とある外道の6人組   作:毛糸ー

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『とある外道の6人組』を読んでくださり、本当にありがとうございます!

相変わらずプロットは死にまくっていますが、『とある外道の6人組』をこれからもよろしくお願いします!


3.『大気戦艦アトモスフィア』

――学園都市・自律バス内部――

 

 オリアナは先程自分以外の乗客がことごとく降り、実質的な貸し切り状態となったバス内で、一息ついていた。

 

(奴を撒くためにバス内に乗ったのが功を奏したわね。あの坊や達に捕捉されちゃうかもしれないけど、それは必要経費よね)

 

 あの衆人環視での発砲以降、”狩人”はわざとプレッシャーをかけながらオリアナを追っていた。常にオリアナと一定の距離を離し、姿を見せながら、虎視眈々と”狩る”時を見極めていたのだ。狩りを楽しむために。

 ”狩人”がオリアナはただ狩られるだけの哀れな相手と考えているのにオリアナはつけ込み、速記原典(ショートハンド)で最大火力を叩き込んで焼き殺そうとした。だが、”狩人”はそう容易い相手ではなかった。

 奴は焼けながら高笑いし、”狩人”確保のためにやってきた警備員(アンチスキル)を薙ぎ倒しながらオリアナを殺そうとしてきたのだ。

 

 そこでオリアナは”狩人”が警備員(アンチスキル)に気を取られた隙に自律バスに乗り込み、”狩人”を引き離したのだ。

 イギリス清教には捕捉されやすくなるだろうが、仕方ない。常時後ろから尾行され、いつでも妨害あるいは射殺されうる状態である方が危険だからだ。

 

 そうして危機をしのぎ切り、一息ついていたオリアナだったが、更なる危機が彼女に襲い掛かる!

 

 突然息苦しくなったかと思うと、頭が朦朧としだしたのだ!このまま気絶すれば間違いなく死ぬと直感した彼女は、何とか意識を保とうと模索しだした……!

 

 ここで彼女が外を見ていれば、自律バスに並走する軽トラに気付いただろう。その荷台に乗せられた、プラネタリウムめいた謎の機械と、それを動かす謎めいたトレンチコートの男にも。

 

――特能総研所有軽トラック――

 

「うわー……酸欠で目がちょっと飛び出てますよ、あの人。『大気を操る』って言葉は事実だったんですね……」

 

 自律バスに並走する軽トラの助手席で、『大気戦艦アトモスフィア』の試運転における成果の観察を指示された木原交雑は、目の前の光景に戦慄していた。

 件のテロリストが陥っている酸欠は、学園都市外のバスであっても起き得ない現象であり、あの『大気戦艦アトモスフィア』とやらが悪さをしているのは明白であった。

 

「気流だけではなく、気体の濃度までコントロールできるとは……。もし風力使い(エアロシューター)のレベル5がいれば、『Five_over』にすらなり得たかもしれないな」

(恐らく、テロリストが酸欠状態に陥っているのは、奴の周りの空気だけ酸素濃度を低下させているのだろうな。何故、彼の発明が注目されないのか理解に苦しむよ)

 

「あの女、もがいてますが、駄目ですね。酸欠で頭が回っていないのか、空回りしてます」

 

 木原交雑の発言を聞きながら、軽トラのハンドルを握る『博士』も所長の発明品の性能に感心していた。

 

 実際、『大気戦艦アトモスフィア』の性能は、大抵の風力使い(エアロシューター)を凌ぐ。兵器としては下手な能力者よりも優秀であることは言うまでもなかった。そして、これほどの代物を作り上げる特能総研所長が、冷や飯食いであることへ疑問を抱かせるほどに、『大気戦艦アトモスフィア』は優秀な兵器だった。

 

 学園都市製自律バスは、車内の環境に異常が起きると停車するようプログラムされているのだが、それが起こっていないということは、()()()()()()()()()()が低酸素環境になっていることを意味する。そしてテロリストがいくらもがいても酸欠から逃れられていないということは、テロリストがもがくのに合わせて、低酸素範囲をコントロールしているということになる。

 

 実際、運転している最中にも、カチャカチャと機械をいじる音が聞こえており、恐らく特能総研所長が『大気戦艦アトモスフィア』を操作しているのだろうと当たりがついた。このままではテロリストは死ぬな、と『博士』は淡々と考えていた……。

 

――学園都市・とあるバス停――

 

「くそっ!」

 

 上条当麻は歯噛みしていた。

 学園都市で『刺突殺剣(スタブソード)』の取引を行おうとし、その過程で無関係の学生を巻き込んだ魔術師、オリアナ=トムソンが乗っている自律バスを止めようとバス停に駆け付けた時には、バスはもうすでにバス停を通り過ぎてしまっていた。

 

「なぁ、カミやん。ここからじゃ良く見えないんだけど、あのバスの中ってオリアナのほかに乗客っていたかにゃー?」

「あん?そんなのどうだって良いだろ!」

 

 遅れてやってきた土御門があまりにのんびりした調子であったため、上条は苛立ちながら答えを返す。だが、土御門は、

 

「良いから。割と重要なことだし」

 

「……、いなかった、気がする」

 

「気がする?」

 

「いなかったよ!ああ、言われてみればほかの乗客はいなかった!多分、昼前でこの近くでやるリレーの予選Aを観るためにみんな降りたんだ!優勝候補が軒並み揃うから一日目の目玉になるとか、パンフレットに紹介されてたしな。それがどうしたって!?」

 

「それなら安心だ。―――ステイル。」

 

 そして土御門は上条ではなく電話越しのステイルに話しかけ、

 

「前に、自律バスの整備場で、バスの壁面にルーンのカードを貼り付けてたな?それがまだ生きてるならオーダーを頼む。()()()()5()1()5()4()4()5()7()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ……この瞬間、上条は土御門が何をするか察し、青褪めた。あのバスのそばには、軽トラが走っていなかったか?土御門が来た時には、バスが軽トラを丁度覆い隠し、軽トラが見えなかったのか?

 

「土御門!駄目だ!バスの横には軽トラが走ってる!」

 

KABOOOOOM!

 

「……嘘だろ」

 

「「ぎゃぁぁぁぁぁっ!!」」CRAAAAASH!

 

 上条の警告とバスのルーンの爆発はほぼ同時に起こった。ルーン爆発により倒れたバスのせいで謎の機械を載せた軽トラはビリヤードめいてはじき出され、建物の壁に激突。そのまま停止した。

 

――特能総研所有軽トラック――

 

 ……結局の所、突然の爆発によりスピンし壁に衝突した軽トラックは、荷台から壁に衝突した。それゆえ、運転席にいた『博士』と木原交雑は無事だった。()()()()

 衝突後、運転席から降りて急いで荷台に向かった『博士』と木原交雑は、大破した『気体戦艦アトモスフィア』と頭を強打し血を流しているザゾグを見つけると、急いでザゾグを降ろし、病院へと走って向かっていった……。




学園都市だし、自律バスにこのぐらいの機能はあっていいよね……。
ステイルの魔術による大破は、熱で回路がイカれたということで……。

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