天才の理論から広がる事すらできなくなったのは害悪といっても過言じゃない。
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