とある外道の6人組   作:毛糸ー

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「とある外道の6人組」を読んでくださり、本当にありがとうございます!

「とあるシリーズ」って固有ワードが多すぎて、色々解説しないといけないのが大変だなぁと思う今日この頃。

話は変わりますが、現在進行形で旧約9・10巻のプロットが死にまくっています。活動報告にも載せましたが、更新はかなり遅れます。ご了承ください。


2.ネズミ捕り

――学園都市・表街道――

 

 切っ先を向けただけで聖人を殺す霊装『刺突杭剣(スタブソード)』の取引を止めるための追っ手を撒いたオリアナ=トムソンは、悠々と街を歩いていた。相手が使用したこちらの動きを追跡する術式も迎撃し、彼女は一息ついていた。

 

 そのため、考えもしなかったのだ。彼女が学園都市に侵入した際に彼女にちょっかいをかけてきたゴロツキの類がまだいるとは。そして、彼女の5mほど後方に、血に飢えた狩人がいることなど。

 

BLAM!

 

 突然の銃声!そして足首を貫く痛み!周囲の人間はパニックに陥り、ある者は警備員(アンチスキル)風紀委員(ジャッジメント)に通報し、ある者は逃げ去った!うずくまったオリアナが後ろを見ると……

 

「逃げろ!

  逃げろ!

   走って逃げろ!

 

 逃げろ!

  逃げろ!

   喚いて逃げろ!

 

 精々足掻け! 俺を楽しませろ!

 兎には それがお似合いだ!」

 

 ……明らかに”狩り”に酔った、灰色のコートを着た狂人が一人、アンティークマスケットめいた銃を発砲した姿勢のまま、突っ立っていた!

 狂気しかない眼光!吊り上がった口角!囃し立てるような言葉の調子!何よりも、衆人環視の中で銃を発砲した凶行!その全てが、目の前の相手には話が通じないことをありありと伝えていた……!

 

 だが何故か、目の前の相手はオリアナを眼前にしながら動かない。自分を追い詰めるのを楽しむつもりか。

 オリアナはそれを確認すると、使い捨ての魔道書『速記原典(ショートハンド)』を利用して傷の治療を済ませると、急いでその場から駆け出した……。

 

(お姉さんも舐められたものね……。善悪の基準点を作るために、引くわけにいかないのよ……!)

 

――鋼龍アジト『ストレンジの九龍城』最上階――

 

「ワハハハハハッ!あのアホやりよった!!やりおった!やりおったぞ!」

 

 それと同時刻。『鋼龍』の長、ドロームは腹を抱えていた。確かに油断したら撃ち殺せ、とは指示した。だが、衆人環視の中で発砲しろとは言ってない。

 

「クククッ!……しゃあない、ワシがきちんと指示せんかったのも悪いからのう」

 

 ドロームは()()()()()()()のモニタ群を見ながらため息をつく。ある画面には、棒立ちしていた『人狩人』O・スカーがゆっくりとオリアナを追い始める様子が写っていた。

 別の画面には、警備員(アンチスキル)が通報を受け、動き出す様子をありありと伝えていた。その映像は、学園都市内における『鋼龍』の今後を憂慮するには十分すぎる不穏な映像だった。

 

「はー……こりゃ、警備員(サル)風紀委員(イヌ)がワシらに本格的にちょっかいかけてくる日も近いかものう……」

 

 ドロームは右手で額を抑えながら、何をすべきか考える。

 

(ワシが聖人の在処を教えたばっかりに、こんな時に頼りになるアンドレはどっか行っちまっとるしのう……)

 

 現状、『鋼龍』が動かせる戦力は多いとは言えない。警備員(アンチスキル)風紀委員(ジャッジメント)を鎧袖一触で蹴散らせるアンドレは、()()で味を占めたのか、聖人ハンティングに出かけている。『解体屋』と『人形師』は哀れにもそれに付き合わされた。

 自分が出ようにも、十三騎士団を一人で殺したせいでチンピラ達から顰蹙を買い、ローマ正教の案件には出張ってくるなと言われている。警備員(アンチスキル)風紀委員(ジャッジメント)を殺すために出張っても、チンピラ達に勘違いされる恐れもある。

 

 いくら『鋼龍』のチンピラ達も凶悪とはいえ、警備員(アンチスキル)風紀委員(ジャッジメント)に多勢で襲われれば捕まってしまうだろう。多勢を弾き返せるのは、制御不能のO・スカーと、アジトには居るが、頭が弱いヒダルマだけなのは、非常に心もとなかった。

 

 さらに、オリアナがどこに来ても襲撃できるよう、チンピラ達を分散配置しているのも良くない。各個確保される恐れがある。

 

 ドロームはトランシーバーを手に取り、チンピラ全員に連絡を入れる……。

 

「あーあー、ワシだ。おんしら、よう聞け。スカーのアホが大通りのど真ん中で発砲しよった。」

 

『ハァ!?』

『アイツ、いつもマトモなふりしといて、そんなことやらかすなよ!』

『ウッソだろオイ!』

『信じらんねぇ!』

 

「このままだと、ほぼ間違うなく、警備員(サル)風紀委員(イヌ)、その他雑多な連中がワシらにちょっかいをかけてくる。スカーの奴が口を滑らしよったら、ワシらのアジトにまで連中が押し寄せてくる。これは、分かるな?」

 

『ま、確かに』

『クソポリ公共が!』

『蠅みてぇに鬱陶しいからなぁ、アイツ等』

『嫌な予感……』

 

「ちゅうわけで、じゃ。おんしら、ワシらのアジトに戻ってこい。」

 

『え~!?』

『クッソ、スカーの奴……』

『分かってたけどよ……』

『まぁ、しょうがねぇよなぁ……』

 

 ドロームがチンピラ共に指示したのは、事実上の撤退であった。チンピラ共は不精不精ながらもその指示に従うほかない。この件については完全にスカーが悪いからだ。しかし、ドロームが次に知らせたのは吉報だった。

 

「その代わり、おんしら安心せい!リドヴィアのクソボケ女は、賽の尾行に全く気づいとりゃせん!確実に拉致れるぞ!」

 

『ヒャッハーッ!』

『賽さんの仕事はいつも適格だぜェーッ!』

『ヒャーッ!すんげぇぜ!』

『スカーとは大違いだ!何ともねぇぜ!』

 

(これで特能総研の連中がオリアナを拉致ってくれりゃぁ完璧なんじゃがなぁ……!)

 

 降って湧いた吉報にチンピラ共が喜ぶ中、ドロームは別のことを考えていた……。迫る。『大気戦艦アトモスフィア』の初陣が。




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