0.嵐の前は静かなもの
――『ストレンジの九龍城』食堂――
「はぁー……。あのクソガキ共、何でどっちかが死ぬまで潰し合ってくれへんかったんじゃ……。脳幹の奴もちゃんと死んどけよなぁ……。やっぱりあの唯一の餓鬼、イチャモンつけてきた時に殺っとくべきだったかの?」
黒いバーカウンターで愚痴を漏らすドローム。先日、上里翔流と上条当麻の一騎打ちに始まり、様々な出来事が起こったが、その展開はドローム、そして『6人組』メンバーが望むものではなかった。
上条当麻と上里翔流の対決は、いずれも半身不随や四肢麻痺などの後遺症もなく終結。上里翔流に差し向けられたアレイスターの刺客、木原脳幹が上里と交戦した結果重傷を負うが、木原唯一に保護され、コールドスリープされた。
「……悪いな。俺としても、もう少しいい結果になると思ったのだが」
「フン。別に構わんわい。いざとなりゃワシが直々に潰す。……それに、あいつをぶち殺したくてたまらん奴もおるしな」
先程までドロームの愚痴に付き合わされていた蠢動は、今回の静観が『6人組』になんら利益をもたらさなかったことに謝罪する。彼は不確定要素の多い上里勢力を危険視し、上条当麻とぶつかるまでは静観することを主張したのだ。
だが、ドロームは口角を吊り上げる。
――『ストレンジの九龍城』広間――
「……それは事実か?あのクソ忌々しい『絶滅犯』が上里翔流の親族?」
灰色の、禁酒法時代めいたコートと帽子を身に纏うカルトデザイナー、キラーBは眼前の神懸かり、椎名朗々を問い詰めるような調子で確認を取る。上里翔流が、『絶滅犯』―キラーBのカルトをいくつも滅ぼした女―の身内であるという情報の真偽について。
「その通り。完全な事実だ。お前達が滑稽なほどに足掻いているゆえ、『死せる電子の神』たる我が貴様らに啓示を示してやった格好だ」
朗々は鷹揚に答えると、宙に浮かび座禅を続ける。キラーBは朗々からの情報を元に企みの絵図(注:計画のこと)を描き始める。
(上里とやらを人質にすれば『絶滅犯』は誘きだせるか?……『絶滅犯』は人のシノギをぶっ潰しておいて謝罪もないクズ。親族が死ぬ程度では出てこんだろう)
思考の海に沈み始めたキラーBに、朗々は思い出したかのように情報を付け加える。キラーBにとっての朗報が。
「ああ……それと。『絶滅犯』なる刑吏気取りは近々この学園都市にやってくるようだ。上里なる僭称者の眷属らによる抑えが破綻したようでな」
「……貴様、この神懸かりが!!そんな大事な情報はもっと早く言え!!」
思わず怒声をあげたキラーBは、方々に電話をかけ始める。『絶滅犯』抹殺体制を整えるために。
もしこの小説をリメイクする機会があったならオリジナルキャラクターを減らして亡本裏蔵とかブルーストーカーとか入れたいっすね。