とある外道の6人組   作:毛糸ー

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今更ですが、この作品はオリキャラが多数出ます。ご注意を。


3.恐るべき探究者

―――学園都市で開発されている超能力は、自分だけの現実(パーソナルリアリティ)という認識のズレによりミクロな世界を歪め、マクロな世界に超自然現象を引き起こす。学園都市内では能力と呼称され、能力開発という一定のノウハウに基づき発現させられる―――

 

――特殊能力総合研究所・所長室――

 

「所長!所長!大発見!大発見で……っていないじゃないですか!?」

 

 学園都市第十区にそびえる特殊能力総合研究所。略称は特能総研。

 その所長室に駆け込んだ年若い研究員は、所長がいなかったせいで出鼻をくじかれてしまった。

 

 彼は木原交雑。木原一族の一人であり、スパイとして特殊能力総合研究所に派遣された研究者である。木原一族とは、学園都市が誇るスーパーマッドサイエンティスト集団であり、学園都市の闇の一角を担う存在だ。

 交雑は木原一族の中でも地位が低く、スパイ活動をしていることすら忘れられている節がある。それゆえ彼は割と好き放題しており、今は特能総研の専属研究員といっていい立場にある。

 

 特能総研は『特殊能力』総合研究所と銘打つように、科学サイドの超能力や魔術サイドの魔術に限らず、生まれながらに奇妙な力を持つ『原石』や、神の子に似た身体構造を持つ『聖人』のような特殊な能力全般について研究している施設である。さらに研究対象は人間に限らず、特異な能力を持つ生物や特殊な構造の構築物にも及ぶ。

 つまり、研究対象は一般から逸脱していれば割と何でも良い。そして研究員は普段好き勝手に自分の研究対象を研究しながら、時に研究報告において異分野の研究員からの学びを得たり、共同研究を行ったりしている。

 

 このように特能総研は奇妙な研究機関であるが、その所長もかなりの奇人である。

・事あるごとに言葉の限りを尽くして統括理事会理事長『アレイスター=クロウリー』を罵倒する。

・学園都市の技術を全て外部に明らかにするよう要求する。

・極めてエキセントリックな人格の持ち主であり、暗部も近寄らない。

・木原一族の一人(しかもかなりの高位の人物!)と深い親交を持つ。

・ある木原が称して曰く、「頭のネジを全て抜き取ってプラズマにしたかのような人格の持ち主」

 

 所長はかような奇人だが、有能な研究者(本人は自分のことを探究者と称するが。)であることに違いはない。「極限まで縮小した生態系から、半永久的にエネルギーを取り出す技術」などその最たるものである。だが、その奇行から、特能総研所長は学園都市内の研究者の中では日陰者であった。

 

「いやー……困りましたねぇ。一体どこに行ったのやら。」

 

 そんな概要はさておき、所長室にいる交雑は一人、立ち尽くすのだった……。

 

 

――第七学区・あるビルの屋上――

 

 プロの魔術師、神裂火織とステイル=マグヌスは困惑していた。彼らはとある少女の記憶を消し、救うためにこの学園都市に侵入した。しかし、ステイルがとあるツンツン頭の少年に少女の確保を妨害されたため、善後策を練るためにビルの屋上で話し合っていた。

 

 そこに、不気味な男が現れた。男は緑のレインコートとサファリハットを纏うガタイのいい大男で、コートの襟とサファリハットのせいで顔は見えないが、隙間から垣間見える黄色の目玉が神裂とステイルを睨んでいた。

 

 当初二人はこの奇妙な闖入者に対し臨戦態勢をとったが、男はただ、神裂とステイルを凝視しているだけだった。しかし、異常な圧力が神裂とステイルの肩にのしかかっていた……。

 

「キミは、何者なんだ?何故、僕らを見ている?」

 

「…………。」

 

 ステイルの誰何にも構わず、男は無言のまま、屋上から立ち去った。これには、神裂とステイルもひどく困惑した。

 

「……何だったんだ?」

 

「分かりません。しかし、尋常ではない気配を放っていました。相当の手練れでしょう。」

 

「『派手に動きすぎるな』という、学園都市側からの牽制か?」

 

「それなら、何か言ってしかるべきでしょう。一体何が目的だったのか……。」

 

「……今は意味の分からない輩について考えるよりも、あの子を救う方策を考える方が重要だろう?」

 

「その通りですね。」

 

 彼らは奇妙な男のことはすぐに忘れ、哀れな少女を救うための策を練り始めた。その後、彼らはとある少女を救うためにツンツン頭の少年と共闘することになるが、それは別の話である。

 

――第七学区から第十学区に向かう道――

 

 ステイルと神裂がすぐに忘れ去った男は、第七区から、第十区に向かう道を歩いていた。

 

 彼の名はザゾグ・ザンリック。特能総研の所長であり、秘密結社『6人組』の一人である。『6人組』のメンバーは外道、あるいは狂人ぞろいであり、彼もまた、その例に漏れない存在であった。

 

「アレイスタアァー……!アァレイスタァァァーーー……!」

 

 無言で歩いていたザンリックは、黄色の瞳孔を縮めながら、怨敵の名を呟く。そして、怨敵共への怨嗟を高々と叫ぶ……! (通行人は逃げる。)

 

「アレイスタァァァーーーッ! クロウリィィィィィーーーッ!我等はっ!我々はっ!貴様の作った!つまらぬヴェールをっ!ぶち壊すっ!」

 

「そしてっ!クソガガンボ野郎っ!超越者気取りの貴様をっ!必ずっ!この地に引きずりおろすっ!震えて待つがいいっ!」

 

 憤激の叫びをあげながら、彼は特能総研に帰っていくのだった……。

 

 ……そしてこの咆哮通り、『6人組』はこの世界に大きな波乱を巻き起こしていくことは、今はまだ、誰も知らない……。

 

 ……ちなみに、ザンリックを探していた蠢動と「ブロック」の面々は、往来のど真ん中でザゾグが大声でアレイスターを罵っているのを見て、キレた。




 本人が出るまで1000字以上かけてしまった……。

 このヒトに関しては、色々伏線があります(ほぼ丸わかりでしょうが……) 。
アレイスターがこの人に関して何もしてないように見えるのは理由があります。
のちのちそれは描写していくつもりです。

 事前に予告したように、旧約1巻はこれだけで
終わりです。ご了承をお願いします。
(このシーン以外に改変要素はないんですもの……。いやマジで。)
 ……ステイルの口調ってこれで良かったっけ??
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