はじめての人は、「とある外道の6人組」に目を止め、読んでくださったこと、本当にありがとうございます!
継続して読んでくださっている方は、どうかこれからも「とある外道の6人組」をよろしくお願いします!
本当は『鋼龍』と『グレムリン』の交渉の話は一話にまとめるつもりだったんですが、長くなったので分割しました。
――東京・某ビル前――
「チッ……!外敵予備軍がいる中、護衛なしで突入するなんざ、正気じゃねぇぞ……!」
ドロームと『グレムリン』の面々が交渉しているビルの入り口付近で、賽は気を揉んでいた。当初、賽は交渉の場へドロームと伴って行くつもりであった。だが、ドローム自身が拒絶し、こうして賽は貧乏ゆすりをしながら待っているという訳だ。
ドロームは敵の根城に単身乗り込み、同盟を締結するほどの怪物であるが、”異世界”での常識が”この世界でも通用するとは限らない。待ち伏せされ、奇襲を受ける可能性もゼロではない。あるいは、その資格の中に例の錬金術師めいた凄腕がいれば、討ち取られる可能性もありうる……!
(ま、あの錬金術師が虎の子の魔術を発動したとしても殺せるか怪しいぐらいにボスは強いが……それにしても、護衛の一人や二人は連れて行くべきだろうがよ……!どうする、今からでも向かうか……?いや、ボスがどこにいるかわかったもんじゃねぇ……総当たりすればいけないことは無いだろうが……)
何を考えているのか、視線をぼんやりと漂わせるザン・ギャクを思考の端に追いやり、思考を深める賽。だが、その思考は突如、中断される!巡る賽の思考を断ち切ったのは、他ならぬドロームの大声……!
「おんしらァ!このビルの3階、『資料室』におるクソ共、好きにしてもええぞ!」
その声を聞いた賽は思考するより先にビルに駆け込み、宇宿粛々は
――東京・某ビル『仕事場』――
BANGBANG!
「な!?」
驚愕する小太りに対し、ドロームはニヤつくばかり。突然の銃声の意味を説明する気は、一切ない!
「援軍は来んみたいじゃが、どうすんじゃぁ?おんしが、ワシを脅すんけ?」
あからさまに相手をからかう物言いに小太りは激昂!自分とて、『グレムリン』の正規構成員だという矜持を胸に、ドロームへ襲い掛かる!
「な、舐めるなァーッ!!」
「イヤーッ!」「アバーッ!?」
だが、そこにドロームのボトルネックカットチョップが閃き、小太りの首は丁度ビール瓶めいて刎ね飛ばされる!ボトルネックが切断されたビール瓶めいて、小太りの血が噴き出す!それを見て、今まで棒立ちであった二人の女兵士が動き出す!
「何じゃァおどれら!置物かと思うたぞ!イヤーッ!」
ドロームは首を刎ねるが、女兵士たちは再生!転がるはずの首が、落下中に断面にくっついたのだ!女兵士二人はかまわず手に持つ槍で刺突!ドロームはブリッジ回避!そのままメイアルーアジコンパッソで女兵士二人の上半身をミキサーめいて粉砕!だが肉片と血が寄り集まって再生!
諸君らは、この女兵士共はどうしてこんなに再生するのかと不思議に思っているだろう!実の所、この女兵士共は尋常の存在ではない!人工的に再現されたワルキューレなのだ!ワルキューレとは、簡単に言ってしまえば北欧版の聖人である!
そのワルキューレを人工的に再現した試作品が、今ドロームが戦っている女兵士共なのだ!この女兵士共は、小太り魔術師の個人的な護衛であり、ヴィゾーヴニルやヘイズルーンが死んでも反応しない。ただ小太りが害された時のみ動き出す!
「何じゃァ!?」
ドロームは”異世界”にてこの類の再生者は見慣れている。しかし、まさか”この世界”、それも『6人組』ではない面々が再生兵士をもっているとは……!
