とある外道の6人組   作:毛糸ー

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1.追え!追え!追え!

――とあるビル――

 

「いやー、まさか俺達以外に液体ダイヤを狙ってる奴がいるとはなぁ!案外この街の連中もやるじゃねぇか!」

「……ビルが引っくり返ってるんだ。大胆にもなる」

「猩々さんよぉ、テンション低いぜ?どうしたんだぁ?」

「暇を持て余したからついてきたとはいえ、大した相手もいなさそうな場所につれてこられたのだ。テンションが高くなりようもない」

 

 液体ダイヤ強奪の相談から一晩明けて、ゴロツキ共は()()()()()()()()に訪れていた。普通ならなぜビルが逆さになっている?と考えるところであろうが、ここは学園都市。ろくにニュースを聞かぬゴロツキ共は、どうせ学園都市の技術が事故を起こしたのだろう、と結論付けていた。

 

 現在彼らは引っくり返ったビルの家探しをしようとしていた大学生をズタボロにして乗りに乗っている。ゆえに、悠々と逆さにされて警備の死んだビルに乗り込んだ。ビルに入った後も、ゴロツキ共は喋り散らかしている。イージーな仕事だからだ。

 

「しかしまぁ、液体ダイヤなんてもん、どうして作ったんだろうな?」

「ある種の成金や長者はそういう珍奇なものをコレクションするものさ」

 

 このように、アーランズが成金の習性についてチンピラ共に講義する余裕すらあった。大金庫から、黒い容器を持った小娘*1が転がり出て来るまでは。チンピラ共は最初、小娘が手に持っているものが何か分かっていなかった。アーランズが楽し気に口を開くまでは。

 

「おや、あれは……我々が盗るはずだった液体ダイヤでは?」

「ハァ!?」

「ちょ、アンタ、早く言えよ!!」

「あのクソガキ!!」

 

 ゴロツキ共は走り出す。振り返った小娘は目を見開き、さらに足を速める。それでも、ゴロツキ共を振り切ることは出来ていない。そもそも、猩々がフックロープで飛び回り、常に小娘を眼中におさめている。いずれ追い付かれ、八つ裂きにされるだろう。普通ならば。

 

 だが、アーランズは胸騒ぎを覚えていた。何かおかしい。街が、浮足立っている。現に、先程大学生をリンチにしている時に通り過ぎた警備員(アンチスキル)はゴロツキ共の凶行に気付く様子もなかった。普段は無惨な死体の山をよそに無謀な仲裁に入るというのに。

 

「あん?どうした?置いてくぞ!」

「……ああ、すまない。今行く」

 

 どうやら、己は知らぬ間に立ち止まって考え込んでいたらしい。ゴロツキ共の声を聞き、触手で立体起動をとりながら追走する。

 

 

 液体ダイヤを取り出した小娘とそれに追走するゴロツキ共、そして猩々にアーランズ。そのいずれも、彼らの背後で摩天楼めいて巨大な土くれの腕がもたげられているのに気付くことは無かった……。

*1
この小娘は、液体ダイヤを作った会社の女社長の娘、秋川未恵である。

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