とある外道の6人組   作:毛糸ー

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遅れてすみません……。


8.ゴロツキの逆襲

――とある高校:ゴミ捨て場――

 

「がっ、ぐっ……」

 

 黒い洪水が引いた後、その中心にいた木原唯一はゆっくりと立ち上がる。その身体には、先程まで怒涛と化して襲い掛かっていたゲル状の物質がツギハギめいて見える。このゲル状の物質の正体はサンプル=ショゴス。宿主の全身の脂肪を溶かして栄養の蓄積と分配を脂肪に代わって行う黒いタール状の寄生生命体。

 

 その正体は学園都市が未元物質(ダークマター)を加工して作り出した上里翔流を始末するための生体兵器とも言うべき代物。パトリシア=バードウェイなる才媛にこれを寄生させ、学園都市ひいては上里翔流の元に向かうよう仕向けた。

 

 結局失敗し、唯一の()()、木原脳幹が死ぬきっかけとなったが。今回木原唯一が身体にサンプル=ショゴスを仕込んだのは、上里翔流の右手を奪った後に使い倒すための身体的条件を整える必要があったからだ。今回はそれが彼女の命を救った形になるか。

 

 あの時、彼女の身体からサンプル=ショゴスが噴き出さねば彼女は確実に死んでいた。ゴロツキに()()の薫陶を受けた木原一族たる己が追い詰められた。忌々しい!忸怩たる思いを抱えながらも彼女は立ち上がろうとする。だが。

 

「イヤーッ!」

「がはっ……!?」

 

 起き上がろうとした彼女はしかし、蹴飛ばされる。彼女の視界にぬうと現れた影の正体は、ザン・コク。全身の皮膚が引き裂かれ、片目もはじけてしまったが、いまだ壮健。少なくとも、唯一よりは元気だ。交雑は顔面やその他全身を殴り潰され再生中。

 

「クヒヒヒッ!このクソアマ!死ね!」

「がっ……!がっ……!ぐっ……!」

 

 ザン・コクは唯一をやたらめったらに踏みつけ、痛めつけていく。唯一はそれに対して耐えることしか出来ぬ。弱毒性サンジェルマンウイルス*1による魔術は生命力不足で発動できず、暴れようとするサンプル=ショゴスは噴き出すたびに踏み潰されている。

 

 唯一はまさしく、絶体絶命の状態にあった……。

 

 

 そして、絶体絶命の危機にあったのは上条当麻らも同様だった。黒い津波が引いた後、去鳴(さろめ)は他の上里勢力に属する少女達に引き取られていった。それに胸をなでおろした時、ビルの表面に張り付いた美琴とその背の上条の目が驚きに見開かれた。突然()()()()()()()()()()のだ。

 

 そのノイズから現れた黒ハットに黒ジャケットの男は、いきなり美琴の腹を蹴りつける!くの字に曲がるその背におぶさっていた上条が、ビルの下に落ちていく!

*1
12月初頭のダイヤノイドに蔓延した、『サンジェルマン』という魔術師の人格を植え付け乗っ取るウイルスの弱毒化株。このウイルスの感染者は『サンジェルマン』の自我に乗っ取られ、彼が操ったという魔術『シャンボール』を利用できるようになる。弱毒性サンジェルマンウイルスは、この毒性を弱め、感染者自身の自我を保ったまま『シャンボール』を扱えるよう品種改良されている。




設定ってしょっちゅう描写してないと忘れ去られそうで怖いな……。
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