この話のタイトルもそのオマージュです。
――どこかの路地――
猩々がみすみす『僧正』を見逃す羽目になったその頃、ゴロツキ共はアーランズの先導に合わせて秋川を追っていた。『今は失われし体系』の力か、秋川の体内水分をサーチするアーランズは、秋川が地下鉄に乗ったことすら察知し、ゴロツキ共の先回りを可能にしていた。それゆえに……
「このクソガキ!捕まえたぞ!!液体ダイヤ、よこせ!!」
「いやっ!離してっ!」
ゴロツキの一人が秋川を確保してしまったのだ。秋川も藻掻いているがしかし、ゴロツキの力に抗えぬ。そのうち、秋川の無駄な抵抗にうんざりしたゴロツキが懐から、角材を持ち出す……!
「テメェこのクソガキ、サッサと離せってんだよ!オラッ!」
「きゃっ!?」
角材で殴られ倒れ伏す秋川を完全に無視し、その手から転げ落ちた液体ダイヤの容器を横取りしたゴロツキは邪悪な笑みを浮かべる。6兆!なんと良い響きだろう!この液体ダイヤ確保に協力した連中と分け合ったとしても、十分な金が手元に残る!!
「返し、っ!?」
ゴロツキは足元で暴れる秋川を一瞥すると、その鳩尾を思いっ切り踏みつける。己の喜びに水を差しやがって。液体ダイヤを売り飛ばした後はこのガキも同じように売り飛ばしてしまおう。そうゴロツキが考えた時だった。
シャッ!「グワーッ!?」
突如、首に痛み!ゴロツキは液体ダイヤを取り落とした上、無惨に転倒!彼が、彼の仲間が、『鋼龍』が手にするはずだった6兆は、あっという間に小娘の手に戻ってしまう!小娘が走り去るのを見て頭に血が上る!ゴロツキは
シュシュシュシュッ!「グワーッ!?」
だが、その頭部にまたもや複数の棒手裏剣が突き刺さり、ゴロツキはついに昏倒!その後ろから、学生らしき男女が現れる。男の方は半蔵、女の方は郭。忍者の末裔だ。彼女らは地下鉄で逃げる秋川を見かけ、その尋常でない様子から、陰ながら彼女を援助していたのだ。
「
「ああ。……このまま行ければいいな」
二人は走り出した秋川の姿を見ながら、隠密行動を続ける……。
――某貴金属メーカー本社ビル前――
「……来たな」
人混みの中にいるアーランズの目は秋川の姿を捉える。それはすなわち、ゴロツキ共がしくじったことを意味していた。
(……奴等が小娘一匹に手こずるとは思えない。これは
暴力のプロフェッショナルである『鋼龍』のゴロツキ共がしくじったという事実から、何らかの妨害を予期したアーランズは逆に笑みを深める。楽しいゲームになりそうだ……。