助けてザン・ギャク!
――バゲージシティ・第一食糧工場――
トルネンブラは、自分が操る木原病理に突っ込んできた木原加群の腕を吹き飛ばすと、絶望的な表情をした小娘を見て、嘲笑う。音の世界に生きるトルネンブラの声は、物理的肉塊でしかない連中には奇妙な音に聞こえるようだが、大体の内容が伝わればよい……!
「ヒャヒャヒャ!無様ですねぇ!身の程知らずにも私に逆らった罪をか噛み締めながらのた打ち回るといいですよぉ!あなた方は私たちの楽しみのためにのた打ち回るぐらいしか存在意義がないんですからねぇ!!」
しかし、男は両腕の無い状態で立ち上がり、再度突進!先程より速い!出血多量で彼は死にかけているはずだというのに!……これは実際、木原加群、別名ベルシが持つ魔術によるものだった。
木原加群は学園都市から去った後、魔術結社『グレムリン』に加入した。そこで、自らに「一撃必殺の致命傷となる攻撃を確実に無効化する」術式と「傷を負うほど強くなる」術式を施したのだ。元は木原病理と相打ちになるための術式であったが、この冒涜者の一撃を受けた後さらに突撃するのにも役立った。
トルネンブラはこの変化を訝しんだものの、足払い音波で転ばせる。更に立ち上がろうとする彼を、更に転ばせ、腕を止血!彼の人生を嘲笑い
「ウプ……ウププププ!サイコーですねぇ!今のあなた、起き上がりこぼしめいて無様ですよォッ!!」
「お前ェェェェーーーッ!!!」
木原加群を探しに来た鞠亜は学園都市の学生であり、それ故に
……しかし、メイアルーアジコンパッソを放った雲川の体は、一撃を放つことなく途中で硬直!トルネンブラによる一種のネンリキである!無論、木原加群は転ばせ中だ!そして、彼女の動きをネンリキで止めた邪悪なる旧支配者は、非道な考えを巡らせ、そして邪悪に笑った。
「ちょうどいい!そんなにそこの死に損ないが好きなら、目の前で死なせてあげましょう!!」
そういうと、トルネンブラはネンリキで雲川の体を操作し、
聡明なる読者諸君は、トルネンブラが何を企んでいるか分かるであろうか?この外道音は、雲川の体を操作することで、転げる木原加群の前でゆっくりと雲川自害の光景を見せつけんとしているのである!無論、加群もそれを阻止しようとしている!だが、音波を遮る方法が見つからない!
「助けて、先生……!」
少しばかりネンリキの力を緩め、雲川の腕を震えさせるトルネンブラ。元教え子の懇願を聞いた木原加群は怒りのあまり全身に血管を浮き上がらせるが、残念なことに転げまわる事しかできない!このまま雲川は自害強要されてしまい、トルネンブラのいいように事態が進んでしまうのか……!?
だがその時、不思議なことが起こった!両者の顔が不自然に呆け、ここではないどこかを見始めたのだ!恐らく、このまま雲川を自害させても、雲川自身でさえ気づくことは無いだろう!しかし、トルネンブラにとってはそれでは困る!
このまま雲川を、もがく加群の前で自害させその絶望の表情を笑いものとするとともに、『グレムリン』なる胡乱組織にいるこの男を気にかける女を殺し、さらに
虚脱状態の雲川を抹殺し、正気に戻った加群にそれを見せつけるという方法をとっても良いが、やはり長年
トルネンブラは忌々しい妨害行為にいそしんだクソを探すため、ゆっくりとこの周辺にいる生命体をサーチし始めた……!
