とある外道の6人組   作:毛糸ー

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初めて「とある外道の6人組」に目を通した皆さん、初めまして。数ある小説の中から本小説を選んでくださり、本当にありがとうございます!
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3.そんなスケベな格好でジャーナリストは無理だろ

――天体水球(セレストアクアリウム)――

 

「……終わったらしい。暗部の部隊は一掃されたようだ」

 

「『新入生』だったか?俺達の仕事を増やさないでほしいんだけどよ」

 

「仕方あるまい。統括理事会会員は『峰岸』を消したい連中であふれているんだからな」

 

 先程まで『鋼龍』の者たちから逐一連絡を受け取っていた佐久辰彦は、山手と共にため息をつく。第三次世界大戦では、様々な変化が起きた。その一つが、浜面仕上とフレンダ=セイルヴェンの抹殺命令が解除され、()()()日常に戻ったことである。

 

 この話には、裏がある。己の企みが上手くいかずなかば癇癪を起こしていたドロームは、憂さ晴らしめいて浜面、フレンダ両名に学園都市の恥部、素養格付(パラメータリスト)のことをチクったのだ。更に悪いことに、ドロームは素養格付(パラメータリスト)について記憶されたチップをこの両名に渡したのだ。

 

 このチップの存在により、不確定要素として命を狙われていた浜面とフレンダはつかの間の平穏を手に入れた。……無論、このような一歩間違えれば学園都市のブランドと信頼を失墜させかねない行為が看過されるわけがない。

 

 ドロームはこの背信行為を学園都市統括理事会の会議で追及され、学園都市統括理事から降ろされそうになった。だが、ドロームはそんなものに唯々諾々と従う精神を持っていなかった。自分を学園都市統括理事から降ろすなら、打ち止め(ラストオーダー)を殺す、と宣言したのだ。

 

 それは、爆弾に更なる爆弾で火をつけるに等しい暴挙であった。一方通行(アクセラレータ)は、第三次世界大戦が終わった際、学園都市に暗部を解散するよう脅迫した。人質を取るような真似をとって人を暗部に引き込む真似をすれば、潰すとも彼は言った。

 

 打ち止め(ラストオーダー)は、そんな彼のアキレス腱かつ逆鱗ともいうべき存在であり、彼女が殺されれば、統括理事会会員たちは皆殺しになってもおかしくない。更に悪いことに、ドローム即ち『峰岸』は今まで無慈悲な殺しを繰り返してきたせいで、打ち止め(ラストオーダー)を殺すという宣言に説得力が生まれている。

 

 親船最中、『アイテム』の元連絡係、多数の警備員(アンチスキル)風紀委員(ジャッジメント)……『峰岸』は統括理事に就任してから、凄まじい勢いで骸を量産している。それゆえ、たかが異能力者(レベル2)でしかない打ち止め(ラストオーダー)がその死神の鎌を逃れるのは非常に難しいと言わざるを得ないだろう。

 

 そんな地雷にロケットランチャーを打ち込むが如き凶行を防ぐために、学園都市統括理事会は不本意ながらも『峰岸』を慰留せねばならなくなった。それゆえ、『峰岸』を消したい勢力は、新たに結成された暗部組織『新入生』に『峰岸』抹殺、ひいてはその本拠地『ストレンジの九龍城』の破壊を依頼したのだ。

 

 アレイスター作のオモチャ、『ピンセット』を用いた情報収集により襲撃計画を知った蠢動俊三以下『スウォーム』は、『鋼龍』にこの襲撃計画の情報を横流しした。その結果『鋼龍』の構成員は襲撃者を皆殺しにした。

 

 だが、このままでは鼬ごっことなる。何とかドロームを消さんと裏から手をまわしてくる統括理事会は、このままでは諦めないだろう。『スウォーム』にばれない形で企みが進んでいく可能性も考えられる。それゆえ、雑コラージュ殺人予告暗喩映像以上の方策が必要だ。

 

 このままでは、ドロームと学園都市統括理事会との溝は深まるばかり。その行き着く先は、大規模な戦争だ。『鋼龍』の連中は、堅気への配慮などまるで頭にない脳味噌をしているため、警備員(アンチスキル)風紀委員(ジャッジメント)だけではなく、一般市民を大量に巻き込みながら統括理事会会員を討ち取ろうとするだろう。

 

 統括理事会VS『鋼龍』の戦争となりアレイスターの飼い犬が出てくる前に決着すべきだ。それも、『峰岸』、ひいては『鋼龍』と『スウォーム』がイニシアティブを取る形で。そう佐久が考えていると、『スウォーム』の()()()が声をあげた。

 

「……ねぇ」

 

「……なんだ」

 

「信じられない……!暗部組織の一員50人を、武装無能力者(スキルアウト)集団の『鋼龍』構成員がたった一人で壊滅させたの!?すごいわ……!!こんなの特ダネどころじゃないわ!!学園都市が変わるわよ!!」

 

 ()()()の女は驚きと興奮の入り交じった大声で騒ぐ。佐久はそれを鬱陶しそうに見ながら、この女が『スウォーム』に転がり込んできた経緯を思い出していた。

 

 女の名はベニゾメ=ゼリーフィッシュ。他人の人生を破滅させるスリルとリスクに耽溺する碌でもないブラックジャーナリストである。更に、本人は正義のジャーナリストとして暗部を追っていると思っているが、とうの昔にブラックリストに追加されている。

 

 この女は特ダネのために『ストレンジの九龍城』へ潜入し、案の定『峰岸』(=ドローム)に見つかり、いきり立ったゴロツキ共により惨たらしく殺されそうになった。だが、その豪胆さを気に入ったドロームが『スウォーム』で手足となって働くことを条件に恩赦をくれてやったのだ。

 

「……『鋼龍』について他の連中にチクったら殺されることを分かってるんだろうな」

 

 加入時からハイになっているベニゾメを見ながら、佐久は釘を刺す。ベニゾメが『鋼龍』、ひいては『6人組』に対する背信行為を働いた場合、ベニゾメが抹殺されるのはもちろんだが、『スウォーム』もその責任を取らざるを得なくなるだろう。

 

 佐久の心配をよそに、ベニゾメは愉快そうに答える。

 

「やめてよね。流石に私も命は惜しいわ」

(それに、彼らについていた方が特ダネが転がり込んできそうだし)

 

 かくして、暗部の組織らしく『スウォーム』は4人体制が整い、本格的に暗躍(≒尻ぬぐい)していくことになる……。




黒髪おかっぱ、クラゲの飾りを付けたテンガロンハット、肉抜きしてレース素材をあてがった露出度の高い真っ赤なチャイナドレスという派手な格好をした美女
↑これでジャーナリストっていうのは無理あるだろ……

ベニゾメと『鋼龍』の邂逅を回想シーンで入れたかったんですけど、文字数が押してたので泣く泣く省略しました……。いつかまた書くかもしれません。

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