とある外道の6人組   作:毛糸ー

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「とある外道の6人組」を読んでくださり、本当にありがとうございます!
これからも「とある外道の6人組」をよろしくお願いします!

※リドヴィアファン、ローマ正教ファンにとって不快な描写があります。ご注意ください。


EX.『殉教者皮ジャケット!これであなたも殉教者に!』

――『ストレンジの九龍城』――

 

「教えてくれ。何で宴会を開いてるんだ?学園都市支配に来たローマ正教徒を皆殺しに出来なかったんじゃないのか?」

 

 『鋼龍』アジト、『ストレンジの九龍城』にて開かれた宴会に参加していたアーランズ=ダークストリートは、宴会がなぜ開かれたのか、微妙に得心がいっていなかった。

 リドヴィアは捕らえたが、オリアナを取り逃がしたうえ、警備員(アンチスキル)風紀委員(ジャッジメント)と諍いを起こし、『ストレンジの九龍城』がマークされてしまったというのに。

 

「聖人を捕らえたのさ!それで全部チャラだ!」

 

「……聖人って、あの聖人か?」

 

 何を言われても驚かないつもりでいたアーランズをして、聞き返さずにはいられない回答だった。

 

 『聖人』。それは、生まれた時から神の子に似た身体的特徴・魔術的記号を持つ人間。偶像の理論のもと、『神の力の一端』をその身に宿す、魔術世界の核兵器めいた存在。異様な力を操る『鋼龍』も、聖人相手はなるべく避けてきた。

 その聖人を、捕らえた?それも、ローマ正教を殺すという作戦のついでで?

 

「あ、火星人とか、木星人とかの星人じゃねえぞ。正真正銘、神のうんちゃらとかいう奴の特徴を宿した『聖人』だぜ?」

 

「……正直、『鋼龍』でも、聖人を殺すのでさえ一苦労だと思っていたんだがね」

 

「ああ、それはさ」「オレの話をしてんのかァ?」

 

「……ああ。聖人を()()なんて真似ができるのは君くらいか」

 

 目の前にいきなり現れたのは、『食人鬼』アンドレ。危険な『鋼龍』の異名付き(ネームド)の中でもひときわ物騒な気配を漂わせる怪物。そして、ドロームを除けば『鋼龍』最高戦力の一人。

 聖人と綱引きをした怪物ならば、聖人を捕らえることもできよう、とアーランズは納得した。

 

「……で、捕らえた聖人はどうしたんだ?」

 

「両手両足引きちぎッて特能総研の連中に引き渡してやッた。奴らァ、無茶苦茶悪い笑顔で受け取ッてたぜ」

 

「ああ、だからか」

(だからザゾグの奴はやたら不機嫌で()()()んだな。精々、その聖人には頑張ってもらおう。)

 

 アーランズは大覇星祭が終わったすぐ後の定例会で、『大気戦艦アトモスフィア』の大破、親友木原幻生の廃人化(しかも、どちらも()()上条当麻が絡んでいる)があったにもかかわらずザゾグが激昂状態一歩手前()()で済んだことを訝しんでいた。

 しかし、聖人という垂涎物の研究資料を提供されたことを聞き得心した。アーランズはもとより聖人のいる必要悪の教会(ネセサリウス)に悩まされた身だ。ざまぁみろ、と思いはすれ、同情心が湧くはずもなかった。

 

 そして、アーランズは囚われたリドヴィアのことは忘れ去っていた。

 

 この後、リドヴィア確保の実行犯、賽にリドヴィアの末路を聞き、絶句した後、爆笑することになる……。

 

――バチカン――

 

 ローマ教皇マタイ=リースは、激怒しながら無言でチラシを破った。善良で大度な彼にしては珍しかったが、チラシの内容を見れば納得しただろう。

 そこには、

『現役シスターで作った天然皮ジャケット!これを着ればあなたも殉教者の信心深さが身につく!?』

というローマ正教にケンカを売っているとしか思えない文言が書かれていた。

 

 さらに、ご丁寧に右下には『このシスターから作りました!天然人皮100%!』という文句とともに、リドヴィア=ロレンツェッティの顔写真とその経歴まで載っている念の入れようだった。

 

 わざわざ『製作:鋼龍』と書かれているのを見て、イギリス清教やロシア成教を怒らせた『鋼龍』の歪んだユーモアの何たるかを見せつけられ、マタイ=リースは人生でほとんど抱いたことのない憎悪の感情を『鋼龍』に抱いたのだった……。

 

――学園都市のとある寮・姫神が住む一室――

 

「姫神!無事に怪我が治って良かった……。……その封筒は?」

 

 大覇星祭でオリアナに襲われ、大怪我を負った姫神秋沙であったが、無事に治療が終わり、寮の自室に帰ってきていた。帰宅時には、あの三沢塾の一件から共同生活を送っているアウレオルスが出迎えた。

 

「ん。あなた宛て。……『鋼龍』からだって」

 

 姫神の持っている封筒が『鋼龍』から送られてきたものとわかるとアウレオルスは血相を変えて引ったくり、急いで開封した。その中にあったチラシは、ローマ教皇に送り付けられたのと同じ、リドヴィア=ロレンツェッティの皮ジャンの広告だった。

 

 アウレオルスは追放された元ローマ教徒だが、このような悪趣味で人を馬鹿にしているようにしか思えない広告を見て義憤を覚えないほど腐った性根の持ち主ではなかった。

 アウレオルスはともすれば広告をビリビリに引き裂きそうな怒りを抑えながら、チラシを白スーツのポケットにしまった。

 

「ありがとう、姫神」

 

「……アウレオルス。なんか変だよ」

 

「……そうか?」

 

「あの時と。三沢塾の時と同じ。余裕がない顔してる。あれに。何が書いてあったの」

 

「……憤然、あれに、あまりにも酷いことが書いてあってな」

 

「……そう。あまり思いつめないで。上条君もいるんだから」

 

「……そうだな」

 

 アウレオルスは何とか怒りを見せまいとしたが、姫神にはすぐに暴かれてしまった。そして、やがて訪れるだろう『鋼龍』との決戦に思いを馳せたのであった……。




感想・高評価など、ぜひよろしくお願いいたします!

こんなことイギリス清教・ロシア成教にやったらとっくに壊滅させられてるだろ!
と思っているかもしれませんが、『鋼龍』にはドロームの『盗み見』があることを忘れていませんか?

あれでそれぞれの恥部を見つけてそれを公表するぞ、と脅していたので、まぁ何とかなってるわけです。
特にイギリス清教は最大主教が■■■ですからね(ネタバレ配慮)。

彼らは知りませんが、無視して『鋼龍』を襲ったらタタラによってその恥部が世界中に拡散されてました。ヤバいですね。
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