――魔神『僧正』の背中の上――
(((……うん、うん。コイツの身体の構造はだいたい分かった)))
猩々は『僧正』の身体を精査すると、
「ぐぎあああぁぁ!?」
『僧正』の悲鳴と共に、干からびた身体に罅が入る!しかし、猩々は浮かぬ顔。血飛沫も肉の断裂もないとは。
「……本当に
「き、貴様、何者じゃ!?」
存外ありふれたアンデッドボディにガッカリする猩々と対照的に、『僧正』はパニックに陥っていた。先程の一撃はただ僧正の皮膚を裂き、乾いた肉を砕いたばかりではない。『僧正』の本質、即ち『僧正』を魔神として生存せしめるものを毀損していたのである……!
『魔神』は基本的に無敵だ。現在はアレイスターによって弱体化しているが、それでも現代の者達では相手にもならない。その『魔神』の命を、拳一発で削る者がいるなど……!『僧正』は恐怖にも似た怒りを抱きながら魔術を用いて背中に張り付く男を始末せんとする!だが!
「イヤーッ!」「ぎゃっ」
魔術を用いる前に猩々の一撃が『僧正』に突き刺さる!『僧正』の魔術は霧散する!
「……全く、期待外れだな。これでは俺が弱いものいじめをしているようじゃないか。さて、一息に行こうか」
抵抗にも魔術頼りの『僧正』にがっかりした様子で猩々は『僧正』にとどめを刺さんとする!一撃で頭、そして『魔神』の命脈を断つための手刀を振り下ろそうと……BLAMN!
「……グワーッ!?」
頭部へ不意に衝撃を受けた猩々は『僧正』の背中から転げ落ちる!震える手でこめかみを撫でると、ぬめる血。そして側には拳大のゴム弾。ゆっくりと頭を上げると、『僧正』が
ぐわんぐわんと揺れる頭で考えるに、己が『僧正』に手刀を降ろそうとした瞬間、あの蠅のように叩き潰されている
撃たれた瞬間、幸運にも自動的に身体が脱力し、ゴム弾の衝撃を和らげたらしく、頭が丸ごと吹っ飛ぶのは避けられたらしい。ただ、今の猩々はあの暴れ散らかしている『僧正』相手に張りつける状態ではない。バランス感覚を少々失調している上、脳に何か障害が残っているとも限らぬ。
(((……ここは大人しく撤退するが吉か)))
猩々は状況判断すると、ゆっくりと頭を揺らしながらこの場から離れ始める。
今気づきましたが『僧正』と猩々、響きが似てますね。