とある外道の6人組   作:毛糸ー

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反学園都市サイエンスガーディアンの声明、長すぎない?


5.気づき

――ハワイ・カウアイ島・ナパリコースト・リンディ=ブルーシェイクの家跡地――

 

「嘘だろ……!?」

「灰に……なっちまっていやがる……!」

「…………!?」

 

 浜面仕上と合衆国大統領ロベルト=カッツェ、そして大統領補佐官ローズライン=クラックハルトは、オーレイの娘リンディの家跡地で呆然としていた。リンディの家は、『トライデント』か負業部隊(ふごうぶたい)かは分からぬが、いずれかのせいで焦土と化していたのだ。

 

 これでオーレイを止める方法はなくなったと絶望したローズラインだったが、後日驚くべき報告が舞い込んできた……。

 

――アメリカ・全国ニュース――

 

『臨時ニュースです。ブルーシェイク・ホールティングスのオーナー、オーレイ=ブルーシェイク氏が暗殺されました。氏が暗殺されたのはニューヨーク市内のホテルです。犯人が『オーレイを殺した』として自首したことで発覚し、実際にホテル内に遺体が確認されました』

『警察は怨恨の線で捜査を進めています。氏はハワイ諸島の一件に大きく関与している疑惑が立っていましたが、その矢先に暗殺された格好となります。そのため、ハワイの一件に関する捜査の難航が予想されます』

『加えて、氏の娘であるリンディ=ブルーシェイクも失踪しており、今後のブルーシェイク・ホールティングスの動きに注目が集まりそうです』

 

『次のニュースです。学園都市協力機関27社、()()()()()()()()()()による共同声明です』

(アナウンサーが原稿を取り出す)

 

『今回のハワイ諸島の問題に学園都市の人間が介入していた線が濃厚となり、この事実に対して非常に憂慮している。一国の政治、それも世界の警察と呼ばれる大国の流れをも安易に左右してしまう力は、我々の望むところではない』

『我々は学園都市と協力関係を構築することで互いの利益を増大させるために活動していたが、根は各々の国にある。今回のように、学園都市から人員が派遣されて国の歴史を簡単に動かされるようであれば、それは協力関係とは呼べない。我々は学園都市の部下でも奴隷でもないのだ』

『よって、我々主要協力機関二七社は、学園都市との協力関係を一方的に解消するものとする。これは我々の国を防衛するために必要な措置である』

 

(アナウンサーが原稿を置く。ニュース画面に会議室らしき部屋にいる多々羅道雄のバストアップが写る)

『長々と声明があったと思うが、我々が言いたいのは、学園都市の魑魅魍魎共、我々をあまり舐めない方がいい。貴様らが泰然として()()()()()のトップにいることができる時代は終わった。そういうことだ』

(ニュース画面は暗転。怯んでいるらしきアナウンサーが写る)

 

『せ、声明は以上です。今回声明を発表した……』

 

――新ホノルル国際空港跡地・臨時滑走路近くの待機場――

 

 レイヴィニア=バードウェイは、大勢従えている黒服の一人、マーク=スペースと今後についてやり取りをしていた。

 

「しかし……まさかタタラが反学園都市の動きに呼応するとは」

「ああ。あからさまな泥船に乗るほどタタラの会長はバカではないと思っていたが。……何か勝算があるのか?」

「どんな対応策があろうと、『グレムリン』に利用されて終わりでしょう。私は負業部隊(ふごうぶたい)の連中が気になります。アレはまさに、噂に聞く負業部隊(ふごうぶたい)そのものでした。異常な再生能力を持ち、魔術師相手でも恐れず殺そうとしてくる、悪夢のような兵隊そのもの……」

 

 マークが戦い、何とか下した負業部隊(ふごうぶたい)らしき兵の強さに戦慄していると、レイヴィニアは思いもがけぬことを言い出した。

 

「…………奴等とタタラは、繋がっている、かもしれんな…………」

「えっ?」

 

 驚くマークに、自分の予測を淡々と話しだすレイヴィニア。その声にはいつものサディスティックな響きは無く、何か巨大な陰謀の端っこを掴んだような戦慄があった。

 

「考えてみろ、マーク。タイミングが良すぎやしないか?()()()()()()()()()()()()()とはいえ、負業部隊(ふごうぶたい)の残党による介入は奴等にも予想できないもののはずだ。だが、あの声明ではそのことについて一切触れていなかった。まるで予定調和のようにな」

「で、ですが一体どうやって連絡を取り合うのです?」

 

 マークが連絡手段の不備について指摘する。実際、負業部隊(ふごうぶたい)を名乗った者たちは、今まで自分たちに居場所を掴ませていなかった。上手く連絡を取れるはずも無い。だが、レイヴィニアが返した答えはこれまた意外な内容であった……!

 

「『鋼龍』。奴等が操る奇妙な技術群の中に、通信技術に関するものがあれば、我々にも、学園都市にも悟られず連絡を取り合うことが可能だ」

「……その発想はいささか突飛では?あのゴロツキの集団と大企業が繋がっているとはとても……」

「だから、今回の件では『鋼龍』の連中を見つけ出されれば、奴等がタタラと負業部隊(ふごうぶたい)とのつなぎの役割を果たしている可能性はかなり高い。気をつけろ。妙な陰謀の匂いがする……」

 

――『ストレンジの九龍城』――

 

「ほーん……どないしような。あのクソガキ。殺しちまおうかのう」

 

 ドロームは『盗み見』でレイヴィニアの様子を見ながら残忍な企みを巡らす。それに気づいたチンピラが血の匂いを嗅ぎつけ、ドロームに近寄る。

 

「何だァ?また警備員(カス)共を始末しろってか?」

「いんや。魔術師じゃの」

 

 チンピラはそれに喜びの声を漏らす。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の相手をさせられるのはもうこりごりだったのだ。

 

「ヒャーッ!そりゃいいや!警備員(カス)風紀委員(クズ)共は張り合いがねぇと思ってたんだ!”元の世界”のマフィア共や『十人』と比べりゃ、兵器とオモチャみてぇなもんだ!早く殺させてくれよ……!」

「悪いが、『十人』よりは弱いと思うぞ」

「いやいや!『十人』より強い奴がいるなら、”この世界”じゃぁ伝説を持ち出さなきゃ追いつけねぇだろ!」

 

 ドロームは傲慢極まりない発言を咎めることはせず、むしろ期待させないようけん制する。『十人』とは、”ドローム達のいた世界”において、ドローム達と敵対していたマフィアの最高暴力執行機関の通称であり、その名通り構成員は十名が定員だ。

 

 そして実際、『十人』はそのテキトーな名前に似合わず、かなり強い。ドロームも多対一かつ目まぐるしいイクサの短時間とはいえ、『十人』の一部と戦いジリー・プアーの状況に陥ったこともある。

 

 話の弾んでいるドロームとチンピラに気付き、アーランズも寄ってきた。3人は話に花を咲かせ、恐ろしい計略や非道な殺戮計画について話し合った……。

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