これからも「とある外道の6人組」をよろしくお願いします!
――東京・タタラ日本支社ビル会議室――
現在、タタラ本社ビルの会議室に、多々羅道雄以下、タタラ重役達が集まっていた。議題は、『反学園都市サイエンスガーディアン』なる存在についてだ。かの集団は、学園都市が第三次世界大戦を引き起こしたのを見て、学園都市に反旗を翻すことにした元学園都市協力機関の一団である。
タタラ傘下の組織にも学園都市協力機関はあり、サイエンスガーディアンから意向を打診してきている。それゆえ、タタラは『反学園都市サイエンスガーディアン』に協力するか否かの決断を迫られていた。口火を切ったのは、重役の一人。かねてからサイエンスガーディアンとの同盟に慎重だった男だ。
「やはり、奴等には学園都市と伍するのに十分な戦力があるとは思えませんな。高見の見物としゃれこむのが賢いでしょう」
それに反論するのは、若手の幹部。彼は以前から、学園都市の秘密主義に反発していた。多々羅道雄が『6人組』へと加入し、学園都市の技術がタタラに横流しされるようになってからは、学園都市嫌いがさらに悪化した。
「あり得ない!ここは協力して秘密主義の学園都市を打倒し、タタラの手で新たな秩序を作り上げるべきだ!」
激する若手幹部の言葉にゆっくりと反論するのは黒駒。
「……確かに我々は学園都市に対抗しうるP案件技術を多数保有している。だが、それが『反学園都市サイエンスガーディアン』と協力する事に直結するとは限らん」
ここでのP(=Para technology)案件技術とは、
そして当然、学園都市嫌いで頭の凝り固まった若手幹部は黒駒の反論にかぶせるように持論を展開する。その顔からは、明らかに無能への見下しが感じ取れる。黒駒のあまりに威厳の無い姿から、彼を侮っているのだ。
「お言葉ですが、戦力の問題であれば、学園都市はその貴重な技術の多くを卑劣にも隠しているのですから、十分な戦力がないのはむしろ当然なのでは?だからこそ、サイエンスガーディアンには学園都市から最新技術を盗み取った我等の助力が必要でしょう!」
ヒートアップする若手幹部とは逆に、黒駒は冷静だった。サイエンスガーディアンと学園都市との圧倒的な航空戦力の差について触れる。
「学園都市は自分たちに反逆する者には一切の容赦をしない上、学園都市の航空戦力は圧倒的だ。サイエンスガーディアンに属する者たちの拠点が逐一空爆されて終わりだろう。支援をする前に戦力が全滅しては元も子もあるまい」
その反論に若手幹部は痛い所をつかれたかのように激した。先の第三次世界大戦時に起こった、オカルトめいた出来事までをも持ち出して黒駒を言い負かそうとする。
「ですが、第三次世界大戦時には、学園都市製の爆撃機や戦闘機がいくつか落ちたという話でしょう!!それを成した勢力を引き込めれば話は変わります!!大体、
彼の言った
「『オトシブミ』はまだ試作段階だ。万が一誤作動を起こしてサイエンスガーディアンを逆に壊滅させれば笑い話にもならん。加えて、その学園都市の戦闘機が落ちた、というのは都市伝説レベルの話だろう。いるかもわからん連中に頼る方策が良いとは私には到底思えんな」
欺瞞!黒駒や多々羅は学園都市の戦闘機を落とした集団の素性を知っている!『鋼龍』所属の『鋳鉄工業』である!
そして今や、若手幹部は怒りで顔が真っ赤になっている。ゆえに、最終決定権を持つ男に判断をゆだねる!それは無論、多々羅道雄だ。
「会長!いかがお考えですか!」
レスバトルを静観していたタタラの幹部たちも、多々羅道雄の発言を固唾を呑んで見守る。そして、ゆっくりと多々羅は口を開く……!
「今回我々は、『反学園都市サイエンスガーディアン』に協力しようと思う。確かに黒駒の懸念も十分に検討すべきものだ。そもそも奴らに学園都市への明確な対抗手段がないこともありうる。だが、それは我々の技術提供で解消されるだろう」
多々羅はそこで言葉を止め、重役たちの顔を見渡す。
「……もし学園都市に我々のスパイがいることがばれた場合、学園都市はスパイを処分した上で我々を潰しに来るだろう。それに備え、学園都市に反発する者同士で同盟を組むのは悪い手ではない。空爆に関しては、明確に、ないと断言できる」
空爆は絶対にないと言い切った多々羅を、幹部たちはギョッとした目で見やる。そして幹部の各々が『もしや会長は乱心したのか』という思いを見せているのを見て、多々羅はゆっくりと言葉を続ける。
「……暫定で『反学園都市サイエンスガーディアン』の長となっているウェストランド=ストライニコフに話を聞いたところ、『グレムリン』なる胡乱集団を雇い入れたらしい。そして、その『グレムリン』とやらは第三次世界大戦時に起こったオカルトめいた力を操る者達のようだ」
多々羅が言っているのは、第三次世界大戦終盤に黄金の腕が突如世界各地に出現したことを言っている。タタラグループの
そのような、科学技術から明らかに逸脱した代物を操る者達が『反学園都市サイエンスガーディアン』に属している。その言葉で『反学園都市』というなかば子供の妄想めいた戯言が現実味を帯びたのか、重役たちは黙って多々羅の話に聞き入る。
「学園都市は反学園都市を掲げる連中を許しはしないだろう。だが、オカルトが絡めば、奴らも慎重になるはずだ。何せ、空爆をしてもあの黄金腕のような防壁を形成されれば、完全に無意味だからだ」
その言を最後に、多々羅は押し黙る。そして、会議の趨勢は、いかに『反学園都市サイエンスガーディアン』に支援を行うかにシフトしていった……。
『反学園都市サイエンスガーディアン』、絶対前々から根回しとかしてただろ……。そうでなきゃあんな鮮やかに反逆出来んぞ……。
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