――学園都市:どこかのシェルター――
ここは、さる暗部組織が用意した
ここでは現在、『グロブスター』殺菌剤とワクチンの開発が行われていた。幻生と乱数という2人の木原一族と元アレイスター麾下の『博士』、彼らを束ねるザゾグ、毒物・病原体・呪いの熟達者早々らのドリームチームにより、通常の何倍もの速さで作られたのであった。
はやばやと出来た『グロブスター』殺菌剤『アンチ・グロブスター』のサンプルを携え、彼らは出口へと向かう。
「……エレメント、とか言うのの心配はしなくていいのかよ?」
神経質そうな声で心配を漏らすのは木原乱数。実際、このシェルターの換気口にエレメントが近づくことはたびたびあった。ゆえに、この出口の向こうにもエレメントがいる可能性は十分にある……!
「木原乱数。私を誰だと思ってるんだ?それに幻生と『博士』の”護身能力”は並のエレメント相手なら簡単に対処できる」
その懸念に答えたのはザゾグと早々。彼の言う通り、乱数以外はエレメントに対処するための十分な護身能力を持つ。炭素を操るザゾグは言わずもがな、幻生もセルロースナノファイバーを利用した『多才能力』、『博士』も極悪微粒子兵器『オジギソウ』で武装しているのだから。
「……まぁ、貴様の幻覚物質も改良すれば十分『エレメント』に通用すると思うがな」
「何ですって?」
「ここで話すと長くなる。『ストレンジの九龍城』についたら話す」
ザゾグと科学者達は、乱数の当惑をよそに歩みを進め、シェルターのドアに手をかけた……!
――『ストレンジの九龍城』――
……結論を言えば、ザゾグ一行は全く安全に『ストレンジの九龍城』まで歩いていくことが出来た。彼らの新路上に向かいそうなエレメントは散々一行により全滅させられていたし、『大熱波』は幻生がマイクロ波の機動を捻じ曲げることで凌いだ*1。
ただ、ザゾグらが辿り着いた時、『ストレンジの九龍城』はクソ暑いにもかかわらず、ある種の熱狂の中にあった。『大熱波』でグロッキーになっていたゴロツキ共が、汗を滴らせながら方々を走り回り、何か準備しているようなのだ。
「ゴロツキ共の様子が尋常ではない。何があった?」
「常盤台がエレメントの大群に襲われたらしい。ゴロツキ共が略奪の準備に勤しんでいる。後は長点上機学園にもエレメントの大群を誘き寄せられないかと試行錯誤している奴らもいる。我々も」
『ストレンジの九龍城』内に設けられた特能総研研究室に向かうザゾグの疑問に答えたのは、ゴロツキ共と共に台車やらバールやらを準備するヴェイズ。研究室に向かう他の特能総研メンバーに対し、その場で考え込むザゾグ。
バッと顔を上げ、振り向くザゾグ。そして、乱数を呼んだ。
「乱数。ちょうどいい。お前の研究を改良して、ゴロツキ共に夢を見せてやろう」