とある外道の6人組   作:毛糸ー

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人的資源(アジテートハレーション)、改良すればもっと悪さ出来たと思うんですよね……。


2.ロンドン地獄絵図

――ロンドン地下空間――

 

「ねぇ、ザゾグ君。あの連中も動き出したみたいだし、これを動かしてもいいんじゃないかねぇ」

 

 ドローム達がいた場所とは別の場所で、特能総研の者達と一部のゴロツキは、UFOじみた巨大な構築物を造り上げていた。学園都市を去った今、特能総研は新たな研究拠点が必要となった。このUFOは、空飛ぶ研究拠点として造られたのだ。

 

「ああ。()()の実験もしたいことだしな」

 

 ゴロツキ共の鬨の声を聞きながら、ザゾグは巨大UFOを見上げる。天井は灰色の下水管であるが、一一次元特殊計算式応用分野のテクノロジー、即ち瞬間移動を可能としたこのUFOの前には障害になり得ない。

 

「こんなの打ち上げて何する気だ? 俺の幻覚成分でもばらまいて、ロンドンの連中をトリップさせてやるつもりかよ?」

「喜べ乱数。もっとえげつないものが見られるぞ」

 

 UFOの前で当惑する乱数に対し、クツクツと笑うザゾグ。そこに『博士』が歩み寄って来た。

 

「テレポート装置とオジギソウ・トリップ成分散布装置、そして()()()()も今すぐにでも動かせる状態だ。どうする?」

「……初披露と行こうじゃないか。準備してくれ」

 

――ロンドン:小さな教会――

 

「…………!」

 

 教会にいる人間たちを皆殺しにし、グラディウスについた血を払っていたザン・ギャクは、弾かれるように上方に目を向けた。

 

「アババーッ!」

BLAMN!

「アバーッ!?」

 

 フリークアウトしたヨタモノが突如教会に侵入!ザン・ギャクはこれをショットガンで射殺!

 

「アバーッ!」「アバーッ!」「アバーッ!」

BLAMN!

「「「アババーッ!?」」」

 

 追加のヨタモノが闖入するも、ザン・ギャクはこれを射殺!ヨタモノの連続闖入を訝しんだザン・ギャクは教会の外へと足を踏み出した。

 

「アバババババーッ!」「ウオオォォーッ!?」

「くそっ! 何だ、グワーッ!」

「ギャハハ! 何がどうなってんだぁ!?」

 

 そこには、ロンドンの一般市民が大量にフリークアウトし、地獄絵図めいた有様!魔術師達は狼狽し、ゴロツキ共に攻撃を受けている!ザン・ギャクは再び上空を仰ぐ。そこには、UFOめいた飛行物が漂う!

 

――特能総研製UFO――

 

「ハハハ! 見ろ!素晴らしい成果だ!」

 

 ザン・ギャクが仰ぎ見るUFOの内部では、ザゾグが眼下の地獄絵図を見ながら狂笑を響かせていた。

 

「『人的資源(アジテートハレーション)』……改良すればこんなことまで出来るようになるとは」

 

「あの計画は、AIM拡散力場*1を媒介とした濃淡コンピュータとして能力者の脳に干渉するものだったけれど、今回は普段ぼくらが浴びている宇宙線の密度の濃淡をコンピュータにしたおかげで、ほとんどあらゆる場所にいる人間を操れるようになったわけだねぇ」

 

 眼下の惨状に冷や汗をかく『博士』と対照的に幻生はいつも通りのんびりとした調子でザゾグの所業を解説する。『博士』と同様に地上の光景に唖然としていた乱数はそれを聞き怪訝な表情を見せる。

 

「オイ待てよ、じゃあなんで魔術師やゴロツキ共は発狂してねぇんだ?」

 

「簡単な話だ。出力を抑えているからだ。魔術師共は初心者の内はトランス状態になることで魔術を扱う。ゆえに、出力を抑えているうちは奴等は発狂しない。催眠状態に慣れている訳だからな。ゴロツキ共の方はもっと簡単だ。奴らは発狂させるにはイカレ過ぎている」

 

「……何で出力を抑える必要があるんですかい?」

 

「簡単だ。この宇宙線濃淡演算装置系洗脳機構の出力を上げ過ぎた結果ゴロツキ共が発狂すれば、流れ弾でこのUFOが墜落する危険があるからだ」

 

 やや不機嫌になったザゾグに身震いする乱数。外にはクロウリー・ハザード、内には『鋼龍』と特能総研による攻撃で、ロンドンは風前の灯火にある……!

*1
能力者が無自覚に発してしまう微弱な力のフィールド全般を指す。例えば、御坂美琴に代表される『電撃使い』の微弱電波などが挙げられる。

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