――ロンドン旧地下道――
「あー畜生!ムシャクシャするぜ!」
暗いトンネル染みた道を歩くのは秋津浦々。彼は先刻のドロームの檄に応じて地上に打って出ようとしたところ、ドロームから引き留められたのであった。せっかくの暴れる機会を奪われた浦々は不満たらたらでドロームの元に向かっているのであった。
「おっ!煤も来たのう!じゃ、作戦を詰めようやないけ」
秋津浦々、つまり煤がドロームの元に辿り着くと、既に『スウォーム』のメンツがブルーシートに座っている。煤にとって、『スウォーム』は矢面に立とうとせずケチな小細工に終始する小物に過ぎない。
「何でこんな腑抜け共がここにいんだよ、長老!」
「簡単な話よ。おんしとコイツ等でエディンバラを落としてこい」
「……あ?」
怒鳴る煤に対して、淡々と用事を伝えるドローム。聞きなれぬ固有名詞に眉をひそめる煤。それを見た蠢動が追加で説明を入れる。
「エディンバラというのは、このロンドンの北にある都市だ。コイツの部下が様々な資料を強奪した資料と『目覚め待つ宵闇』の分析によると、ロンドンの連中がエディンバラに退却した場合、大勢を立て直される危険があるらしいからな。我々はそれを前もって潰しに行くということだ」
「そんなもん、俺一人で十分だろうが!!」
反射的に怒鳴り散らかす煤に怯えながらも、山手が補足説明を加える。
「た、確かにアンタの強さは圧倒的だ。だけどよ、イギリスの連中がこのままロンドンに籠城するとは思えねぇ。きっとエディンバラに撤退しに来る。俺達はそこを叩く。その
「……テメェら如きがかァ?」
「あ、ああ」
煤は足りない頭を使いながら、山手の発言を咀嚼する。魔術師共は今、己の国の首都であるロンドンの防衛に集中しているだろう。ゆえに、エディンバラとやらはスカスカで、サッサと潰せるだろう。コイツ等がついて来る意味が分からない。
そこまで思考を巡らせ、煤は『スウォーム』とそれを連れてきたドロームを睨む。しかし睨まれているにも拘らずドロームはニコニコしており、『スウォーム』の同行について一切譲る気がないらしい。ここで殴り合いをしても、勝つのはドロームであり、煤の意見が通る目算は低い。
「……チッ。しょうがねぇなぁ。足だけは引っ張るんじゃねぇぞ」
「おっ! 分かってくれたんじゃのう! なら、すぐにでもエディンバラに行ってくれ! あいつらを袋のネズミにするんじゃぁ!」