(殺しても再生するっちゅうんなら死にたくなるまで殺せばいいんじゃが、こいつら思考体系が機械っぽいからのう……)
ドロームは片手間に向かってきた人造ワルキューレの首を刎ね飛ばしながら思考する。死ぬまで殺す、という案は人造ワルキューレにまるで自意識がなさそうな様子を見て、断念した。恐らく、殺し続けても壊れた機械めいてこの女兵士共は向かってくるだろう。
連携して向かってきた人造ワルキューレ共をラリアットでズタズタにしたドロームは、何かを試すかのように人造ワルキューレの一体に向かう!その姿からは、エイワスを鎧袖一触に打ち破った際の、異様な気配が立ち上っていた……!
そんなことにも気づかずに、再生した人造ワルキューレはドロームに突撃する!刺突の構えだ!本来心臓に過たず突き刺さるはずであった刺突をかがんで回避したドロームは、人造ワルキューレのどてっ腹に短打を叩き込む!
SPLAAAAAAAASH!
破城槌めいた破壊の一撃がめり込んだ人造ワルキューレは、一瞬携帯めいて痙攣した後、爆発!血と肉片を部屋中にばらまく!そして異常なことに、先程までどれほど酷い致命傷でも再生していた肉片が、全く不動!沈黙を保っている!
死んだかもしれぬ相方に目もくれず、遅れて再生した人造ワルキューレは、突撃しようとする。だが、
ザン・ギャク、あるいは宇宿粛々は”異世界”の恐るべき殺し屋である。だが、彼が恐るべき殺し屋として知れ渡る以前、違法無倫理科学者集団に拉致され、人間電脳化実験の被検体にさせられたのだ。
実験の結果、ただでさえネジが飛んでいた彼の頭からさらに多くのネジが飛び……彼は半情報生命体と化した。そのおかげで、彼は空気中の塵を利用して自分の体を形作り、ノイズ交じりの瞬間移動を行うことができる。それがこのカラクリの正体だ。
そんなこととは露知らぬ人造ワルキューレの片割れは、起き上がって宇宿の顔面を槍で貫き殺さんとす!だが、宇宿は起き上がることを許さぬ!グラディウスが彼女の膝を完全破壊!再生してもストンピングにより、僅かな関節形成も許さぬ!
「祇園・精舎ノ・鐘の声。諸行・無常ノ・響キアリ。沙羅・双樹ノ・花ノ色。盛者必衰・理表ス。驕レル者・久シカラズ。タダ・春ノ夜・夢ノ如シ。猛キ者・遂ニ・滅ビン。ヒトエニ・風ノ・前ノ・塵ニ・同ジ」
それを成しているザン・ギャクは、譫言めいて謎のチャントを唱えながら、ここではない一点を見つめている!再生を繰り返す人造ワルキューレにうんざりしたか、あるいは他の理由か、戦乙女のまがい物の頭を握りしめ、キアイを入れる……!
「エイッ!」
「アバッ!?アバババ、アバーッ!?」
キアイと共に今まで一言も発していなかった人造ワルキューレは悲鳴と共に痙攣しながら脳漿炸裂・全身体液沸騰死!この謎めいた魔技こそが、ザン・ギャクが”異世界”の裏社会で恐れられる理由であった。人体改造前から、彼はこの技を使いこなし、無慈悲な見せしめ殺を行ってきたのだ。
「あーあー……殺っちまったんかい。ザゾグの奴への手土産にしたろうかと思ったのによ。ま、ええけどな。賽も来たかの?」
それを見ながらドロームがぼやいたその時、『仕事場』のドアが蹴破られ、賽が姿を現した!その手で引き摺るは、半死半生の魔術師!
「お!どうやった?隣の部屋の連中、皆殺しにしたんか?」
「俺が来た時にはほぼ終わってましたよ。コイツ以外死んでました。『資料室』はザクロが炸裂したみてぇな有様でさぁ」
「そうけそうけ!そんなら、ソイツの首だけ持ってかんかい!『グレムリン』のクソ共に送り付けちゃる。……ワシらを舐めたツケは
ドロームの指示を受け、賽は断頭台めいたチョップで魔術師の首を刎ねる!3人は首を携え学園都市へ戻っていった……!
最近の人たちは瓶入りビールを見たことがあるんだろうか……私は無いが。
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近々、挿入投稿をしようと考えています。しおりなどがずれる恐れがあります。詳しくは活動報告にて。