――窓の無いビル直下――
ザン三兄弟と浦々の襲撃後、窓の無いビルに避難していた木原唯一一行は、再び動き出そうとしていた。
「ん~……動いたら小腹がすいてきましたねぇ。私と一緒におやつ食べに行きたい人、この指と~まれ!」
疲弊した元上里勢力の少女達はしかし、唯一の状況を考えない発言を切り捨てる訳にはいかなかった。それは、唯一の側に護衛騎士めいて佇む木原交雑のせいではない。
唯一の右腕には、本人のものの代わりに、華奢ながら明らかに男の特徴を備えた腕が縫い付けられている。この腕の正体は、切り落とされた上里翔流の右腕である。そして、上里勢力の少女達にとって何より大切な少年、今やこの世界から
大熱波において『鋼龍』や『目覚め待つ宵闇』、『スウォーム』に『特能総研』が右往左往している間、上里勢力は上条当麻を伴い、『窓の無いビル』直下にて木原唯一・木原交雑と一大決戦を挑んだのだ。最終的に上里翔流は己の右腕の作用によってこの世界から消え去った*1。
その後、木原唯一は上里勢力の少女らを脅迫。縫い付けた上里翔流の右腕を、上里を取り戻すための金科玉条として誇示し、上里勢力を己の手中に収めたのだ。そして己の命が亡くなれば、上里の右腕は効力を無くし、彼をこの世に呼び戻す手法はなくなると信じ込ませている。
それゆえ、上里勢力の少女達は木原唯一の駒と化したのだ。彼女らの希望、上里翔流を取り戻すために。
恐怖を目にたたえながらのろのろと立ち上がる上里勢力の少女達を見ながらほくそ笑む唯一。彼女が上里勢力の少女達を無下に扱っているのは、何も腹いせばかりではない。深甚な企みがある。
そんな愉悦も探究心も、錆びた刃が足の甲を貫く痛みに比べれば、物の数ではなかった。
「――――!?」
声にならぬ叫びをあげる唯一。上里勢力の少女達は、凶行の主を探すために動き出そうとする。だが、その筆頭たる
「ドーモ。腰巾着の小娘01皆さん。ザン・ギャク11す。貴様らを皆殺しに来1011た」
全世界木原化計画、本気でやろうとしたら社会学系の木原の助力がいるよな……