今更だけど、
0.気楽な
――『ストレンジの九龍城』――
「液体ダイヤアァァ~~~~ッ?」
「そうさぁっ!6兆の液体ダイヤがよォ、大金庫に保管されてるんだぜぇ~~!!取りに行くしかねぇだろうがよ!」
『ストレンジの九龍城』に存在する広間で、ゴロツキ共が大声で儲け話について話し合っている。このすぐ後にその儲け話を実践しに行き、大金を掴んで帰って来るか、オケラで帰ってくるかするのが『ストレンジの九龍城』におけるいつもの光景だ。
「ヒ、ヒヒッ!大金庫ォ!?ヒャヒャヒャァッ!笑えるぜ!どうせ
ゴロツキの一人が言うように、彼らは学園都市に来てからすでに、いくつもの銀行の金庫をぶち破ってきている。
そもそも、”彼らのいた世界”において大金庫というものは大抵腕利きの傭兵や重武装自律兵器で守られているものであり、ゴロツキ共はそのような金庫すらも破っている。となれば当然、ろくな見張りのいない大金庫なぞ、単なる障子戸に等しい。
「んじゃ、人数集めてすぐ行こうぜ!6兆もありゃ分け前で揉めることはねぇだろ!」
ゴロツキ共が強奪に行くことを決めた所で、その中の一人の肩をポン、と叩く者がいた。
「ああ?……んん!?どうしたんだ、アンタ」
肩を叩いたのは……
「やぁ。最近、暇でね。君らの悪巧みに、私らも相乗りさせてくれないか?」
……この学園都市に流れ着いた危険魔術結社『目覚め待つ宵闇』の総帥、アーランズ=ダークストリートであった。本来彼やその部下達は『ストレンジの九龍城』を襲撃しようとする
「珍しいなぁ~!!いいぜ!」
「まぁ、そんな人数いらねぇと思うし、見てるだけになっちまうと思うけどな!」
「別に構わんさ。分け前もいらない。ただ、無聊を慰めるためだけに同行するんだからな」
「ヒャヒャヒャヒャッ!あんた、やっぱり変わってるぜ!」
気楽に受け答えするアーランズとゴロツキ共は知らなかった。彼らの液体ダイヤ強奪はとても困難かつ面倒なものになることを。あっさりと終わるはずの窃盗が、学園都市の広範囲を巻き込んだ追跡劇となることを。引き込んだ戦力の一人が独自行動を始めることを。
……そして、液体ダイヤ強奪という盤面を何もかもしっちゃかめっちゃかにしかねない存在が学園都市に到来していることも、彼らは知る由もなかったのであった。
やっとアーランズさんのターン!