――『
「………………」
果たして、浮田重々が懸念した通り、秋津浦々は敗北し、地に伏していた。気分よく『
今、あおむけに空を仰ぐ秋津浦々は、その身体の半分以上が巨大な構築物に抉り取られていた。彼が地に伏している間に、『
断面からは金属コードや光ファイバー、糸くずやその他もろもろが菌糸めいて宇宙ステーションを浸食し続けていたが、浦々は動かない。今、浦々は激怒している。サンシタに後れを取った己に。
(……クソが!)
歯軋りを繰り返す中、浦々は長老が以前言っていた事を思い出した。小石で躓いた時は、原点を思い出せ。原点を忘れた者は、往々にして些細な綻びを見逃すものだ。
浦々の原点はシンプルだ。即ち、暴力。ムカつく奴を、殴って殺したい。破壊し、殺戮し、強奪する事こそ我が喜びである!そう思い返したところで、彼は一つ思い至った。”この世界”において、本気で人をぶち殺さんとしたことがあったか?
(俺としたことが、こんな簡単な事も忘れちまってたとはな……)
浦々は自嘲げな笑みを浮かべながら立ち上がる。その目は、以前とは比べ物にならないほどの殺意で黒々しく輝いている!もはや、彼には油断も慢心もない。あるのは、暴力への渇望。それだけだ。
煤は秋津浦々以外にも異名がある。それは、ハンザキ。身体を真っ二つにされようと、敵を半分に引き裂き殺すという煤の残虐さを表した異名である。煤の両腕にはこの邪悪な異名をつけられた頃の得物、ダマスカス鋼刃のトマホークが握られている!
……まさしく、悪辣非道な傭兵にしてスラッシャーたるハンザキが、帰ってきたのだ。
「あれ、分捕るかぁ!イヤーッ!」
腕からワイヤーの集積を伸ばし、頭上を飛ぶヘリに絡みつける!そして身体を跳ね上げ、ヘリ内部へダイレクトエントリーした!
「「アバーッ!?」」
無慈悲なタックルじみた挙動でヘリ内部の乗員を引き潰した煤は、金属扉と乗員だったものを身体に一体化させながら、ゆっくりとヘリパイロットのヘルメットを握る。
「なぁ、兄ちゃん。俺の言う通りに飛んでってくれるよなぁ?」
明らかに殺意の籠った問い掛けとだんだん強くなる握力の前に、パイロットは首を赤べこめいてふってヘリコプターを前に進ませる。煤はヘリの中で無造作に座ると、外を睨みつける。殺す相手を、見つけるために!
ちなみに、煤がハンザキ状態でアイテム一行と対決したら、アイテム側が皆殺しにされます。
その位に殺しと暴力への意気込みが違います。