とある外道の6人組   作:毛糸ー

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アーランズのクトゥルフ召喚が頓挫したところから。
というか、それ以前はほぼ原作通りで、建宮のセリフが多少変わったりするだけなので……

今回、『6人組』にとってのターンポイントなんで、章題も真面目です。


1.地獄から帰ってきた魔術師

――ドーバー海峡・巨大フロートの小屋――

 

「テーブルトーク方式における、クトゥルフの分析か……。言われてみれば、そのような『楽しみ方』もあったものだな……」

 

 天草式によって、ルルイエ召喚という大魔術が失敗しても、アーランズは笑う。なぜなら、これは()()()に過ぎないからだ。己の趣味でしかないからだ。

 本命は『分類不能(ブランクペーパー)』。ここで集めたデータを送信し、『分類不能(ブランクペーパー)』を発動させるための布石にする。

 ルルイエ召喚は、データ収集作業兼囮に過ぎない。それゆえ、アーランズは思いっきり楽しんだ。その結果死んだとしても、何ら悔いはない。そう思い、ルルイエ浮上の代償を身に受けた。

「ぐぁ!?」

 

「おう、ようやっと起きよったのぉ!寝坊助が!」

 

 アーランズは、首筋に激しい痛みを感じ、二度と開かないと思っていた目を覚ました。目の前にいたのは、注射器を持ったドローム。

 

「……私は死んだはずでは?」

 

「アホんだらぁ!『6人組』のメンバーにそう簡単に死なれてたまるかい!」

 

 そう言って快活に笑うドロームを見て、アーランズは静かに笑った。それはそれとして、どうやって自分を死の淵から救い上げたかは気になった。

 

「それはそうと、私をどうやって蘇生したんだ?」

 

「あん?ワシが来た時にゃ全てが終わっとったが、おんしは生きとったぞ。天草式の連中がなんかしたんじゃろ。ワシは生命力を活性化させる薬をブチ込んでやっただけじゃて」

 

「そうか……」

 

 アーランズは天草式の甘さとドロームの気遣いに感謝したが、状況は良くない。ドロームが凶報を伝えたのだ。

 

「黄昏とる場合ちゃうぞ。天草式の奴ら、おんしが仕込んどった通信術式に気付きおったわ。ストーンヘンジの別動隊のとこへ向かっとる。ワシらもあいつらの元に行ってやらんとな」

 

「はるばる異世界から来た、『鋼龍』の同盟組織とやらがいるんだ。我々がわざわざ行ってやる必要は無いと思うがね」

 

「『奈落街』の連中は確かに強いが、隠密には向いとらん。フォローしてやらんと、鬱陶しい連中がチョロッチョロ湧いてきよるわい」

 

「そんな、ものか……!」

 

 ドロームの言葉を受けてアーランズは重い体を持ち上げ、歩いていくと『鋼龍』の同盟組織、『鋳鉄工業』が用意した潜水艦に乗り込んだ……!

 

――ストーンヘンジ近辺――

 

「……!来たか」

 

 ストーンヘンジの近くにいたお札だらけの三度笠を被った僧めいた男が呟いた。彼の名は目白残無。『鋼龍』同盟組織『奈落街』の長である。

 現在、『目覚め待つ宵闇』による『分類不能(ブランクペーパー)』完成のための儀式を妨害されないよう、ロンドンの下水道の最下層から這い出し、護衛を請け負っていた。

 

 その彼は今、儀式を妨害しようとする胡乱者どもの存在を察知。目白は、手に持った六尺棒を地面に打ち付け合図を送ると、無粋者共を始末しに向かう。

 

 かつて、『必要悪の教会(ネセサリウス)』に「止めどないゾンビの軍団」と称された恐るべき秘密結社が天草式に牙をむく……!

 

――ストーンヘンジ・儀式場――

 

「……!」

 

「……どうしました?」

 

「急ぐぞ。()()()()()()()()()()()()

 

 『目覚め待つ宵闇』の魔術師、ヴェイズは『奈落街』の長、目白が合図を送ったのを見て周囲の魔術師達を急かす。天草式という”敵”に嗅ぎつけられた以上、『奈落街』の処理能力を超える敵がさらにやってくる危険もある。早急に『分類不能(ブランクペーパー)』を完成させ、このストーンヘンジという目立つ場所から逃げ出すべきだ。

 

「しかし、この不気味な箱。一体何なんでしょうね。儀式に干渉している様子もないですし」

 

「さあな。アーランズ様は、儀式の場に置いておけば、とても笑えることになるとおっしゃっていたが」

 

 彼らの足元にある、不気味な箱。閉じた目玉の付いた血塗れの立方体であるそれは、『奈落街』からドロームの手を経て『目覚め待つ宵闇』に渡ったものであった……。

 

――ソールズベリー平原・ストーンヘンジへ向かう道――

 

「……!?」

 

「どうした!?」

 

 『目覚め待つ宵闇』のいるストーンヘンジへ先行偵察へ向かった香焼は、突然つんのめって転んだ。それを初老の諫早が見て、香焼の元へ駆け寄る。

 

「いや、何かが足首を掴ん、で……」

 

 香焼が、足首を掴んで自分を転ばせた何者かを見ようとして後ろを振り向くと、そこには、腐肉の腕が!香焼と諫早は一瞬固まると、声にならぬ悲鳴をあげながら信号弾めいたサインを、後ろで待つ建宮達に送る!

 

「アバーッ!」

 

「うわぁぁぁ!?」

 

 それと同時に、地中から腐肉死体が飛び出し、躍りかかる!だが、天草式も手練れの魔術師集団!諫早が恐慌状態にありながらも、メイスでゾンビの頭を叩き潰す!

 

「アバッ!?」

 

「アバーッ!」

「アバーッ!」

「アバーッ!」

「アバーッ!」

「アバーッ!」

「アバーッ!」

「アバーッ!」

 

 頭蓋が叩き潰されるグシャリという音を合図にして、地中からは追加ゾンビが大量に飛び出し、襲い掛かる!

 

「くっそ!B級、ホラーかっての!」

 

「アバーッ!?」

「アバー」

「アバー」

「アバ、アバババッ、アバーッ!?」

 

 香焼は接近ゾンビの足を断ち切り、転倒させ、その上を移動する!そして、転倒ゾンビを他のゾンビが踏みつけ、香焼を追う!

 

「死体を弄ぶとは、何という奴らだ!」

 

「アバッ!?」

「アババーッ!?」

「アバーッ!?」

 

 諫早は声に斯様な行為に手を染めた非道魔術師に対する怒りを滲ませながら、最接近ゾンビの頭を粉砕!そのまま胴を横殴りにし、後続ゾンビをなぎ倒す!

 

 天草式と、『奈落街』の前哨戦が始まった……!




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※2023/10/24 改稿
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