とある外道の6人組   作:毛糸ー

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「とある外道の6人組」を読んでくださる読者の皆様には、本当に感謝してもしきれません!
これからも「とある外道の6人組」をよろしくお願いします!

今話は難産だった……。この短い戦闘描写でこれとか、長くなったらどうなっちまうんだ……。


5.このクソ餓鬼共!!

――『アドリア海の女王』の一室――

 

「てめぇ!何しようとしてやがる!」

 

 その声が聞こえた瞬間、キラーB、そして笹浪は上条当麻と後ろの二人(インデックスと

オルソラ=アクィナス)を凄まじい形相で睨んだ。キラーBが忌々し気に問いかける。

 

「……見て分からんのか?腐れ餓鬼共。今からこの小娘を殺す所だ。失せろ」

 

「なめてんのか、てめぇ!そんなこと言われて、引き下がれるかよ!」

 

「……アニェーゼさんにそんなものを突き付けるのを止めていただけますか!」

 

「ここで引き下がるなんて、有り得ないかも。あなた達が何を企んでいるのか全て暴いてやるんだよ!」

 

 キラーBの返答に、更に三人は激する!それを見て、ウンザリの極致に達してしまった笹浪がとんでもないことを言い出した……!

 

「……もうコイツら殺してしまおうじゃないか。せっかくローマでの殺戮タイムにワクワクしていたのに、興醒めだ。憂さ晴らしでもしないと、やってられん」

 

「!!! このウスラバカがァ!!ここで戦闘を始めたらどうなる!もし流れ弾があの氷玉にでも当たったら『調律』が失敗するのかもしれんのだぞ!」

 

「いいや、この三人は殺し合いの素人だ。5分もしないうちに全員殺せるさ。無論、流れ弾など出させんよ」

 

 青筋を立てて激昂したキラーBの怒声を言下に退けた笹浪は、殺気を立ち昇らせながらゆっくりと上条達に向かっていく。だが、その次に発せられた小さいほうのシスターの言葉で、足を止めることになった。

 

「……『調律』って何?ローマでの殺戮?あなた達、一体何するつもりなの!?」

 

(おやおや、策士殿。失言か。どうするつもりなのやら)

 

(クソッ!!……殺るしかない!!サッサと殺せば計画は続けられる……!)

 

 笹浪はちびシスターの言葉で足を止め、キラーBの方をニヤッと笑いながら振り向く。キラーBの方はと言えば、迂闊な発言をした自分に腹を立てると共に、()()()()()

 

「……ばれてはしょうがない。過程は省くが、俺達は『女王艦隊』を掌握してローマに突っ込ませるつもりだ」

 

「「「……!!」」」

 

 自ら暴露した計画に三人が絶句した隙に、キラーBは拳銃を抜き撃ち!ウニ頭の小僧の膝を正確に射貫く!

 

BLAM!

 

「ぐあっ!?」

 

「とうま!?」

 

「当麻さん!」

 

 膝を撃ち抜かれ、苦悶の声をあげた上条に駆け寄る二人のシスターに、笹浪が踏み込む!狙いは一挙両得!一刀で二人の首を両断する目論見である!そしてキラーBも三人に近づく!逃走を選んだら、確実に始末するために!

 

「伏せて!」

 

SLAAAAASH!

 

「ほう?目敏いな。だが、どちらにせよ長生きはできんぞ」

 

 目敏く気付いたちびシスターの声に応じ、三人は伏せ、笹浪の一撃を避ける!だが、笹浪の言うとおり、このままでは三人はジリー・プアー(注:徐々に不利。ジリ貧)!

 

 凡刀を獲物とする笹浪と、ただの拳銃を獲物とするキラーBに対して上条当麻、インデックスはジョーカーとなり得ない。対話を得意とするオルソラは猶の事だ。説得しようと口を開いた瞬間に鉛玉、あるいは刀が襲い掛かるだろう……!

