とある外道の6人組   作:毛糸ー

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初見の人は、数ある小説の中から「とある外道の6人組」を選んでくださり、ありがとうございます!
継続して読んでくださっている方々は、これからも「とある外道の6人組」をよろしくお願いします!


旧約 第4章:『分類不能(ブランクペーパー)
0.史上最大の企み


――ロンドン・廃棄地下鉄網・浅層――

 

 ロンドンの地下鉄網最下層に、『鋼龍』同盟組織『奈落街』のアジトはある。『鋼龍』のボス、ドロームによる異世界訪問希望者・希望組織に名を連ね、”この世界”へとやってきた彼らは、”元の世界”と同様、下水道に巣食う油断ならぬ不死者組織として振舞っている。

 

 『奈落街』の構成員は全員ゾンビだ。その上、彼らは全員、()()()()()()()()()。それは何故か?それを伝えるのは、今ではない……!

 

 普段彼らは地下深くに潜み、偶に深夜一人で出歩く不用意魔術師を地の底に引きずり込んでビュッフェとしゃれこむなどの行為を行い、無聊を紛らわしている。だが、今日は待ち人がいる。それ故、ロンドンの地下鉄網の中でも、浅い層に『奈落街』の首魁、目白残無はいた。

 

 ……その待ち人、『目覚め待つ宵闇』のボス、アーランズ・ダークストリートがやってきた。副官らしき男も一緒だ。

 

「SHHHHHH……貴様が待ち人か?」

 

「ああ。彼はヴェイズ。よろしく頼むよ」

 

「……どうも」

 

 副官らしき男は、ぞんざいに礼をすると、三度笠に札を張りまくった胡乱な男に訝し気な視線を向ける。本当にこの男が、あの凶悪な『奈落街』の長なのか、と疑いながら。

 

 目白はそれを見て、クツクツと笑いながら、指パッチンを放つ。謎めいた奇怪粘液音がしたかと思うと、目白の背後に巨大肉塊壁がせり出す!そこには、巨大な口が!驚く二人をよそに、巨大な口が開く!中には猿轡とロープで拘束された魔術師が!

 

「クククク……これで一気に下まで行こうじゃないか」

 

 目白が言うように、この冒涜的口つき肉塊は、単なる昇降機にすぎぬ。それを悟ったアーランズは悠々と、ヴェイズはおっかなびっくり乗り込み、『奈落街』のアジトへ向かう……!

 

――『奈落街』のアジト――

 

「アバー」「肉肉肉肉肉!!肉肉肉肉肉ゥ!!」「クヒャァー、バァー」「アバー」「アバー」「アバー」「金……金返セ……」

 

 巨大肉塊リフトで降りてきた奈落街のアジトには、大量のゾンビがいた。テンプレート的ゾンビから、よく見ると体が土くれでできたゾンビ人形、下半身が重戦車と化した巨漢ゾンビなど、様々なゾンビが闊歩し、呻き、喚き散らしていた。

 

 物珍しげに、あるいは慄きながら周囲を見渡すアーランズとヴェイズを見て薄笑いを浮かべながら、目白は謎めいた黒カビに覆われた地下鉄網を先導する。自分たちに関する蘊蓄を披露しながら。

 

「この黒カビは我々の体に巣食い、ゾンビネットワーク的つながりを作り出しておる。それ故、私がこのカビを体外に展開すれば、彼らを呼び出すことすらできるのだよ」

 

「……なるほど」「アバー」「アバー」「アバー」「アバー」「アバー」

 

「あの土くれゾンビ達はゾンビプラント。土くれゾンビー達を司令塔となるゾンビーが操っておる群体ブロックチェーンゾンビーだ。一体一体のゾンビバイタル・コアが相互に保証する暗号構造ゆえに不死身に近い」

 

「……なるほど」「肉肉肉肉ゥ!肉!肉肉!」

 

「あの蜘蛛の八本足を腕代わりにつけているゾンビが気になるかね?あれはデヴィッドボーイ。冒涜的な人間剥製を使えば面白いゾンビ―ができるかと思ったが、失敗作だ。凡庸な肉喰いでしかない」

 

「……なるほど」「金……金返セ……返金……」

 

「……アレは凡庸なゾンビのポテトマッシャーだ。あれを作ったのは私としても不本意でな。凶悪な借金取りに襲われた際、粗悪品の『リザレクター』を打ち込んで自我破壊したんだが、いやはや、彼の金貸しにかける執念は本物だったらしい。何とか無力化したが、うわ言めいて返金を要求してくるのさ」

 

「……なるほど」

 

 しばらくは蘊蓄を上機嫌で語っていた目白だが、ヴェイズの適当な返事ぶりを見て話題を変える。目白は彼ら自身の事について、聞き出すことにした。

 

「時にミスター」

 

「私の事か?」

 

「ああ。なぜ、我々に味方したのかね?自分で言うのもなんだが、我々『奈落街』、ひいては『鋼龍』は、一般通念的にはロクデナシの集団だ。『必要悪の教会(ネセサリウス)』もいる中、我々と手を組むのはかなりリスキーだと思うがね」

 

 目白の質問に、アーランズは昔を懐かしむような顔をして答える。

 

「単純に、面白そうだと思ったからさ。私は昔、ギャンブラーとして生計を立てていたんだが、もっと面白いゲームがしたくなってね。だから、魔術に手を出したのさ。魔術にどっぷり漬かってしばらくしたころかな。彼が声をかけてきた」

 

 ヴェイズも目白も静かにアーランズの述懐に聞き入る。目白はドロームの協力者としてアーランズがふさわしいか見極めるために。ヴェイズは謎めいた同盟理由を知るために。

 

「奴はこう言ってきた。『ワシらと一緒に、世界をぶっ壊そう!どうせゲームをすんなら、世界の連中が死んでも忘れられんゲームをやろうやないけ!』とな。面白そうだったから、私はそれに乗った。それだけだよ」

 

「クククク……貴様とは仲良くやれそうだ。今後とも、よろしく頼むよ」

 

 目白はそれを聞いてクツクツと笑う。彼らが作戦会議を行うサーカステントめいた根城は、もうすぐそこにあった……。




『奈落街』では面白ゾンビ共を一杯出せるといいなぁ……。

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