とある外道の6人組   作:毛糸ー

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13.無造作な抹殺とそれに続く厄介事

――『窓の無いビル』直下――

 

 ザン・ギャクのアンブッシュの直後、傭兵共が雪崩れ込み、乱戦と化した。一番槍のザン・コクはショットガンを乱射する。その隙をついてドーム状の天井に張り付いたザン・ニンは吹き矢でアンブッシュをかける。視界をずらせば、重々がスポーティ少女を転ばせ、圧倒的優位に立っている。

 

 そして鬱々は錆びた小刀を用い、ドトン・アンブッシュをかけ続けている。交雑に抱きかかえられた唯一は、今の所その凶刃を回避している。だが、交雑がその手から唯一を手放すのは時間の問題だろう。鬱々の小刀には、毒が仕込まれているゆえに。

 

 猩々は、気紛れめいて小娘共を()()し、ゆるゆるとこちらに向かってきている。ザン・ギャクのグラディウスに突き刺さった小娘、『絶滅犯』を殺すために。

 

 ザン・ギャクはすでに、『絶滅犯』を活〆めいた半死半生の状態に追い込んでいる。このまま殺すのは簡単だ。

 

 しかし、猩々がここまで執着を見せている肉体の持ち主を乱雑に扱えば、間違いなく奴はこちらに対し良い感情はもつまい。それは避けるべきだ。丁度、押っ取り刀で己の元にやって来た小娘の事もある。くれてやろう。

 

 そう状況判断すると、ザン・ギャクはほぼ死に体の『絶滅犯』のボディを投げた!

 

「ここ11で死に1101の女を殺し損10る貴様で01あるま11。後10好きに11ろ。1011帰る」

 

 猩々は耳まで裂けんばかりの笑みを浮かべると、小娘を斬り捨てるザン・ギャクに目もくれず、死にかけの『絶滅犯』に向かう。そして躊躇いなく頭を捻じ切った。彼にとって重要なのは、生身の部分ではなく、日用雑貨によるサイボーグで出来た身体だからだ。

 

 『絶滅犯』の無造作な死を確認した傭兵共は、次なる標的として木原唯一・木原交雑を仕留めんとす。『絶滅犯』に劣るといえども、交雑は裏切り者に変わりなく、唯一はその主だからだ。

 

 転ばせた小娘共の三半規管を徹底的に破壊しつくした重々はゆっくりと交雑に迫る! 有機鎧武者めいた交雑はしかし、十分な回避行動をとれない! 唯一を抱えている事に加え、鬱々に刺されてから倦怠感に襲われているのだ。

 

「ううっ……!」

「何をやってるんです!?この役立たず!」

 

 転んだ交雑に対し、ヒステリックに喚き散らす唯一! 鬱々はその喉笛に小刀を突き刺さんとする! だが、交雑は動かぬ身体を無理に動かし、唯一をその凶刃から逃がしてのけた!

 

 それを見て援護に入るのは重々。虎口を逃れんとする唯一の頭を踏みにじり、鬱々のアンブッシュをアシストする!

 

「……オタッシャデー」

 

 重々はもがく唯一の頭に追加の蹴りを入れ、カイシャク・チャントと共に彼女の頭を踏み潰さんとする! このクソッタレの足掛け仕事にケリをつけるために。…だが、運命はそれを許さなかった!

 

「何をしてる!? 私が死んだら、どうなるか分かってんのか! メスブタ共! コイツ等を殺せえぇぇっ!」

 

 そう唯一が叫ぶと、ザン・コク、ザン・ニンと交戦していた小娘共は重々に殺到! 重々は防戦一方! 唯一にとどめを刺せぬ! その隙に唯一は交雑の上に戻る! 体内の微生物により、鬱々のドクを分解した交雑は再び逃げ回り始める!

 

(全く……あの女、このガキ共を完全に死兵にしてやがる……。こりゃ面倒だぞ、イックク……あいつもそろそろ”この世界”の怖さをちゃんと知ってほしいんだけどねぇ、ヒック)

 

 重々は己に殺到する小娘共をさばきながら、内心独りごちる。あのアホ、即ち秋津浦々が調子に乗って大ゴケしていないといいが……。

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