 

「アニェーゼさん!受け取ってください!」

 

 オルソラはイチかバチか、手に持っていた天使の杖を気絶しているアニェーゼの側に投げた!閉じていたアニェーゼの瞼が開く!

 

「何をするかと思えば、そんな餓鬼に期待するとはな……。こんな腰抜け共に、奴らは一杯かかされたのか?」

 

「ハハハ……冗談としてはつまらんぞ?これで打ち止めなら、一息に、殺してやろう……!」

 

 呆れるキラーBと殺意を高める笹浪は知らなかった。その少女を一瞬で気絶させたがゆえに、知ることができなかった。

 

 その天使の杖が、先程彼らが一瞥もせずに気絶させた少女、アニェーゼが得意とする得物であることを。 

 

 その杖を使って放たれる魔術が、一撃で彼らの企みを完膚なきまでに崩壊させることができることを。

 

「アニェーゼさん!あのドームを壊してください!」

 

 アニェーゼは気絶から目覚めたばかりで、状況を把握しきれていなかった。だが、切迫した様子のオルソラ、片膝を粉砕された上条当麻、三人を追い詰める2人組の邪悪な目、そして何より、()()()()()()()()()()氷のドームに走る異形の血管を見て、決断した。

 

万物照応(Tuto paragone)五大の素の第五(Il quinto dei cinquenti)平和と秩序の象徴『司教杖』を展開(Ordina la canna che mostra pace ed ordine)!」

 

(!?あの小娘、魔術師だったのか!?どおりで、あの男の情婦にしては卑屈でなかったわけだ……!)

 

(あの魔術を発動させると不味い予感がするな。策士殿の顔色も悪い。どれ、一刀で首をはねるとしよう……!)

 

 その詠唱を聞いたキラーBと笹浪は顔色を変える!この段になってやっと、アニェーゼが魔術師であることに気付いたのだ!そしておそらく、ハイドラが籠っている水球を一撃で叩き潰す魔術を行使できることを!

 

 キラーBは急いでアニェーゼの頭を撃ち抜こうとするが、上条当麻がそれを許さなかった。折れた足を引き摺り、拳銃をアニェーゼの方に向けたキラーBに飛び掛かって押し倒したのだ!

 

BLAM!

 

 打ち出された拳銃の弾丸がアニェーゼの頭から逸れるのを尻目に、笹浪はアニェーゼへ踏み込む!だが、アニェーゼも手練れの魔術師、笹浪が彼女に危害を加えんとしようとすることに当然気付いていた!

 

偶像の一(Prima)神の子と十字架の法則に従い(Segma la legge di Dio ed una crose)異なる物と異なる者を接続せよ(Due cose diverse sono connesse)!」

 

 最後の詠唱を唱え終えたアニェーゼは、間一髪、杖を叩き付けるようにして地に伏せる!

 

SLAAAAASH!

 

「成程。……無意識の驕りというのは、正し難いものよ」

 

ド ォ ン ! !

 

 ハイドラの籠る水球が粉砕される!そして血液がスプリンクラーめいて吹き出し、上条一行とキラーB、笹浪の区別なく降り注ぐ!それと同時に、『アドリア海の女王』が揺れだす!

 

「チッ!『調律』が失敗したか!この船はじきに崩れる!トンズラするぞ!」

 

「事ここに至っては仕方あるまい。奴はきっと気絶していよう。回収して、逃げるぞ」

 

 上条当麻が三人のシスターによって運ばれるのを視界の隅にとらえながら、しかし彼らは即時撤退を選ぶ!

 崩れ去った氷球の中で、血塗れになって気絶していたハイドラを回収し、筋金入りのロクデナシ共は消えていった……。

 

 

 ……この後行われた調査で、捕まったローマ正教の者達は、浪人めいた殺戮者集団と肉塊異形軍団がいたことを報告したが、そんな者達は誰一人見つかることは無かった……




感想・高評価などいつでも待っております。

【悲報】アニェーゼさん、ビアージオの情婦だと思われていた模様【心外だ!】
まぁ、武器もないし、露出多めの修道服だし、しょうがないけどね。
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