……「とあるシリーズ」二次創作におけるアウレオルスのカット率は異常。
探検隊は、その理由を発見するために学園都市の奥地へ向かった……
0.錬金術師を〆よう!
―――『偶像の理論』とは、現代の魔術師にとって基本となっている理論である。具体的には、姿や役割が似ているもの同士はお互いに影響しあい、性質・状態・能力などとしても似てくると言う理論であり、この理論に基づき魔術を組み立てるのが近代魔術である―――
――三沢塾・隠し部屋――
「グッ……!」
錬金術師アウレオルス=イザードはうめいた。「あの子」を救う前に、こんな怪物に目をつけられてしまうとは。『
「クカカカッ!なるほどなるほど、おんし、存外やるではないか!『
指をクルクルと回しただけで『
「『
幸い怪物はお喋りに夢中だ。この隙に体制を整え、せめて姫神だけでも―
「
「……何?」
「だからのう、
「……間然、いったい如何なる思考にて我が思想に異を唱えるか!」
「……ア?
おどれ、まさか、ワシのいうことが嘘だと思うとんのけ?
どつくぞ、コラ」
怪物の言うことが信じられなかった。初めは自分の心を折るための嘘言かと思った。しかし、発言の力強さが、『「あの子」はもう救われている』という事実をまざまざと伝えていた。
この怪物の言うことが事実だとすれば、もう自分に「あの子」の隣に立つ資格は……
「……とか、考えとんのじゃろうけど。あのガキのために一肌脱いだだけ偉いじゃろ。ちょっと前に
怪物の言葉で、不本意ながらアウレオルスは落ち着きを取り戻した。それはあるいは、怪物の思考誘導の力によるものかもしれなかったが、そんなことはどうでもよかった。
怪物はさらに続ける。
「ちと遅かったが、おどれはあのガキのために頑張ったんじゃろ。そんなら、一番近くにはおれんでも、近くにおるぐらいは許されるじゃろ」
アウレオルスは、涙を流し始めた。
だが、怪物が癇癪をおこした小僧をなだめ終えた後めいて疲れたため息を出したこと、そのすぐ後に悪いことを思いついたかのように邪悪にほくそ笑んだことには気づかなかった。
――窓のないビル――
「……それで、三沢塾を掌握したアウレオルス=イザードを排除し、姫神秋沙を保護すればいいのですね?」
「その通り」
学園都市第七学区にある「窓のないビル」にて、イギリス清教『
そして、ステイルが「窓のないビル」から出ようとした時、それは起こった。
パン、と手拍子の音がしたかと思うと、ステイルとアレイスターとの間に、突然アウレオルスが出現したのだ。だが、アウレオルスの姿は、普通ではなかった。左前腕がフックに、右脚が粗末な金属製の義足へと変化していた。その上、顔色が悪く、まるで大量出血したかのような有様で気を失っていた。
驚く間もなく、ステイルとアレイスターの両者に見えるようにモニターめいた何かが表示され、怪人が映し出された。
『ハロー、ハロー!クソ共!元気しとるけ?』
ステイルは黒包帯の怪人を誰何する。
「貴様何者だ!」
『ワシけ?おんし、ワシのこと、知らんのけ!モグリけ、おんしは?そんなら教えたるわい!ワシはのう、おんしらがビビッてやまん、『鋼龍』のボス、ドローム・A・ヴィスタちゅう
「……何!」
『鋼龍』。それは
構成員の凶悪さは魔術サイド全体に知れ渡っていたが、そのボスについては情報が少ない。何故ならば、『鋼龍』のボスと戦ったと思しき魔術師は一人残らず絶命しているからだ。そしてそれが、魔術サイドが『鋼龍』との全面対決に対して及び腰の理由の一つであった。
ステイルの動揺を横目で見ながら、自称『鋼龍』のボス、ドロームが続ける。
『あ、そうそう。アレイスターよ。姫神秋沙たらゆうガキはワシんとこで預かっとる。三沢塾でな。ほんじゃま、ゴキゲンよ、ちゅうとこじゃな』
モニターめいた何かが消え、そのすぐ後にもう一度出現した。ステイルはすわ、何かの攻撃かと身構えたが、実際には自分には仔細の分からぬメッセージめいた何かであった。しかし、アレイスターにとってはそれは、運命が自分に遣わした悪夢のようなものだった。
『……言い忘れとったがの、アレイスター。ワシと”奴”は同格だ。おどれが”奴”やワシに直接ちょっかいかけてきたら、この街、全滅させるからな』
ステイルは、ビーカーの中に浮かぶ『人間』が怯えるのを初めて見た。それはまるで、隠していた己のトラウマを、無理矢理起こされたかのようだった。そして『人間』は、この科学の粋を集めた街が、ドロームにとっては単なるチョコチップケーキであると固く信じているようでもあった。
『人間』の突然の変化に戸惑う間を与えず、声は続けて言う。
『あ、それとの、小僧。そこのアウレオルスたらゆう男、粗略に扱ったら、おどれの首を絞めるぞー。なんてったってその男は、今までワシが殺りあった魔術師の中で一番ワシの手札を引き出した男だからのー』
そして、モニターめいた何かは消え去った。すぐに、アレイスターは怯えの隠せていない声でステイルに指示を下した。ステイルは粛々と受ける。拒否する選択肢は無いからだ。
「す、すぐに、奴をこの学園都市から排除しろっ!あの少年や、そこに転がっている魔術師の力を存分に利用してなっ!」
「……わかりました」
――三沢塾・隠し部屋――
「……長老、よかったのかぁ?奴らにあんなアドバイスめいたことを言ってぇ」
「クカカカ……今回はただの顔見せじゃぁ。あまりケンカ腰になってもアカンじゃろ」
ドロームはアレイスターと赤髪の小僧に対し、”お知らせ”をした後、自分の後ろに立っていた『鋼龍』の構成員の一人に言い聞かせる。
「十分ケンカ売ってた物言いだと思うけどなぁ……アレはぁ」
「本気でケンカ売る気なら、中指立てて『おどれのガキも無駄死にじゃったのう!親父がこんな箱庭で粋がるボケカスになっちまったんじゃからのォ!』ぐらい言ったるわい!……まだ、本気で殺り合う局面ではないっちゅうこっちゃ」
「オレ達だけでケンカ売っても十分勝てると思いますがぁ……ま、確かに『6人組』の他の連中の準備が整わねぇと『神は死んだ計画』は実行できませんしねぇ……」
ドロームが異世界からやってきた包帯怪人であるのと同様に、この構成員も普通の存在ではなかった。全身が機械に置換されており、顔以外はフードなしローブに包まれて見えなかった。彼は『
「それじゃ、このガキを
「ガキは撒き餌じゃ。コイツを獲りに、今に赤髪のガキが来る。ヘタレは……
「またそんなぁ……。知りませんよぉ。返り討ちに会って
「ケッ。そうなりゃせんとわかっとる癖に」
「……それじゃまたぁ」
呆れた調子の言葉を残し、『
そして、ドロームと『
これから『6人組』の連中やその部下による放言、暴言、迷言が次々出てきますが、どうか、どうか寛大な気持ちで読んでください……!
ぶっちゃけた話、アウレオルスって割といっぱいいっぱいの状況だったし、ちょっとした思考誘導ぐらいにはすぐ引っかかっちゃいそうな気がする……
※2023/09/10 改稿
※2023/11/08 加筆