とある外道の6人組   作:毛糸ー

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「とある外道の6人組」を読んでくださり、本当にありがとうございます!
これからも一生懸命書いていきますので、『とある外道の6人組』をよろしくお願いします!

ここからは旧約22巻の後、新約1巻の前です。


間章:それぞれの策略、あるいは大暴れ
1.交渉、しようか?


――東京・某所――

 

「さぁーて、ワシらが同盟組むのはどこのどいつじゃったっけ?」

 

「『グレムリン』とかいう連中です。訳の分からん奴等ですよ」

 

 学園都市から抜け出したドロームは、後処理を全部蠢動に丸投げして東京の某所にやってきていた。『グレムリン』なる魔術結社と同盟を結ぶために。

 

 第三次世界大戦が終わった後、『鋼龍』は学園都市内でシノギを拡大していた。090金融、賭場の開帳、カツアゲ……。その折に、ドロームは『グレムリン』なる胡乱魔術結社から手紙を受け取ったのだ。

 

 曰く、「第三次世界大戦時に策定された現在の体制を打破しよう。そのために手を組みたい」という内容であった。面白がったドロームはこの手紙の言うとおりに東京某所へ向かっていたのだ。舐めた真似をされた場合に備え、賽ともう一人の護衛を連れて。

 

 手紙を訝しがり、しきりに首をかしげる賽とは裏腹に、もう一人の護衛は茫洋とした視線を漂わせている。この護衛の通り名は宇宿(うすき)粛々、本名ザン・ギャクである。今まで”この世界”に潜伏していた『鋼龍』同盟組織とは異なる所属の殺し屋で、少々頭のネジが飛んでいる。

 

 賽とギャクを伴い、東京の寂れたビルに足を踏み入れたドロームは、護衛を待機させ、『グレムリン』の連中が待つ部屋へと向かった……。

 

――東京・某ビル『仕事場』――

 

「なんや、おどれら。ンな雁首揃えて。ワシは誠意を示すために一人でこの部屋に来たっちゅうのに、ひどい話じゃのう」

 

 ドロームが指摘したように、交渉の場所に選ばれた部屋には、すでに5、6人ほどの魔術師らしき男女がいた。その全員が、ドロームの一挙手一投足に注目していた。

 

「えらいビビっとるのう……これから同盟する相手を、んな睨んでどないすんじゃ」

 

 警戒心丸出しの魔術師達を鼻で笑いながら、ドロームは交渉の席に着いた。魔術師達のリーダーらしき男が口を開く。

 

「……こうしてここまで来たからには、我々『グレムリン』の思想に賛同してくれたということでよろしいか?」

 

「その前に、『グレムリン』のボスは誰じゃ?手を組むというからにゃ、条件をボス同士で詰めんと、いらん齟齬が起きるじゃろがい」

 

 ドロームは『グレムリン』のボスを交渉の場に引きずり出そうとしたが、目の前の男から出てきた言葉は想定外のものだった。

 

「……『グレムリン』のボスは、こんなところには来ない。そもそも、我々も会ったことがないのだ」

 

「……なんやと?ワシらを舐めとんのけ?…………そんなら、ワシにも考えがあるぞ」

 

 ドロームはそれを聞いて驚愕し、ついでドスの利いた声で『グレムリン』の魔術師を脅しにかかる。明らかに『グレムリン』は『鋼龍』を軽視している、と考えたからだ。

 

 そもそも、散々魔術師を襲ってきたゴロツキ共が魔術結社と対等になろうとしていることが間違っているのだが、そんなことはドロームの頭に微塵もよぎらない。ゴロツキ根性が染み付いているからだ。

 

「ふざけているのか。貴様らのシンパが散々ローマやロシアを破壊したから我等はこうして結集しているのだぞ。本来なら、貴様らは殺されても文句を言えない立場だということを自覚しろ」

 

「喧嘩売っとんのけ?……とても今から同盟する相手への物言いとは思えんのじゃがのう。もう一度言う。おどれのような木っ端でなくて、ボスを呼んでこんかい」

 