――バゲージシティ・第一食糧工場周辺――
トルネンブラのサイコーのプランが妨害される少し前!第一食糧工場で生産された野菜が入ったコンテナ(大破済み)の周辺に、二人の科学者がいた。ちょうど、木原加群たちと木原病理との対決が丸ごと見える位置だ。
「お、おいおい……正気か?今なんて言った?」
「耳がないのか貴様?……もう一度言うぞ。あそこにいる連中を皆幻覚で包み込め」
モーションキャプチャースーツめいた服を着てゴーグルをかけた軽薄そうな男は木原乱数。そして、緑のコートを着て、明らかにこの世ならざる怒気を発しているのはザゾグ・ザンリック……!そのザゾグは現在、木原乱数に無理難題を行うよう強要していた。
「無理ですって!カビはあそこまで届きませんよ!大体、木原加群は俺達『木原一族』の中でも最強格だぜ?幻覚程度で動きを止めるとは思えませんよ!」
「情けないことをほざくな。カビが届かんと言うなら、何とか届ける方法を考えるのが科学者だろう」
木原乱数は遠くの連中を幻覚に包みこむのは不可能だと反論するも、ザゾグは聞きやしない。ここに来る途中で倒れていた木原円周の作った謎機械をいじくりまわし、何とかカビを遠隔地に運ぶ機械を作り出さんとしていた。
「そんな機械をいじくった所で、あそこにカビは届きませんって。あのガキは木原の出来損ないなんですから」
木原乱数はそんなザゾグをたしなめる。実際木原乱数の言うとおり、木原円周は科学を悪用する『木原一族』としての特性が不十分である。……だがそれは、木原円周が愚かであることを意味しない!
「オロカモノガーッ!!」
「アイエエエッ!?」
ザゾグの極めて力ある罵倒により、すくみあがる木原乱数!その直後に、ザゾグはゆっくりと木原乱数を諭す。
「……例え木原一族でなくとも、優秀な科学者はいる。
「そ、それは分かりましたけど……実際そいつはカビを遠くに飛ばすのに役立つのかよ?」
急にキレて、急にトーンダウンしたザゾグの不安定さに引きながら、木原乱数はザゾグの手でいじくられている機械について尋ねる。それは銃とモーターを組み合わせたような無骨なシルエットの……武器らしきものだ。
「コイツは一種の衝撃波兵器だ。上手く使えばあそこまでカビを運ぶことも不可能ではない。……先程は幻覚を見せろと言ったが、奴らの動きを止められればなんでもいい」
「そんなら、ホースか何かをこの……銃口みてぇなとこにつけて、そこに一時的に心神虚脱状態になる化学成分を乗せたカビを詰め込めばいいっすね」
木原乱数とザゾグがそう段取りをつけた直後、壊れかけたラジオの不快周波数ノイズめいた音声が二人の耳を殴りつける!
[[ウクッ!ウクククッ! ひどいじゃないデスカ、。。。 、 {you}のフクシュー心を
「な、何だこりゃ!うるせぇぞ!全くなんて毒電波でしょうね……」
木原乱数は五月蠅い有害電波めいた音声の不満を共有しようと、ザゾグの方を見た。すぐに後悔した。明らかに先程よりも強く、この世ならざる怒気を放出していたからだ。ブラックホールが生じそうなほどに、眼下の光景を睨みつけながらザゾグは命令する。
「木原乱数。今すぐカビをあっちに送る準備を整えろ」
「アッハイ」
木原乱数はその怒気交じりの声を聞き、ほぼ思考停止状態で頑丈そうな筒を探す。それを尻目に、ザゾグは筆舌に尽くしがたい憎悪の表情を眼下の光景に向けながら、ノロイが籠っていそうな声色で怨み言を呟く……。
「一瞬で私をここまで怒らせたのは貴様が初めてだ……。貴様の計画、企み、思惑全て破綻させてくれる」
通常ならば、なぜあの声に憎悪を掻き立てられたのか、なぜあの声に
しかし、親友たる木原幻生の悲願を妨害した上条当麻、
円周が作っていた武器は忍殺のショックブラスターみたいなものです。範囲調節用のツマミはありませんが。