とある外道の6人組   作:毛糸ー

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このアニェーゼ部隊虐殺編は、当初作っていたプロットが完全崩壊したため、更新が遅いです。
どうか寛大な気持ちで更新の遅れをお許しください。


3.赤の他人に手を差し伸べよ

――オルソラ教会――

 

 「鋼龍」のメンバーによるアニェーゼ部隊の虐殺は着々と進んでいた。

 

 最初の奇襲で腰砕けになったシスター達に、チンピラ共による最初の機銃掃射を加えることにより、アニェーゼ部隊は潰走。リーダーのアニェーゼ=サンクティスや護衛を務めた他十数名はローマ正教への報告のために逃走し、その他のシスターはまな板の上のマグロめいて殺されていった。

 散発的な抵抗はあったが、それは本当に散発的であり、アニェーゼ部隊の持ち味である連携による集団戦は完全に封じられていた。それゆえ、暴力に習熟したゴロツキ共にとって、その抵抗はまな板の上のマグロに行われる下処理めいた、スパイス程度の意味しか持たない代物でしかなかった。

 

 そして今、一人のシスターが、ゴロツキの毒牙にかかろうとしていた……。

 

「ヒィッ!く、来るな!」

 

「あ?頼み事聞いてもらえる立場か?さんざ俺達をコケにしといて、虫が良すぎるだろ。」

 

 満身創痍のシスターに近づくのは『怪物強盗(スラッシャー)』賽。

 その歩いてきた道筋には、多数のシスターの骸。胸が致死的なまでに凹んだ死体もあれば、目玉ごと脳髄を貫かれていた死体も、傍目には何の外傷も見られない死体もあった。その死体は全て、賽によって作り出されたものだった。

 

「お前もあのクソアマ共と同じように、三途の川を渡りな。六文銭はやらんがな。」

 

「た、助け」ゴキッ。

 

 賽は命乞いを一切気にせず、首をへし折った。その動きはあまりに自然で、まるで歩く時に足を前に出すかのような当たり前の動作めいていた。

 

「あークソ……変に逃げ回りやがって……。面倒くさいったりゃありゃしねぇ。」

 

 無論、賽も無傷というわけではない。アニェーゼ部隊のシスターによる抵抗により、体中に打撲、裂傷、擦り傷といった無数の傷ができていた。だが、賽や他のゴロツキ達は、この程度の傷で止められるほどヤワではなく、そして悪意あるチョッカイを出されてキレないほど善良でもなかった。

 

 シスターを殺して一息ついた賽はしかし、自分を追ってくる足音に気付いた。

 

(妙だな……シスター共がチンピラ連中を片付けて俺を殺しに来たのか?にしちゃ足音が女らしくねぇ……。)

 

 そして己のもとにやってきた人間を見て、鼻を鳴らした。分かり切った答えを、念のため尋ねる。ツンツン頭の小僧に。

 

「ハッ……小僧。何しに来た?」

 

「決まってんだろ。お前らを止めに来た。」

 

「ほう……クソガキ。こいつらはとんでもねぇ腐れ雌餓鬼共だぞ。助ける理由が分からんが。」

 

「確かに、アニェーゼ部隊のシスター達は、オルソラを滅茶苦茶な理由で連れ去ろうとした。あんた達も、ひどい目にあわされたのかもしれねぇ。……だけど、こんなふうに、理由もなく理不尽に命を奪われて良い訳がねぇだろうが!こいつらにだって、悔い改める機会はあっていいはずだぞ!」

 

 上条の叫びに、賽は淡々と返す。賽にとって、上条の発言は、取るに足らない戯言だった。それは今オルソラ教会にいるゴロツキ共、ひいては『鋼龍』やその同盟組織の構成員全てにとっても同様。

 

「お前、アホか。正しいとか、正しくねぇとか、端から興味ねぇんだよ。俺達はな、こいつらが気に食わねぇから殺すんだよ。人が人をシメる理由なんざ、それで十分だろうが。」

 

「……お前らの、気に食わない奴は誰でも殺していいっていう、そのふざけた幻想を、ぶち殺す!」

 

 上条当麻が、こぶしを握り、走り出した!

 

――オルソラ教会のある部屋――

 

 『解体屋』は、解体されたシスターの骸の周辺で、一息ついていた。そして、何かを思いついたかのようにトランシーバーを取り出し、他のゴロツキ共と連絡を取り始めた。

 

「あーあー、こちらバラシヤぁ。シスター共は全員あの世行きぃ。手伝いが欲しいやつはいるかいぃ?……いや嘘、こっちに増援が来たから、援軍は無理ぃ。自分で頑張ってぇ。」

 

 『解体屋』が”増援”と呼んだ男は、白スーツスタイリッシュ錬金術師、アウレオルス=イザードであった。『解体屋』はローブをはだけさせ、中から多数の金属アームを出す。アウレオルスは、奇妙な金属光沢を放つ義手を構える。

 

「あー……命乞いがあるなら聞くがぁ?」

 

「笑止。」

 

 両者が睨み合い、そして同時に動き出す……!

 

――オルソラ教会・婚姻聖堂――

 

 オルソラ教会の壊され尽くした婚姻聖堂に鎮座するトラックの車内で、『人形師』は自分の作った数多の人形が、オートでシスター達を虐殺するのを見ていた。

 彼が作る人形は、死体を利用した骨格標本めいた奇怪な代物。視覚的にも恐怖を植え付け、備え付けた強化筋肉の一撃は人間を殺すのには十分すぎる威力がある。

 

 オルソラ教会の出入り口は、人形で塞いでいる。最初に逃げ出したアホシスター共を除いて、アニェーゼ部隊の連中を逃すことなどありえない。

 すべてが盤石だと思っていた。

 

 車外に明らかにシスターではない男女の集団が見えるまでは。

 

「……クヒャハハハハハハハハァァァーーーーッ!!あまりにも上手くいきすぎて退屈してたところだァーーーッ!新作の実験台になってもらうぜェーーーーッ!!!!!腐れ天草式のクソ共ォッッッ!!」

 

 しかし、『人形師』はむしろ、イレギュラーを歓迎するように、高らかに笑う。トラックを飛び出し、運転席の上に飛び乗り、人形の操り手めいて手を動かす。

 すると、ヒト型の人形が飛び出したコンテナに残された、幌に包まれた影が、ギシギシ、グググッと音を立てながら、鎌首をもたげ、圧縮された手足を伸ばし、その真の姿を明らかにしていく。

 

 百足に筋肉付き骨格標本の意匠を組み込んだ巨大な”人形”。それが、”新作”の正体であった。

 

「事前の情報と違う……!これは……!?」

 

 『人形師』の制圧に向かった天草式の魔術師達は、『人形師』の”新作”をこの世界で初めて目にすることとなった……!否応なしに、天草式VS『人形師』のゴングが鳴る……!

 

 

 かくして、正義の味方(ヒーロー)の反撃が始まった……!




「とある外道の6人組」をお気に入り登録してくださった読者の皆さん、本当にありがとうございます!これからも「とある外道の6人組」をよろしくお願いします!

『人形師』のモデルはlibrary of ruinaのゼホンさんです。人形も、それに準ずるデザインになっております。

※2023/10/27 加筆修正
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