とある外道の6人組   作:毛糸ー

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あっさり書けるやろと思ったら科学者共の部分で手こずった……。おかげで勧誘の流れが強引になっちまったァ……。


2.武装強盗と狂科学者達

――バゲージシティ・長廊下――

 

「誰もいねぇじゃねぇか!!」

「騒ぐな、コク。奴らに気付かれたらどうする」

(だが、妙だ。コクの言うことも分かる。全く学園都市の部隊と遭遇せんな……それも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()())

 

 凶悪なザン三兄弟は、学園都市の襲撃から3時間たっても学園都市の軍勢と全く交戦していなかった。ザン・ニンは大きな声で不満をがなり立てるザン・コクをたしなめながらも、その不自然さに眉をひそめる。妙と言えば、兄ザン・ギャクの様子もそうだ。

 

「………………」キョロキョロ

「……ギャクの兄貴は、何を見出したんだ?」

 

 そう。いつも茫洋とし、ここではない一点を見つめている視線を持つザン・ギャクが、何かを探し出さんとするかのようにキョロキョロしているのだ。そんな普段と違う兄の様子をいぶかしむザン・コクであったが、ザン・ニンとて、頭のネジが自分達よりさらに外れた兄の思考回路など分からぬ。

 

「さあな。オレ達には分からん何かが見えてるんじゃないか?兄貴には」

「……おいおい。今度は手を上に伸ばしだしたぞ。”元の世界”に帰ったら頭の医者に連れてった方がいいんじゃないか?」

「元々異様な精神状態だと言って匙を投げられているんだ。どうにもならんだろうが、間抜け」

「それもそうか!」

 

 二人の弟の話し声にも耳を貸さず、ザン・ギャクは腕を伸ばし、何かを掴もうとし続ける。それはまるで、道化師を糸ごと食いちぎらんとする蛆虫が如し……。

 

「……主演は・蛆虫・征服者…………」

 

 

 実際、ザン・ギャクが察知していたように、このバゲージシティで悲劇の幕を開けんとするものがいた。その名はトルネンブラ。”異世界”に住まうホス卿のしもべ。生ける音。そして、とびきりの悪趣味を持つ存在。

 

[[ヤハリ、、、彼ら{far away}にして正解 デシタ。アノ ###蛆虫### 、。、、共邪魔{genius} 。]]

 

 魔術に習熟し、『グレムリン』の狙いを知る読者の皆さんはいらっしゃるであろうか!?『グレムリン』はこのバゲージシティで己の企みを成就させ、その結果バゲージシティは何故か悲劇が起きやすい空間と化している……!!

 

 トルネンブラはその空間特性を利用し、()()()の生涯の目的をこれでもかとコケにしようとしているのだ。それを成功させるため、()()()()()を遠ざけていた。ここで言う()()()()()とは、間違っても異能を打ち消す右手を持つ少年ではない。

 

 ”この世界”の連中はあのガキを随分ありがたがっているようだが、自分達旧支配者にとってはそこらのゴミと変わらない。奴は殴れば死ぬ。それは生きた音である自分も変わらない。

 

 トルネンブラにとっての()()()()()とは、ドローム配下の連中だ。特に、あの下賤強盗めいた3人組の中で完全に頭がイッている目つきをしたあの男。奴は自分を()()()()。そして恐らく、生きた音である自分を殺す術を持っている……!

 

 それゆえ、彼は『悲劇が起こりやすい空間』を操作してドローム配下のゴロツキ共を事態の中心から締め出す。加えて、ドロームと同盟を組んでいるという”この世界”にいた胡乱団体の連中は()()()()()

 

 ()()()()()()()()使()()()()()と言えども、所詮”この世界”の無力な存在。()()()()の爆音にすら耐えられない。トルネンブラは”この世界”の連中を徹底的に見下しながら、()()()の人生の成果を()()しにかかる……。

 

――バゲージシティ・地下施設用リフト前廊下――

 

 木原乱数は苛立っていた。かねてからバゲージシティに潜り込んでいた自分達への援軍がいつまでたっても来ないことに。ついでに、今の所自分が担当するブロック内に人っ子一人見当たらないことに。

 

(チッ……外の連中、チンタラしすぎだっつーの。爆撃する音も全っ然聞こえねぇしよぉー、これはこの乱数ちゃんがこのバゲージシティを壊滅させてやるしかなさそうだよなぁーっ!!)

 

 自分の科学でバゲージシティを覆いつくし、学園都市に楯突く愚か者を一匹残らず全滅させようと決意し、足を速める木原乱数。彼の扱う科学は、脳に影響を及ぼす科学技術であり、カビによって散布した化学物質を用いて一種の感情を操作することを得意とする。

 

 そして足早に歩く木原乱数の目に、あからさまな地下リフトが現れる。木原乱数は嬉々としてそれに乗り込もうとする!

