――ロンドン旧下水道――
「なんか、ワシらが来てからすぐにしっちゃかめっちゃかになっちまったのう」
『鋼龍』傘下組織『奈落街』が整えていたロンドン侵攻のための本部にて、ドロームがぼやく。天井に張った糸にかけられたランタンが、この場にいる『6人組』メンバーの顔を照らす。
「アレイスター=クロウリーめ……」
自分達が主導権を握れていない現状に対する不満を、蠢動が苦々しげに吐露する。『鋼龍』、『スウォーム』、『目覚め待つ宵闇』の者達がロンドン旧下水道に移ってからすぐ、ロンドンは正体不明の勢力に襲撃を受けた。
それは、以前ドロームが言及した10億以上のアレイスター=クロウリーの可能性そのものであった。どこかの阿呆が軽率にアレイスター=クロウリーをぶち殺したというのが、もっぱらの噂である。
「で、どうするよ。ドローム。このままでは、クロウリー共にロンドンがしゃぶりつくされそうな勢いだが」
「当然、ワシらも祭に乗る。今、『奈落街』の連中にロンドンのカス共の動向を偵察させとる。奴らが戻って着次第、打って出るぞ」
水を向けたアーランズに、ドロームはにやつきを抑えずに答えた。そこに走り寄る小さな影。『奈落街』に所属する斥候ズンビーである。その報告に耳を傾けるドローム。ドロームは斥候の見てきた外の狂騒を聞きながら笑みを深め、傍らに置かれた放送機材をいじり始めた。
「おどれらァ!イギリスのカス共*1は、足の引っ張り合いに終始しとる!足元にワシらがおるっちゅうのによォ!ワシらの恐ろしさ、思い知らせたらんかい!」
「「「「……ウオオォォォォォーーーッ!!!」」」」
ドロームはマイクに向かって檄を飛ばした。このフロアとは別の場所にいるゴロツキ共がそれに応じ、大声で鬨の声をあげる!
「クカカカッ!さぁて、おどれら、準備はええか。イギリスのカス共に、ワシらの恐ろしさをもっぺん骨の髄まで思い知らせたろうやないけ!」
「……クックク!ははははっ!」
「もうここまで来たんだ。臆しやせんさ」
……クロウリーズ=ハザード*2の対応にてんてこ舞いであったイギリスは、この時より『鋼龍』のゴロツキ共や『目覚め待つ宵闇』の魔術師達の襲撃にも対応しなくてはならなくなった。
そして、イギリスの不幸はこの程度では終わらない。
そういえば、領有してる島とかを考えると今でも太陽が沈まぬ国みたいですね、イギリス。
まあ、この話ではこの章で完全に滅ぶ予定ですが。