とある外道の6人組   作:毛糸ー

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2.理不尽な借金は踏み倒すべし

――ストーンヘンジ――

 

「『分類不能(ブランクペーパー)』、完成します!」

 

「ああ。我等の手で新たな時代を作り上げよう」

 

 ストーンヘンジでの『分類不能(ブランクペーパー)』の儀式は妨害を受けることなくつつがなく進行し、完成しようとしていた。

 

 そして今、最後の一手順が、終わった!『分類不能(ブランクペーパー)』が、発動する!

 

「!?ぐあぁぁぁ!?」

「ぎゃぁぁぁ!?」

「い、痛い痛い痛い!?」

「脳がぁぁぁ!?」

 

 そしてその瞬間、ヴェイズ他、『目覚め待つ宵闇』構成員の脳髄に大量の情報が流れ込み、()()()()()()()()脳髄を犯された!

 そもそも、本来何十年もかかる学術分野の発展を数秒で終わらせる怪物めいた術式である『分類不能(ブランクペーパー)』が、代償もなく使える魔術であるわけがなかった。無論、それはアーランズ以下、『目覚め待つ宵闇』の魔術師も考えていたことであり、『分類不能(ブランクペーパー)』には、代償を踏み倒す仕組みを仕込んではいた。

 だが、踏み倒されてなお、『分類不能(ブランクペーパー)』の余波は、『目覚め待つ宵闇』の別動隊全員の脳髄を焼き切るのに、十分すぎるほどの威力を持っていた。

 

 このままなら、『目覚め待つ宵闇』は人類に不相応な術式を夢見て自滅した愚かな魔術結社として、後世に語り継がれていただろう。

 

 だが、ヴェイズ達が気味悪がっていた肉塊立方体が、それぞれの面についた目玉をかっと見開くと、ブレイクダンスめいて撥ね、蠢くヴェイズ達の中央に着地すると、見開かれた目玉から青色の煙を360°上下左右前後に噴き出し、ブレイキンめいて回る!回る!回る!回る!

 そして、煙が全員へと行き渡ると、立方体は解けて消え、脳髄を犯されのたうち回っていた『目覚め待つ宵闇』の魔術師達が立ち上がり始めた。

 

「……『分類不能(ブランクペーパー)』は成功したようだな。」

 

「ええ。ですが……」

 

「想定以上の情報の奔流、これは『分類不能(ブランクペーパー)』の副作用であるから良いが、あの謎の煙についてはドロームに色々と聞かねばならぬようだ。」

 

「……とりあえず、ここから撤収しましょう。ボーンマスの海岸にて、『鋼龍』からの迎えがあるそうです。」

 

――『鋳鉄工業』潜水艦――

 

「……つまりヴェイズ達は、そのクスリ、『リザレクター』とやらのおかげでアンデッドになったということか?」

 

「そうじゃの。『分類不能(ブランクペーパー)』とやら、効果を見ても明らかにヤバそうじゃったからのう。保険じゃて。奴らが死にそうになったら、散布装置が発動するという寸法よ。」

 

「……私にもそのクスリを打ち込んだんだろう?貴様が私だけ仲間はずれにするはずもないからな」

 

「クカッ!やっぱりわかるか。そう。その通りよ。あの時おんしの首に打ち込んだのは、活力剤じゃぁなく、過剰量『リザレクター』よ!」

 

 『鋳鉄工業』の潜水艦の中で、アーランズとドロームは、ヴェイズ達が浴びた煙の正体、非道薬物『リザレクター』について話していた。

 

 ここで諸君らに、『リザレクター』について解説せねばなるまい!

 ドローム達がいた異世界にて、オーバードーザー(注:薬物過剰乱用者)共は、いくら乱用しても死なない薬物を作り上げようとしていた!その結晶が『リザレクター』なのだ!だが、この薬物にはある副作用があった!オーバードーザー共に、快感の代わりに不死の力をもたらすことである!そしてこの力は、”適正量”を長年摂取している場合にも、もたらされる……!

 オーバードーザー共にとっては失敗作でも、不死の力をもたらす特性は引く手あまたであった!多数の模造品や粗悪品、挙句の果てには不死の力のみをもたらす『リザレクター』の亜種まで作られ、事態は混迷を極めた!そして、鈍重かつ愚鈍な当局ですら、『リザレクター』の所有・製造を禁止する運びに至ったのだ!

 『鋼龍』の同盟組織『奈落街』の設立にも、この『リザレクター』は密接に関わっている。元々『リザレクター』のロングドーザー(注:薬物長期乱用者)破戒僧であった目白残無は、自分がアレンジした『リザレクター』を使い、一種のズンビー・ネットワーク(注:ズンビー=ゾンビ)をつくることで、『奈落街』を作り上げたのだ。

 

 そしてあろうことか、ドロームはその薬物を『目覚め待つ宵闇』の魔術師全員に摂取させ、全員をアンデッドに変えてしまったのだ!

 しかし、アーランズにそれを咎める様子はない。彼が求めるのは、楽しいゲームであり人間としての安息な生活ではないことが滲み出た態度だった。

 

「これから楽しくなりそうだ……!」

 

「クカカッ!違いない!」

 

 二人は目を見合わせ、笑った。

 

――ソールズベリー平原・ストーンヘンジへ向かう道――

 

「クッ……!」

 

 天草式十字凄教は、ゾンビの大軍を前に足踏みを強いられていた。その後ろに控える僧めいた男に手が届かぬほどに。

 

「アバーッ!」

 

「はぁっ!」

 

「アバーッ!?」

「アバーッ!?」

 

 天草式十字凄教のメンバーの一人、五和は襲い掛かってきたゾンビを槍で薙ぎ払う!ゾンビの戦闘力自体は、そう大したものではない。にもかかわらず、天草式が苦戦を強いられている要因、それは……

 

「くそっ!こいつら、また起き上がってきたのよな!?」

 

 そう、この腐れゾンビ共は、天草式が倒しても倒しても起き上がってくるのである!おかげで、襲い掛かってくるゾンビの数が一向に減らず、突破が難しい状況が続いているのだ!

 

 だが、そのジリー・プアー(注:徐々に不利。ジリ貧)の状況が、突然終わった。ゾンビ共が土に還り、目を離したすきに怪僧が消え、道が開けたのだ。しかし、天草式はそれを吉兆とは捉えられなかった。むしろ、時間稼ぎを完遂させられたかのような焦燥感と敗北感にとらわれながら、ストーンヘンジへ向かっていった……。

 

 ……この後、ストーンヘンジについた天草式は、全て後の祭りだったことを理解した。だが、紆余曲折あって『必要悪の教会(ネセサリウス)』への加入は何とか果たせた。

 しかし、『目覚め待つ宵闇』は雲隠れし、恐らくは『分類不能(ブランクペーパー)』も完成していることを思えば、素直に歓迎はできなかった……。




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分類不能(ブランクペーパー)』って効果が滅茶苦茶すぎて、とてもノーコストで扱える代物じゃないだろ……ということでこうなりました。
頑張れ、『目覚め待つ宵闇』。歩く死体ライフもそう悪いものじゃないぞ。

『奈落街』のコンセプトはニンジャスレイヤーのジェノサイドチルドレン。面白ズンビーどもをどんどん出せればいいなぁ……。

※2023/10/26 改稿
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