とある外道の6人組   作:毛糸ー

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「とある外道の6人組」を読んでくださり、本当にありがとうございます!
これからも「とある外道の6人組」をよろしくお願いします!

書いてて股間がヒュッとしました。ご注意ください。


3.残念な大将

――『女王艦隊』旗艦、『アドリア海の女王』――

 

 ローマ正教の司教、ビアージオ=ブゾーニは苛立っていた。愚かな部下共はたかがゴロツキ共の始末に手間取るだけではなく、更に別の侵入者まで許すという不手際をやらかしたのだ。

 

「全く、無能な部下ばかりで嫌になる……!」

 

「……無能な部下がいるなら、その能力を引き出すよう面倒を見るのが上官の務めだと思いますけど」

 

 ビアージオのぼやきに答えたのはアニェーゼ=サンクティス。元アニェーゼ部隊指揮官である。舌打ちをしながらビアージオはアニェーゼに向き直る。

 

「理想論だな!そして、それが君の人生の敗因だ!シスター・アニェーゼ!部下の選定に手間をかけないから!たかがゴロツキに部下を殺され!オルソラの確保もしくじり!君は今そこにいる!」

 

 ビアージオはアニェーゼの言葉に苛つきながら、決して手出しはできない。『刻限のロザリオ』の作動に必要だからだ。

 

 この船に乗せられた大魔術『アドリア海の女王』は、標的となった場所を破壊しつくし、それに関連した物も抹消するという凄まじい効果を持つ。

 だが、当時ローマ正教がヴェネチアと敵対していたという背景と、乗っ取られて自分たちに向けられることを恐れたローマ正教上層部により、ヴェネチアにしか撃てないという欠点があった。その照準制限を解除するために『刻限のロザリオ』が作られた。

 そしてこの『刻限のロザリオ』は、通常の人間が生んだ魔力では動かすことが出来ず、()()()()()人間が動かす必要がある。そして、『刻限のロザリオ』を動かすのに適した()()()()()をするのがアニェーゼなのだ!

 

 加えて、ローマ正教徒20億の中でも『刻限のロザリオ』を使えるものは少ない。アニェーゼを殺してしまえば、新しい人材の選定に手間がかかるだろう。

 そしてさらにビアージオの神経を逆撫でする出来事が起こる。

 

「チッ……無能共が!!旗艦に誰も近づけるなと言っただろうが!!」

 

 つまり、侵入者である。

 

――『アドリア海の女王』の廊下――

 

 現在ビアージオがカリカリしながら向かっている地点では、笹浪とハイドラ、そしてキラーBが氷の鎧共の残骸を前に、一時休憩していた。

 

「まさか扉をぶっ壊しただけで防衛機構が発動するとはねぇ……」

 

「それで防衛機構が発動しないと思っている方が驚きだがな」

 

 牧歌的な様子で鎧を検分するハイドラに苦言を呈すキラーB。ハイドラとキラーBの付き合いは長い。なんせ、キラーBが初めてプロデュースしたのが『謝肉祭』であり、その後もほどほどの距離間でやってきた。

 加えて、殺戮集団『剣の契約』と肉のカルト『謝肉祭』とを引き合わせ、『剣の契約』が殺した人間を『謝肉祭』が回収して喰う、あるいは『加工』するというコンボを成立させたのもキラーBである。

 

 ハイドラは肉に関する嗅覚には優れていたが、血が脳味噌へ十全に行き渡っていないと見えて、ボケた発言・行動をすることが多い。今回も、扉を見つけた途端いきなり殴り付けて破壊し、氷像の到来を招いた。

 

「くひひ……ここには脳味噌の気配があまりしないなぁ……『はずれ』だなぁ」

 

「来たな」

 

「ああ。やはり来たか」

 

 ハイドラが血に飢えた能天気な発言をする横で、キラーBと笹浪が目を細めて天井を見た。その数瞬後、いきなり天井が落ちてきた!

 

「ななななんだぁ!?」

 

「異教の穢れた、脳の腐っているサルがっ!!この私を煩わせるなっ!!死ねっ!!死んで地獄に落ちろっ!!十字架は、悪性の拒絶を示すっ!!」

 

 崩落する天上から巻き込まれぬよう三人が下がる一方、天井から現れた腐れ成金趣味めいた法衣に身を包む、その服に相応しい濁った強欲な目つきをした男は、これまた成金ネックレスめいて首からかけられたネックレスから十字架の飾りを引きちぎって三人がいる方向に投げつけた!

 

 すると、手のひらに収まるサイズであったその十字架が巨大化し、三人に襲い掛かった!だが、笹浪が前に出、居合斬りの要領で巨大十字架を斬り捨てた!

 この光景にさらに神経を逆撫でされたのか、成金法衣男は大声で三人を罵倒!

 

「主の恵みを拒絶するとは!!愚昧な破落戸共が!!本来、その御言葉を一度でも」BLAM!

「ぎゃぁぁあ!?」

 

 法衣男は長々と罵倒しようとしたが、銃声!股間に弾丸が撃ち込まれた!

 

「ガタガタと世迷い事をほざくな。この艦隊の指揮官は誰だ。ちゃっちゃと答えないと、次は頭にぶち込むぞ」

 

「うわぁ……」

 

「流石にひどくないか?」

 

 硝煙をくゆらせる銃を持つのはキラーB。笹浪とハイドラという狂人達に引かれながらも、法衣男を尋問する。

 

「わ、私だ!この私、ビアージオ=ブゾーニこそ、この艦隊の指揮官だ!」

 

 キラーBの淡々とした目つきを見て、事実を言わねば撃ち殺されることを悟ったビアージオは、焦りながら自白する。片眼が抉られ、血赤色の義眼をつけたキラーBは、さっきと打って変わって狼狽するビアージオを見ながら滅茶苦茶な命令を淡々と下す。

 

「死にたくなければ、ローマに『女王艦隊』を突っ込ませろ」

 

「き、きさ……!?」

 

「少しでも口ごたえをしてみろ。その頭、吹っ飛ばすぞ」

 

 キラーBは無慈悲に宣告し、ビアージオの異論を口に銃口を入れることで無効化し、再度脅しにかかる。

 ハイドラと笹浪はニヤニヤと笑い、キラーBに脅され無様に震えながら股間から血を流すビアージオを見ていた……。




感想・高評価などいつでも待っております。ぜひ書いてください。お願いします。

真面目にビアージオって「とある」の敵ボスの中で一番しょうもない奴だと思う。
同じ小物のスウィンバーンおじさんと違って実は面倒見良いなんてこともないし……。

ローマ”正教”なんて、自分たちが正しいと言わんばかりの宗教の一員だからしょうがないか……。
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