 魔術師がドロームの思い上がりをたしなめようとするが、ドロームも譲らぬ。『鋼龍』が同盟を組む時には、どれほどの小組織であっても、ドロームが直々に訪問し、同盟の条件を詰めていった経験があるからだ。

 

「貴様、よくもしゃぁしゃぁとそんなことが言えたものだ!貴様らのシンパが学園都市の戦闘機を落としたせいでロシアへの締め付けは一層増した!このままでは偉大なるロシアが学園都市の猿共の植民地となって……!!」

 

 後ろで話を聞いていたロシア系の女魔術師が激昂しながらドロームに詰め寄る。それを冷めた目つきで睨み、黙らせた後、ドロームはもう一度ボスを連れてくるように要求する。

 

「このクソアマ、話が進まんやないけ。黙らんとブチ殺すぞ。……で、ボスを呼ぶのか呼ばんのか、どうなんや」

 

「…………しつこいな。本来貴様らは真っ先に殺されるはずの立場だったんだぞ。それなのにその異常な戦力を買って同盟関係の要請に行っただけありがたいと思え。『グレムリン』のボスに会いたいなどという夢は見るな」

 

 婉曲的に『鋼龍』は『グレムリン』の下だと告げられ、ドロームは目頭をもむ。発作的に目の前の魔術師を殺さないようにするためだ。だが、その努力も無に帰した。魔術師達の一人、やたら露出の多い女装をした男が、不用意な一言を放ったからだ。

 

「なぁ、ヴィゾーヴニルさんよ。こんな捨て駒にそんな丁寧に応じてやることは無いだろ!どうせ、第三次世界大戦の負け犬共と同じようにこき使って捨てるんだからさ!」

 

「ヘイズルーン、貴様!!何ということを……!」

 

 ヘイズルーンと言われた女装男は、ヴィゾーヴニルが忠告をする前にロシア系の女魔術師に首を刎ね飛ばされていた。そして同時に、ドロームはヴィゾーヴニルの首を抉り取っていた。

 

「え」

 

「おんどれ、どうすんのや。ワシとやり合うつもりけぇ?」

 

「え?」

 

「…………二度と私の前に姿を見せるな。ロシアの復興は我々の手で成し遂げて見せる……!」

 

 恐らく『グレムリン』の正規構成員であろう小太り男が呆然としている間に、女魔術師は去り、ドロームのみが残された。この段になってようやく小太りは正気に戻り、ドロームを糾弾する!

 

「き、貴様……!どういうつもりだ!」

 

「あ、ワシら、もうおどれらと同盟は組まんからな。同盟と言いながら人を捨て駒にするようなカスと組めるかい」

 

「ま、待て!同盟は組んでもらうぞ……!」

 

「……おんどれ、あんまりしつこいと、死ぬぞ?」

 

 『グレムリン』正規構成員の小太り男、ドロームを何とか捨て駒要因として確保するために呼びとめんとする。明らかに尋常ではない気配に震えながらも、男には勝算があった。この部屋の隣には『グレムリン』の魔術師達が詰めている。ドロームが同盟を渋った際に脅すためだ。

 

「フン……隣の部屋に詰めている魔術師達が来ても、同じことが言えるか?多勢に無勢だ。捨て駒だと分かっていても、貴様は我々に服従するしかないのだ」

 

「ほーう…………」

 

 泰然とした様子のドロームを怪訝に思いながら、小太りは口笛を吹く。これは魔術であり、隣の部屋にいる魔術師達に合図を送ったのだ。すると、突如ドロームが大声を上げた……!

 

「おんしらァ!このビルの3階、『資料室』におるクソ共、好きにしてもええぞ!」

 

「!?…だが、護衛共が来るまでには時間がある!その前に貴様に承諾させれば」

 

「アホじゃのう、おどれ。『鋼龍』を舐めすぎじゃ」

 

BANGBANG!

 

 隣にある『資料室』から突然の銃声!何が起こったのか!?




実際、グレムリン所属の捨て駒、結構いたと思うんだよね……。

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