――『着ぐるみロックフェス』会場跡地――
「全く、あの小娘達は一体どこに行ってしまったんだろうな?」
猩々はひとりごちながら、『絶滅犯』、および上里翔流とそのハーレムメンバーを探す。現在、『絶滅犯』抹殺の依頼を受けた傭兵共は、各自分担して『絶滅犯』の手掛かりを探し出そうとしていた。
ただ、成果は芳しくない。数日前は不用心に外で騒ぎを起こしまくっていた上里と『絶滅犯』は、
「さぁーて……」
猩々が目を細めたその時、何者かが彼に思いっ切りぶつかってこようとしていた。当然、彼はこれを回避する。そこでふと、後ろを見たのは偶然だった。人が活発に行き来しているとはいえ、避けるだけのスペースはある中で無遠慮に人にぶつかろうとしてくるカスの面を拝むだけのつもりであった。
だが、そのカスは上里翔流の取り巻きをしていたメスガキ二匹であった。ただそれだけ。だが、それで必要十分だった。
(僥倖!)
降って湧いた『絶滅犯』への手掛かりを見逃す猩々ではない。海賊のコスプレ染みた格好をした小娘と、キツネ染みた髪型をした小娘の二人を追う!たびたび人にぶつかる二人と異なり、彼の足取りは軽快にして効率的。誰にもぶつかることなく二人の背を捉えた!
「もし、少し待ってくれたまえよ」
声をかけると、二人は明らかに面倒臭そうな雰囲気を醸し出しながら足を速める。それを追う猩々。
「私は少し話を聞きたいだけだ。止まってくれるだけでいいんだがね」
普通のゴロツキならば声を荒げる所、猩々の声色は先程と変わらぬ。だが、海賊娘の解答は彼の想像し得ないものだった。
「ひぐっ、ふえっ……」
海賊娘の方の背はあっという間に縮み、高校生ほどだった体躯はすぐさま5歳児程度にまで退行。そのまま泣きまねをせんとしたのだ。並一通りのゴロツキなら、ここで動揺してこの娘の号泣を許し、周囲の正義漢に白い目で見られ、場合によっては制裁を食らっていただろう。
だが、猩々はただのゴロツキではない。完全に狂ったゴロツキであったため、この蛮行にも眉一つ動かさず対応した。すなわち、小娘の胸元に向かって倒れない程度の強さで、呼吸困難に陥る蹴りを瞬時に放ったのだ。
「ごっ!?」
「さて、邪魔者も黙った所で。簡単な質問に答えてもらおうかな。『絶滅犯』は、どこにいるのかね?」