とある外道の6人組   作:毛糸ー

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1.尼に向かって撃て!

――学園都市・裏路地――

 

「いたぞぉっ!」

「追え追えっ!追えーっ!」

「あのアマ、手こずらせやがって!」

「捕まえたらブッ殺してやる!」

 

 美女が、殺気立ったチンピラ達に追いかけられていた。チンピラ達は思い思いの武器を持ち、そこに込められた殺意が焚火めいて立ち昇っていた。しかし、美女の表情には怯えは無く、むしろ薄っすらと笑みさえ浮かべていた。

 

「あらあら……女の子のお尻を追いかけるだけじゃ、相手は誘いに応じてくれないわよ?」KICK!

 

 そう言いながら、美女は側にあったゴミ箱を蹴り上げた!それは先頭を走るチンピラにぶつかり、後ろのチンピラ共も将棋倒し!

 

CRAAASH!

「「「「ウギャァァァッ!?」」」」

 

 チンピラ共の悲鳴を背後で聞きながら、美女は悠々と歩かんとする。だが、その前方から先程と同じようなチンピラの集団が歩いて来るのを見て、彼女は色っぽくゲンナリした。

 

「はぁ……しつこい子は嫌われるわよ?」

 

「言ってろクソアマ。挟み撃ちだぜ?」

 

 そして美女が後ろを振り返ると、ゴミ箱で連鎖転倒したチンピラ共が起き上がって殺意のこもった目玉を爛々と輝かせて美女を睨んでいた。

 

「終わりだぜクソアマ。洒落てる命乞いをしたら楽に殺してやる」

 

「……コレをあなたたちに使うつもりはなかったんだけど……でも、使わなかったら嬲り殺しにされちゃうしね。しょうがないか」

 

「ごちゃごちゃ言ってんじゃねェーッ!くたばりやがれェーッ!」

「ヒャッハー!死ねーッ!」

 

 チンピラが襲い掛かると同時!美女は暗記カードめいた紙束を取り出して何かを速記し、チンピラのてんでバラバラな打撃を避けながらそれを口に咥えて、吐き捨てた!

 すると、オリアナを中心にガス爆発めいた爆発が起こり、チンピラ十数名を一息に吹き飛ばした!

 

BOOOOOOOOM!!

「ギャース!」

「ぐえぇ!?」

「ウギャーッ!?」

「チキショウ!反則だァ!?」

「こ、このアマ!ただの運び屋じゃなかったのかよ!?」

 

「うふ♪そういえば、お姉さん名乗ってなかったわね。お姉さんはオリアナ=トムソン。運び屋なのは本当だけど、フリーの魔術師でもあるのよ♪」

 

 倒れたチンピラ達の間を悠々と通りながら、『追跡封じ(ルートディスターブ)』オリアナ=トムソンは悠々と街へと向かった。()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ……その数分後、チンピラ共がゆっくりと起き上がり始めた。そのうちの一人がトランシーバーでどこかに連絡を取り始めた。

 

「長老!話と違うじゃねぇか!あの運び屋の女、魔術使いやがったぞ!?」

 

 彼の発言を聞けばわかるであろう。現在学園都市には、自分たちのボスを『長老』と呼ぶ組織は一つしか存在しない。そう、彼らの所属は『鋼龍』である!そして通信の相手はドローム・A・ヴィスタ!

 

『あー……あの時、奴が魔術師とは言うたぞ?おんしが聞いとらんかっただけじゃろ?』

 

「え?そうなのか?」

 

『録音もあるぞ?』

 

「まじで?」

 

『マジじゃ。これからキチンと人の話は聞くんじゃな』

 

 ドロームがチンピラの思い込みを解消したところで、本題に移る。

 現在オリアナ=トムソンはチンピラ共の襲撃を悠々としのぎ切り、目的を遂行している。これは『鋼龍』にとって業腹なことであり、早急に何らかの対策をとる必要があった。

 

「……で、どうすんだこれから。アイツ、強いぜ」

 

