とある外道の6人組   作:毛糸ー

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あけましておめでとうございます!!

「とある外道の6人組」を読んでくださり、本当にありがとうございます!
これからも「とある外道の6人組」のご愛顧、よろしくお願いします!

また時間軸がずれます。具体的には、旧約20巻終盤。一方通行と番外個体が激突するときですね。


B.番外個体(ミサカワースト)観察記録

――ロシア・雪原――

 

 ロシアの寒風と吹雪が吹きすさぶ雪原の中を進む、学園都市製極限環境対応多目的車両には、特殊能力総合研究所の者たちが乗り込んでいた。対外的には学園都市統括理事会会員『峰岸』の配下となっている彼らは、『峰岸』の指示ではるばるこの地に来ていた。

 

「チッ……何が『人間にエコロジカル・バッテリーを組み込んで暴走させた時の反応を観測しろ』だ。そんなもの、爆散以外ありえないというのに」

 

 極寒の中でも普段の恰好をしているザゾグは、今回の命令に不満タラタラだった。エコロジカル・バッテリーで人間にエネルギーを供給したところで、うまく扱えず死ぬのがオチだ。

 

 しかも、それを対一方通行(アクセラレータ)用人造人間番外個体(ミサカワースト)に組み込むという明らかに正気をどこかに置いてきたような所業をされれば、イラつくのも当然と言えた。あまりのイラつきように、今すぐ帰ると言い出しかねない剣幕であった。

 

「ひょひょひょ……まぁ、落ち着き給えよ」

 

 宥めるのは木原幻生。ザゾグの親友である彼は、当然彼の癇癪をおさめる方法を心得ていた。

 

「分かり切ったことでも、探究すると未知が姿を見せることもある、と言っていたのは君自身じゃないか」

 

「……ハァ。仕方あるまい。『博士』、どうだ?あの腐れ小僧は」

 

 幻生の言葉で矛を収めたザゾグは、今までキューポラから一方通行(アクセラレータ)番外個体(ミサカワースト)の戦いを見ていた『博士』に、戦の様相をたずねる。

 

 出来ることなら、一方通行(アクセラレータ)が早々に死んでいることを祈りながら。だが、現実は非情だった。『博士』が構える双眼鏡には、不可解な景色が写っていた。

 

「よく分からない状況だな……。そもそも、あの黒い翼はなんだ?」

 

「何!?黒い翼だと!?見せろ!?」

 

 『博士』が報告した不可解な状況は、ザゾグの興味を引くには十分だった。キューポラから頭を出している『博士』を自発的にどかす気迫を発しながら双眼鏡を引ったくり、一方通行(アクセラレータ)を見る。その直後、明らかに尋常の者ではない殺気を発しながら、双眼鏡にヒビを入れた。

 

「……エコロジカル・バッテリーを暴走させろ。高々2万()()のクローンを殺し損なった腰抜けが。ここで死ね。肉片も残さず、な」

 

 そして無慈悲に指示を出す。番外個体(ミサカワースト)をこの世から消し飛ばし、一方通行(アクセラレータ)ごと抹殺するために。その声を受けて木原交雑がエコロジカル・バッテリーを暴走させ、番外個体(ミサカワースト)に過剰エネルギーを送り込む!

 

 エコロジカル・バッテリーによって過剰エネルギーを送り込まれた番外個体(ミサカワースト)は、即座に爆散するはずだった。だがその時、不思議なことが起こった……!

 

「!?何だ!?お前達!双眼鏡がもっとあるだろう!外出て観察しろ!」

 

 双眼鏡で番外個体(ミサカワースト)の様子を睨んでいたザゾグが、いち早くその()()に気付いた。そして、その声を聞き、特能総研の者達も、双眼鏡に手を伸ばす!ある者は多目的車両の外に出、またある者はキューポラの隙間から双眼鏡と顔面を突き出す!

 

「ひょーっ!?何だねこれは!?番外個体(ミサカワースト)君の体が……変形しているじゃないか!」

 

「何だ……?足か?あれは?何か蜘蛛?のように見えるが」

 

「…………!!」

(やはり、エコロジカル・バッテリーには秘密がありましたか……。開発者本人が意図しているものかはかなり怪しいですが)

 

 木原幻生、『博士』が言うように、現在番外個体(ミサカワースト)の体からは、光の脚めいた何かが生え、蜘蛛めいたシルエットを作り出していた。そして人の心がない外道科学者共には分からなかったが、番外個体(ミサカワースト)の目は、だんだん死に始めていた。人間性の喪失である。

 

「こうしてはおれん!手持ちの機器を総動員して観察を……!?」

 

 ザゾグはさらに詳しくこの怪現象を観察するため、車内に戻り分析機器を持ち出そうとしたが、突然の頭痛!うずくまる!木原幻生らが様子を見に来るが、ザゾグは一蹴!分析を優先させる!そして、痛む頭を抱えながら、沈思黙考していた……。

 

「ザゾグ博士!?」

 

「大丈夫かね?」

 

「いや、いい!分析を優先しろ!こんなもの、見逃したら事だぞ!」

(私は()()()()を知っているのか……?)

 

 先程ザゾグの脳裏にフラッシュバックし、頭痛をもたらしたのは、この世のものとは思えぬ光景。恐らく先程の現象を引き起こされ、変化が完了したかと思しきモノが、暗黒メガコーポを丸々支配した光景……。

 

 不思議とそれに見覚えがあるのに気付き、呆然とするザゾグの側に、木原幻生が近づく。うずくまったまま止まっているザゾグを訝しんだのだ。

 

「ひょひょひょ……どうしたね?もう分析機器は動いているよ」

 

「ああ……すまない。頭痛がしてな。何かわかったか?」

 

「ひょひょひょ!高エネルギー反応が番外個体(ミサカワースト)君の体内を動き回ってあの変形が起こっているようなんだよ!原理はさっぱり分からないがねぇ!」

 

「何?こんな所に居ちゃおれん!分析機器に連れていけ!!」

 

「ひょひょひょ!やはり君はそうでなくてはねぇ!」

 

 木原幻生と分析機器の計器の観察に戻ったザゾグはこの後、上条当麻のせいで正気に戻った一方通行が番外個体(ミサカワースト)の体内にあったエコロジカル・バッテリーと高エネルギーを摘出したことに怒り狂うこととなる。

 

 その際には、あの不気味なフラッシュバックのことは全て、記憶の片隅も片隅に仕舞われてしまっていた。それをザゾグが再び思いだすのは、彼が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……。




今回の描写、そこそこ重要です。覚えといてください。

感想、高評価などいただけると嬉しいです。

※2023/02/06 文章修正
※2023/03/23 文章修正
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