とある外道の6人組   作:毛糸ー

46 / 203
「とある外道の6人組」を読んでくださり、本当にありがとうございます!
これからも「とある外道の6人組」をよろしくお願いします!

違和感のある描写などありましたら、感想などで教えていただけると幸いです。


EX.敵に回すべきは無能な働き者

――『6人組』定例会――

 

「しかし意外だったな。先日殺し屋の仕事を妨害された賽が『アイテム』の構成員を許すとは」

 

 暗部抗争が終結した後に行われた定例会で話題になったのは、やはり学園都市内での暗部抗争の結果だった。今しがた蠢動俊三が言ったように、先日『アイテム』にシノギを妨害された賽は、何故か『鋼龍』が捕らえた『アイテム』構成員を許したのだ。

 

「まぁ、奴も心変わりしたんじゃろ。『奴の命乞いには、ずいぶん笑わせてもらった。洒落てる命乞いをしたら助けてやると言っちまったしな』と言っとったし。……憂さ晴らしついでか、『スクール』のクソアマも殺ったしの」

 

 その理由を『鋼龍』の首魁であるドロームが深掘りすることは無い。当の本人が”笑わせてもらった”といっているなら猶更だ。その後に『スクール』の構成員、獄彩海美をご機嫌に暗殺したことを加味すれば、何も懸念することは無いとドロームは結論付けた。

 

「……奴はそういう気紛れとは無縁だと思っていたがな。…………それよりも、『グループ』『スクール』の構成員を仕留め、同じ統括理事会の親船最中まで殺った成果は出たのか」

 

 何度か賽が使いに向かっていた特能総研の所長、ザゾグが唸るように言う。この抗争のさなか、ドロームが直々に統括理事会の親船最中を殺し、『スウォーム』が罠にはめて結標淡希を抹殺。ご機嫌になった賽によって獄彩海美が死んだ。

 

 果たしてここまでやった成果は出たのかというザゾグの問いに対し、ドロームはご機嫌に答える。

 

「ちょっと()()()()()親船を殺したっちゅうことを仄めかしただけで、奴等面白いようにビビり散らかしてくれたわい!おかげで()()()の情報封鎖を解いてくれたからのぉ!」

 

 ドロームは他の統括理事会員の小心さを嘲笑しながら、高笑いする。だが、ドロームの不吉な言葉を捕らえられないほど、『6人組』の者たちは耄碌してはいなかった。

 

「おい……()()()()()親船を殺ったといったか!?」

 

「そうじゃけど?」

 

「普通、統括理事会会員というのはな、自分の手を汚さないんだぞ!?ばれたら大変なことになるぞ!?」

 

 蠢動があまりの蛮行に叫んでも、ドロームに動じた様子はない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「本当は、あのクソアマが保護しとったガキや執事を皆殺しにして、親船のクソババアと合わせて首を玄関の鉢植えめいて置いとくつもりだったんじゃぁ。それを思えば、心臓抜きでわざわざ死因を偽造して親船一人殺したことぐらい大したことは無いじゃろがい」

 

「流石に、それは過激すぎると止めたのさ。親船を殺すことは譲れなかったそうだから、このような結果になったがな」

 

 ドロームのイカれた発言の後に、アーランズが補足する。当初、ドロームは死ぬほど鬱陶しい親船最中をその関係者ごと血みどろ大殺戮し、もって他の統括理事会会員に対し見せしめにするつもりであった。しかし、そんなことをすれば『鋼龍』は学園都市全体を敵に回すことになる。

 

 アーランズはそれを懸念し、親船だけを殺しても十分見せしめになると宥めたのだ。それも、そうとは分からない形で殺し、分かる者だけに分かるようにすれば良いと。

 

「心臓抜きか……アレは確かに、暗殺に有効だ。外傷もなく、素人が見ただけでは自然死のようにしか見えん。戦端を開くにはちと地味すぎるが」

 

 甘粕も暗殺手段について述べる。心臓抜きとは、皮膚、筋肉を越え、肋骨の下を潜り抜けた上で心臓に直接軽く触れることで意図的な心停止を発生させる貫手技である。目立った外傷が残らないその特性から、暗殺に有効である。

 

 ドロームもそれを見越して心臓抜きで親船最中を殺しており、表向きには親船は突然の心停止で死んだことになっているのだ。そして統括理事会会員の庇護を失った孤児たちは、暗部の外道共によってハゲタカめいた奪い合いの渦中にいるが、そんなことを気にするドローム達ではない。

 

 そんなことは一切話題にも上らず、別の話題に移行する。ローマで起きていた『転換計画』妨害が突然停止したことである。ドロームの蛮行を適当に流し、『転換計画』を推し進める多々羅道雄が口火を切った。

 

「貴様がいくら死体の山を作り上げようと興味はないが……『転換計画』の妨害が突如として消えたのが気にかかる。今まで毎日最低一人は『転換』が解除されていたというのに……」

 

「クククク……答えは推測できる。イギリス清教にの、とある男の遺体が送られてきたのよ」

 

 訝しむ道雄に、ドロームはあくどい表情をしながらその答えを喋りだす。

 

「その男の名は、左方のテッラ!!ローマ正教に属する禁断の組織、『神の右席』の一員よ。先日のローマで起こった反学園都市デモを覚えとるけ?あれの糸を引いておったのが奴だ」

 

 講談師めいて喋るドロームの言葉を『6人組』の誰も止めることは無い。

 

「おい、多々羅の。『転換計画』の妨害が止まったのはいつだ?」

 

「……10月8日だが」

 

 多々羅は突然質問をされたのを訝しみながら答える。その瞬間、『6人組』の面々は度肝を抜かれた。突如ドロームが下を向いてクツクツと忍び笑いをしたかと思うと、一気に上を向いて呵々大笑し始めたのだ!

 

「ククククククク……クカカカカカカァァァァーーー!!!傑作!!傑作じゃのう!!いやぁ、本当に傑作じゃの!!」

 

「……何がそんなに面白いんだ?」

 

「左方のテッラが死んだのはのぅ……10月8日なんじゃ」

 

 こう言われて他の『6人組』も察した。左方のテッラが『転換計画』を妨害していた張本人であり、彼が死んだからこそ妨害が消えたのだと。だが、まだ腑に落ちぬことがある……!

 

「それで、なぜそんなに馬鹿笑いをしているんだ?」

 

「……傑作なのはのう、下手人が同じローマ正教の奴っちゅう所よ。ローマ正教の連中は、タタラの傀儡にならずに済むチャンスを自らふいにしたっちゅう訳だ!」

 

 他の『6人組』の面々は、ドロームの嘲弄に呆気にとられた後、その滑稽さに気付いて笑い出した。それはやがて高笑いに変わり、一晩中響き続けた……。




あらすじを読んで分かっているとは思いますが、『6人組』の面々はどいつもこいつもろくでもないです。

原作でもテッラの粛清は人道的には正しいかもしれないけど、戦略的には赤点ものだと思う今日この頃。

『6人組』の面々は現時点では後方のアックアのことを無能な働き者だと思ってます。
なお、正体を知った途端そんな余裕はなくなる模様。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。