『そうじゃのう。奴がこれほど強いとは想定外じゃった。もっと人数を増やしゃあ何とか出来るんじゃろけど、そうすると今度は警備員(サル)風紀委員(イヌ)が鬱陶しい』

 

「アイツら、ボランティアの癖にやたら勤勉だからなぁ……。ちょっとはサボれよ」

 

『ま、そんなことを言うてもしゃあない。それこそ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。……オリアナへの対抗策じゃが、スカーに奴をつけさせる。そんで、人気の少ないとこに行ったら、ズドンっちゅう寸法よ」

 

「本当に大丈夫かぁ?」

 

 スカーは普段マトモなように見せかけているが、本性は血に飢えた狩人である。オリアナに白昼堂々襲い掛かりかねない。チンピラの不安も当然だった。だが、ドロームは自信をもって保証する。

 

『いーや、大丈夫じゃろ。奴は人狩りに取り憑かれたロクデナシじゃが、狩人だからこそ獲物を追い詰める過程を楽しむじゃろうて』

 

「そんなもんかぁ?あ、そうそう。もう一人いたよな、ローマ正教の奴」

 

『ああ、リドヴィア=ロレンツェッティな。奴の件なら、すこぶる順調じゃぞ。()()()に気付く様子もないわい』

 

「クケケケ……獅子身中の虫がいるのにも気づかず、気楽なもんだなぁ、オイ」

 

『気楽に殺ろうやんけ。どうせ特能総研の連中の実地試験もあるしのう!』

 

 ドロームとチンピラは通信機越しに低く笑う……!その先にある血の匂いを感じ取って……!

 

――特能総研――

 

「はー……研究所なのになんで軽トラがあるんだ、と思ってましたけど、これを乗せるためだったんですね!」

 

「ああ。所長が最近根を詰めて作っていた逸品さ。これが完全に完成すれば、アレイスターをも簡単に抹殺できると豪語していたよ」

 

 特能総研の車庫にて、木原交雑と『博士』が軽トラに乗った巨大なスパコンが下部にドッキングした光学二球式投影機(プラネタリウム)めいた代物を見ていた。

 

「しかし、『大気戦艦アトモスフィア』でしたっけ?語るに値しない妄言ですけど、まさか本当に作るとはね」

 

「まぁ、所長曰く、有効範囲も実現可能な動作もかなり縮小された簡易版らしいがね。伝聞だけではこれが限界だったらしい」

 

「伝聞でここまでできるなんて、十分化け物ですよ」

(実際不思議だ。なぜ()()は所長を過小評価しているのか……)

 

 彼らが話している『大気戦艦アトモスフィア』というのは、ドロームがいた”異世界”にて提唱された、「世界の大気を支配する装置を作ることができれば、それは世界最強の戦艦といえる』という概念だ。

 ドロームがいた”異世界”においては、『何で戦艦?』『そもそもそんなものを作るぐらいなら、ミサイルを撃ち込んだ方が早い』ということで、まともな兵器開発者や科学者からは無視されている。

 

 だが、『6人組』の定例会でドロームがポロッと漏らしたこの概念を聞き、ザゾグは学園都市における能力の一つ、風力使い(エアロシューター)を科学で再現しようとする研究を参考にして、妄言の中だけの存在を実際に作り出したのである……!

 

「……これを向けられる相手に同情しますよ」

 

「所長に言わせると、腐れテロリストだそうだ。つまり、塵にしても一切構わないらしい」

 

「その人にも、愛する人がいるのでしょう?」

 

「……だから君は、木原一族の中でも下の方なんだな」

 

 簡易版『大気戦艦アトモスフィア』の”主砲”は、もう間もなくオリアナ=トムソンに向けられようとしている……!




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というか、何にも反応がないと心が折れそうです……。何かレスポンスを返してください……。

はい。ドロームの発言中に後の伏線を絡めましたが、気付きましたでしょうか?気付いた人は感想あるいはメッセージをください。

※2023/11/2 修正
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