とある外道の6人組   作:毛糸ー

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唯一はもう、原作よりヤケクソです。
原作でも自分と引き換えに上里をぶち殺そうとしましたが、今の彼女は学園都市と引き換えに上里を抹殺するくらいはします。


新約 第11章:大熱波、そしてそれから
0.熱と怪物と細菌と


――ストレンジの九龍城:会議室――

 

「クソ暑いのう!」

 

 怒声を上げながら円卓に拳を叩き付けるドローム。その顔面には大量の汗が滴っている。

 

「怒鳴るな。余計に暑くなるだろうが」

 

 ドロームを窘めるザゾグも汗だくである。彼もこの暑さにほとほとウンザリしていた。

 

「まぁまぁ、落ち着きたまえよ。私がいれば水には困らんのだからね」

 

 アーランズは腕の触手から水を吹き出し、二人を諫める。その額には、やはり汗が滴っていた。

 

「少なくとも俺達は学園都市の大部分の連中より幸運なんだから、奴らが戻ってくるまで落ち着いててくれよ……」

 

 ミニプールに()()()()()()()()()()()()()姿()で漬かるのは蠢動俊三。彼もやはり、12月でなくとも異常に過ぎる暑さ、摂氏55度を超える異常気象、()()()()()()()()()()()()()()()()()便()に辟易していた。

 

 

 この暑さの理由は上里勢力の一人、烏丸府蘭(からすまふらん)個人所有の宇宙ステーションから放たれる電磁波である。すなわち、現在の学園都市は電子レンジの中にいるようなものなのだ。この、『大熱波』と呼ばれる現象が引き起こされたのには当然、理由がある。

 

 それは、木原唯一の愚行にある。彼女と木原交雑は上里勢力、上条当麻、御坂美琴、『鋼龍』の刺客達と交戦し撤退した後、学園都市統括理事会の会員達にエレメント*1なる生体兵器と、グロブスター*2なる生物兵器を学園都市全域に放つと一方的に通告したのである。

 

 すなわち、木原唯一は、無策でいれば学園都市は1週間も持たず壊滅し、そこからなお外の世界に死を撒き散らして余りある暴威を己の復讐のためだけに解き放ったのである。上里翔流はこの動きを察知し、烏丸府蘭に『大熱波』を引き起こす事を指示したのだ。

 

 エレメント・グロブスターは共に高温に弱く、『大熱波』下ではその活動が大きく減退する。グロブスターは芽胞*3になって休眠し、エレメントは日陰でしか行動しなくなる。ゆえに、下手に『大熱波』を止めれば学園都市はその痕跡すら残さず滅ぶ。

 

 ザゾグは『大熱波』とそれに伴い学園都市を覆うケイオス(注:混沌)を察知し、この『ストレンジの九龍城』に持てるだけの実験機器や試料を持って駆け込んできたのである。しかし、ドロームとしても如何ともし難い状況にあった。

 

 ドロームやザゾグならば『大熱波』を止めるどころか、『ストレンジの九龍城』を一種の()()状態にすらできるだろう。しかし、それをすればストレンジの九龍城は学園都市から消えるだろう。

 

 エレメントはいい。一般のチンピラ共はともかく、散々の一党がいればエレメント一匹なら言うに及ばず、エレメントの群れですら一方的に皆殺しに出来るからだ。問題はグロブスターである。

 

 迅速な『大熱波』により、学園都市全域が悪魔的パンデミックに包まれることは避けられたが、『大熱波』が止まれば学園都市全域に広まったグロブスターは躊躇なく学園都市のインフラ・研究施設・学校・住人の全てを食い荒らすだろう。

 

 それは、『ストレンジの九龍城』も例外ではない。ドロームやザゾグ、一部の『鋼龍』メンバーなら問題なく生き残れるだろうが、他の『六人組』メンバーやその配下達は間違いなく死ぬだろう。ザゾグの力で制御するという線もあるが、木原唯一による小細工が懸念される。

 

 仮に、人的損失を無視したとしても、『ストレンジの九龍城』は跡形もなくなるだろう。ゆえに、グロブスターへの対処策が確立されるまでは、『大熱波』を遮断できない。ゆえに現在、特能総研と科学屋*4が急ピッチでグロブスター駆除薬の開発を進めている……!

*1
石油から元の古生物を復元しようとする還元生命を元に作り出した生体兵器。還元生命も命までは生み出せなかったので、魔術的要素で補っている。

*2
木原交雑が木原唯一に合流した後に作り出した生物兵器。薬味久子の作り出した食人ゴキブリをヒントに、生体のみならず木材やコンクリート、金属をも喰らう。特異な分泌物によって、通常の消毒薬や抗生物質は無効化される。

*3
一部の菌の休眠形態。高温などの外部刺激に対し非常に強くなる。

*4
科学技術を利用してシノギを行うゴロツキの通称。闇医者や麻薬職人が該当する。




生体兵器=動物など、比較的大きい生物を兵器転用したもの
生物兵器=細菌などの微生物を兵器化したもの
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