とある外道の6人組   作:毛糸ー

164 / 204
3.神の解体

――魔神『僧正』の背中の上――

 

(((……うん、うん。コイツの身体の構造はだいたい分かった)))

 

 猩々は『僧正』の身体を精査すると、()()()()()()()。干からびたミイラの右肺あたりに拳を押し付けると、思い切り押し当てる!

 

「ぐぎあああぁぁ!?」

 

 『僧正』の悲鳴と共に、干からびた身体に罅が入る!しかし、猩々は浮かぬ顔。血飛沫も肉の断裂もないとは。

 

「……本当に()()()()()()か。つまらんなぁ」

「き、貴様、何者じゃ!?」

 

 存外ありふれたアンデッドボディにガッカリする猩々と対照的に、『僧正』はパニックに陥っていた。先程の一撃はただ僧正の皮膚を裂き、乾いた肉を砕いたばかりではない。『僧正』の本質、即ち『僧正』を魔神として生存せしめるものを毀損していたのである……!

 

 『魔神』は基本的に無敵だ。現在はアレイスターによって弱体化しているが、それでも現代の者達では相手にもならない。その『魔神』の命を、拳一発で削る者がいるなど……!『僧正』は恐怖にも似た怒りを抱きながら魔術を用いて背中に張り付く男を始末せんとする!だが!

 

「イヤーッ!」「ぎゃっ」

 

 魔術を用いる前に猩々の一撃が『僧正』に突き刺さる!『僧正』の魔術は霧散する!

 

「……全く、期待外れだな。これでは俺が弱いものいじめをしているようじゃないか。さて、一息に行こうか」

 

 抵抗にも魔術頼りの『僧正』にがっかりした様子で猩々は『僧正』にとどめを刺さんとする!一撃で頭、そして『魔神』の命脈を断つための手刀を振り下ろそうと……BLAMN!

 

「……グワーッ!?」

 

 頭部へ不意に衝撃を受けた猩々は『僧正』の背中から転げ落ちる!震える手でこめかみを撫でると、ぬめる血。そして側には拳大のゴム弾。ゆっくりと頭を上げると、『僧正』が警備員(アンチスキル)とみられる者達を蹂躙している。

 

 ぐわんぐわんと揺れる頭で考えるに、己が『僧正』に手刀を降ろそうとした瞬間、あの蠅のように叩き潰されている警備員(アンチスキル)の一匹が己の頭部に暴徒鎮圧用拳大ゴム弾を撃ち込んだ撃ったのだろう。

 

 撃たれた瞬間、幸運にも自動的に身体が脱力し、ゴム弾の衝撃を和らげたらしく、頭が丸ごと吹っ飛ぶのは避けられたらしい。ただ、今の猩々はあの暴れ散らかしている『僧正』相手に張りつける状態ではない。バランス感覚を少々失調している上、脳に何か障害が残っているとも限らぬ。

 

(((……ここは大人しく撤退するが吉か)))

 

 猩々は状況判断すると、ゆっくりと頭を揺らしながらこの場から離れ始める。警備員(アンチスキル)を壊滅させた『僧正』はいかなる理由か猩々の討滅に来ず、警備員(アンチスキル)は損耗を把握するので精一杯。それゆえ、猩々はこの場から何者にも見咎められないまま、学園都市の闇に消えた……。




今気づきましたが『僧正』と猩々、響きが似てますね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。