――ロンドン市街――
煤と『スウォーム』がエディンバラに向けて発った頃、クロウリーズ・ハザード、『鋼龍』、イギリス清教の三勢力が争うロンドンでは、抗争が新たな局面へと向かっていた。
「なんじゃありゃぁ!?」
「撤退だ! とんずらだ! イギリスの奴ら、とんでもねぇもん出してきやがったぞ!」
「長老に知らせねえと!」
数十分前まで魔術師やクロウリーを殴り散らかしていたゴロツキ共が、敗残兵じみて遁走している。彼らの背後では、まさしく神話の光景が繰り広げられていた。
天高くそびえたつオベリスクが雷を落とし、テムズ川には巨大なワニが両岸を睥睨し、巨大投石器が真球の岩をやたらめったら投げつける。クロウリーズ・ハザードも、『鋼龍』のゴロツキ共もこれにはたじたじであった。
「ああいうめんどいのは散々とか煤の兄貴やギャクさんに押し付けんが筋だぜ!」
「おこぼれ拾って逃げるぞ! イヤーッ!」
「グワーッ!?」
ゴロツキ共ははうはうのていで逃走し、時折避難し遅れた魔術師を殴りつける! まさしくゴキブリめいて逃げる彼らは、上空にて繰り広げられる闘いなど、目の端にすら入れていない。
「イヤーッ!」
「グワーッ!?」
身体中に武器が突き刺さった巨漢が、可憐な少女めいた影を蹴り飛ばしている。巨漢は橋詰悠々。少女の方は、学園都市統括理事長としての意識をもつアレイスター・クロウリー。クロウリーがビルの屋上に叩き付けられると同時に悠々も同じビルに着地した。
「……暴力を。天まで届く、暴力を」
「ぐっ……!?」
アレイスター・クロウリーは歯噛みする。オベリスクやワニ、投石器と言った
アレイスターが把握していない謎めいた武術で、アレイスターが魔術を発動するよりも先に暴力をふるってくる。挑発して調子を崩そうにも、相手は発狂しているのか話が通じない。
「我等暴力によりて神々を滅ぼし、もって究極存在とならん」
「壊れたレコードプレイヤーでももう少し気の利いた事を言うぞ。頭が壊れているのか?」
減らず口を叩きながら後退し、大勢を立て直そうとしたアレイスターだったが、悠々の拳がハヤイ!
「イヤーッ!」
「グワーッ!?」
『
悠々の発言が伏線になるとかは今後一切ありません。狂人の戯言として処理してください。