とある外道の6人組   作:毛糸ー

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新約17巻編、スタート!


4.事情を知らぬ奴等の今

――屋台尖塔――

 

 ここは、学園都市第十区の名物、屋台尖塔。巨大な立体駐車場に停まっている車全てがワゴン車やキャンピングカーを改造した屋台となっている。その最上階にて、二人の腐れマッドサイエンティストが穏やかなティータイムとしゃれこんでいた。

 

「しかし、大熱波が終わっても学園都市は凄惨な有様じゃないか。どうなるんだろうねぇ」

 

 ブドウ糖液を啜る白衣を着た痩せぎすの老人、木原端数は『大熱波』と『エレメント』に襲われた学園都市を憂うかのように溜息をつく。この木原一族の大物は、セルロースナノファイバー*1()()した悪趣味極まるアンドロイド*2を作る極悪エンジニアでもある。

 

「ウハハハッ!貴様が気にしておるのは自分に回る予算や置き去り(チャイルドエラー)が減らされないか、その一点だけであろうが!」

 

 そして対面に座る虚無僧染みた高僧の姿をした怪人、早瀬早々は思ってもいない心配を吐く端数をからかう。悪趣味な科学者として馬の合う二人は、こうしてたびたび一緒に食事をすることがあるのだ。

 

「それはそうだけどさぁ、そんな腹を抱えて爆笑する事ないじゃないか……」

「ウククッ……すまんすまん。所で、貴様の作ったあのアンドロイドについてだが…………」

「ああ、『レディバード』君の一件か。君のおかげで色々助かっているよ。この前はだね…………」

 

――第10区:大通り―

 

「クヒッ!クヒッ!クヒヒィッ!」

KRAAAAASH!KRAASH!KRAAASH!

「アイエエエエ!?」「に、逃げアバーッ!?」「え、援ぐアバッ!?アバババーッ!?」

 

 学園都市を大熱波中の極限状態から元に戻すため、第10区に向かっていた営巣部隊(ユースフルスパイダー)*3の部隊は、阿鼻叫喚の様相を呈していた。電磁波遮断地下シェルターに隠した大量の兵器を全て使い切ってなお、目の前の怪物一人倒せず、虐殺の憂き目に遭っていた。

 

 たった一人で営巣部隊(ユースフルスパイダー)を向こうに回し、一方的な殺戮を繰り広げるこのゴロツキの通り名は秋津浦々、あるいは煤。煤は、長点上機学園の残骸を漁りに行く際、この横柄な一団に遭遇。その能力をいかんなく発揮し、一切合切をぶち壊したのだ。

 

 このような『鋼龍』による営巣部隊(ユースフルスパイダー)の襲撃は数多く起こっていた。そして、その裏でもっと重大な事態が進んでいた……。

 

――第??区:貝積継敏の住居――

 

「フゥー……。終わった終わった」

 

 モルタル造りながらも上品な高貴さを漂わせ、周囲との格の違いを自然と見せていた白亜のビルは、いまやその姿を崩した豆腐めいた有様に変えていた。ここは、善良な統括理事会会員、貝積継敏の住居であったビル。このビルは、数時間前に現れたたった一人の襲撃者により、無惨にも破壊しつくされた。

 

 貝積継敏は、善良とはいえ統括理事会会員である。ドロームにブチ殺された親船とは違い、碌でもない連中とも上手く渡り合ってきたため、このビルにも襲撃者を撃退するために数多くのトラップを配置することが出来た。しかしそれでも、現在貝積自身の首を弄ぶ襲撃者を止めることは出来なかった。

 

 モルタルビルを破壊し、貝積継敏とそのブレーン雲川芹亜をブチ殺した張本人、六角散々はウィスキーを一杯やったかのような法悦の中にいる。これで、我々を生きにくくするクズをまた一人殺せた!何と喜ばしいことだろうか!

 

 ところで散々は、元来暴力と裏切りしか取り柄の無い小物である。そんな彼にも、許せないものがある。それは、自分達が自由に暴力をふるうための土壌を切り取ろうとする『ヒーロー』と呼ばれる人種である。故に彼は殺人に勤しむのだ。世界を()()()()()住みよくするために。

 

「さて次は……冷凍保存されたあの犬っころを解凍してやらんとなぁ……!」

*1
炭素繊維の一種で、脳神経よりも細く精密な配線ができるという長所をもつ。ただし、活動状態で放置しておくと際限なく自動増殖する欠点を持つ。

*2
際限なく自動増殖するセルロースナノファイバーを一定の大きさを持つ脳の状態にとどめるため、異物として人間の脳を取り込んで動くアンドロイド。脳ごとに拒絶パターンが異なるため複数の能力を扱うことが出来、脳髄が擦り切れた場合には自動で脳を得ようと活動することも出来る。

*3
大熱波やエレメントの脅威が去った後、半壊状態となった学園都市の秩序回復を担当するための正規部隊。暴徒化住民の無力化を主な任務としているため、高圧放水・巨大送風機『ブレスオブブレッシング』によるバリケード排除・重機関銃を備えたヘリなどを用いた荒っぽい手法を用いる。




二次創作の作者に必要なのは勇気。最近とみにそう思う。
そういう訳で、貝積さんと雲川芹亜さんには死んでもらいました。
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