とある外道の6人組   作:毛糸ー

202 / 203
神威混淆(ディバインミクスチャ)、絶対もっとやれただろ。


5.死せる電子の神のしもべ

――ロンドン旧下水道――

 

 今や『鋼龍』をはじめとする『6人組』の牙城と化したロンドンの地下深くにて、座禅する影がある。ゴロツキ共の喧騒から遠く離れた暗いトンネルの中にいるその影こそ、椎名朗々。『鋼龍』が誇る魔術ハッカーである。その彼は今、深く瞑想の中にいる。

 

 朗々は現在、イギリスの電子的インフラを完全にハックし、『6人組』の意のままに操っている。市民同士の対立を煽り、謎めいた力を操る清教への疑念を生み、不信と諍いの種をそこら中にばらまいているのだ。

 

 しかし現在、イギリス電子インフラのハックが一段落したところで、朗々は別のものをハックせんとし始めた。その標的はロンドンに展開された神威混淆(ディバインミクスチャ)である。

 

 電子の地平に飛んでいる朗々の意識体は、5つの神威混淆(ディバインミクスチャ)を見下ろしている。ロンドンに混沌をもたらしているもの、クロウリーズ・ハザードに対処すべく運び出されているもの、両者関係なく朗々の前ではその真の名をさらけ出されている。

 

 オベリスクめいてロンドンに突き刺さるラー=ゼウス。テムズ川を泳ぐオシリス=ハデス。岩石を投げまくるテフヌト=アルテミス。荷台内で揺れるワチェット=レト。そしてさるシスターが纏わんとしているイシス=デメーテル。

 

 まず朗々が乗っ取ったのはイシス=デメーテル。電子空間内でバラめいて振舞っていた霊装に朗々が電子唾を吐きかけると、植物めいた霊装は急成長し、世界樹めいて膨れ上がる。現実世界においても、この霊装の周囲を取り囲んでいたシスター数十名と魔術師を食い潰しながら成長し始める。

 

 そして朗々は続けざまに残る神威混淆(ディバインミクスチャ)を掌握しにかかった……!

 

 

――特能総研謹製UFO内部――

 

 無事に打ちあがったUFO内部にいる特能総研のメンバーは、ロンドンの狂騒の変化に真っ先に気付いた。

 

「……んん?」

 

 無感動にロンドンの地獄絵図を見下ろしていたザゾグは、ランダムな破壊がだんだんとパターンを形作っていくのに気付き、眉をひそめた。

 

「どうしたんすか? なんか面白いものでも見つけました?」

「……あの3つの奇怪なオブジェ共*1、さっきから攻撃を一定方向に集中している。妙だ」

「そうだねぇ。さっきまでの無差別な破壊とは、明らかにパターンが違うよ」

「明らかに何者かの作為が働いているな。だが誰だ? 『鋼龍』の連中か? それともイギリスの魔術師達か?」

 

 各々が神威混淆(ディバインミクスチャ)の破壊に働く作為について意見を出し合う中、巨木の足元で蠢く者共がいた……!

*1
ロンドンに展開されているラー=ゼウス、オシリス=ハデス、テフヌト=アルテミスの3つの神威混淆(ディバインミクスチャ)のこと。

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