 

「これよこれだぜこれですよぉーっ!!全くバゲージシティの連中、何百万もいるのにどこに消えたと思ったら、こぉーんなあっからさまなシェルター作って引きこもってるとはなぁーっ!!タタラの連中、小賢しい真似してくれるじゃねぇのぉっ!!」

 

 意気揚々とシェルターに突入し、虐殺を繰り広げようとした木原乱数。だが、それを止める者がいた。

 

「待て」

 

 その声が聞こえた瞬間、木原乱数は訳も分からず硬直し、そして振り返った!そこにいたのは、リフト横の壁にもたれかかる、緑色のコートを着た、秀でた体格の男。その顔は人間じみていたが、全く人間のものではない。

 

 異様な迫力をかもしだす緑コートの男を前に、何も言えずにいる木原乱数。通常の彼ならば、有無を言わさずカビを吸わせ、なんなら遊び半分で殺害するであろう。だが、緑コートの男から放たれる、統括理事会会員の『()()』めいた()()()ともいうべき圧力を感じ取り、動くことができない!

 

 そんなことには目もくれず、緑コートの男は続ける。

 

「そちらのリフトから行けるシェルターには、避難した観客や戻ってきた地方住民しかおらんぞ。無抵抗の者を殺したという虐殺の汚名が欲しいなら止めはせんが」

「じゃ、じゃあ、反学園都市サイエンスガーディアンとやらの首脳陣とやらはどこに居やがるってんだ!?」

 

 体の謎の硬直に動揺する木原乱数の質問に、緑コート男はクツクツと笑いながら答える。否、答えたというのは不正確だ。彼は単純に、後ろの壁を親指で指差したのだ。木原乱数は何か謎かけめいて回答を保留するコート男に怒りを見せる!だが体は動かぬ!まるで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「そ、それが何なんだぁっ!?」

「ククク……分からんか。この壁が隠し扉となっておるのさ。多々羅の会長も面白いことを考える」

「なっ……!?」

 

 驚愕した木原乱数に、畳みかけるように語り掛けるは緑コートの男、ザゾグ・ザンリック!

 

「貴様には二つの道がある!一つは、私を殺し、これまで同様学園都市に服従し、つまらぬヒーロー共に怯え、アレイスターの畜生にいいように使われる道!もう一つは、私につき、ヒーロー共も、くだらんアレイスターの企みも、全て粉砕する道!……貴様はどちらを選ぶ!木原乱数っ!!」

 

 威風にうたれながらも、木原乱数の答えは決まっていた。

 

「き、決まってらぁ!てめぇ何ぞに誰が」

「アレイスターは、優秀な科学者である木原一族を右手だけが取り柄のツンツン頭のあの唾棄すべき、生まれてすぐに土に還るべきだったクソガキ一匹のために使いつぶそうとしているとしてもか?」

 

 力強い拒否の返事にかぶせて放たれた怒気に、木原乱数の全身は硬直!この硬直は、ザゾグの怒気にあてられたばかりではない……。ザゾグの暴言に実際思い当たる所があったせいである。

 

 実際、木原一族の中ではあまり地位の高くない木原乱数でも、アレイスターが上条当麻をやたら特別視しているのは見て取れる。それも、異常なほどに。

 

 木原一族が上条当麻のために使いつぶされるというのが目の前の男の妄言としても、アレイスターが進めているらしき計画の過程で木原一族が捨てられる、というのは十分在り得る話であった。

 

 それに、この男が何者かさっぱり分からない以上、何を隠し玉としているか分かったものではない。眼前の男から異様な圧を受け続ける木原乱数は、極限状態の中で視野が狭まっていた。ゆえに……

 

「……分かった。てめぇについて行けば、あの鬱陶しい上条当麻を始末できるんだな?」

「ククク……随分物分かりがいいじゃないか。私はザゾグ・ザンリック。学園都市で特殊能力総合研究所の所長をしているものだ。どうぞよろしく頼むぞ?木原乱数君?」

 

 自己紹介を聞いて半ばペテンにかけられた*1ことを悟り、誘いに乗ったことを後悔した木原乱数であったが、目の前の男から感じる圧力に逆らえるはずも無く、頷くしかなかった。

*1
学園都市の科学者であるなら、上条当麻に手を出せるはずも無く、アレイスターに逆らえるはずも無い。




木原乱数はとある版メンタリスト*1に魔改造していく予定です。ご期待ください。

*1
『ニンジャスレイヤー』に登場する敵ニンジャの一人。ゲン・ジツ(=幻術)を操る極めて強力なニンジャ。

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