とある外道の6人組   作:毛糸ー

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木原乱数の口調が安定せんなぁ……。


6.この世ならざる蝗害

――バゲージシティ・第一食糧工場周辺――

 

「こ、コイツにはまる筒なんてないですよ……」

 

 木原乱数は憎悪の焔を背中から立ち昇らせるザゾグに、怯えながら話しかける。ザゾグは眼下の光景を恐ろしげなガーゴイルめいて睨んでいたが、やがて溜息をつき、木原乱数に向き直った。

 

「……学園都市の部隊はバズーカか何かを持ってきていないのか?」

「な、ない!あっても俺の手持ちの科学じゃあ壊せねぇ!」

「なら出力を上げるしかないな。何かバッテリーを持ってこい。接続する」

「バッテリーも……なさそうだ……」

 

 木原乱数は不機嫌極まるザゾグの声を受け、崩壊コンテナ群を見渡す。しかし、散らばっているのは野菜ばかり。バッテリーも、頑丈な筒も見つけられそうにない。それを悟り、ザゾグは先程より深い溜息をつくと、おもむろに無骨ショックブラスターを発砲!

 

KBAAAAAAM!!

 

 遠くの無傷コンテナが破砕!想定外の破壊力に木原乱数もザゾグも一瞬硬直!その後、想定外の破壊に冷静さを取り戻したザゾグが話し出す。

 

「……これだけ強力な衝撃波を出せるなら、コイツにカビをつけて飛散させれば十分あそこまで届くな。ガスマスクがあればなお良いが……我々まで幻覚に巻き込まれては洒落にならんからな」

「さっき倒れてた学園都市の部隊の奴等が付けてましたねぇ……ま、どうせ内部機構は壊れてますから、ダメ元ですが」

 

 そういって早足でガスマスクを取りに行く木原乱数。だが、すぐに戻ってきた。手ぶらかつ怪訝な表情で。

 

「学園都市の部隊の死体、ひとつ残らず消えてましたぜ。血痕が残ってましたんで、記憶違いではないと思いますが」

「何?……まぁいい。ならカビを打ち出したらさっさとここから立ち去るぞ。手早くやれ。自分で使った()で中毒になりたくはあるまい」

 

 そうして彼らは手早く衝撃波発生部分にカビを塗り付け、発砲!反動めいた衝撃波が彼らを襲う!無論、腕や手で鼻や口を覆い、何とかカビを吸い込まないようにせんとしている!

 

KBAAAAAM!!

 

 衝撃波!そして眼下で小娘と男の硬直を確認すると、即座に二人は走り出す!……その、数分後!

 

[[キ佐間ラァァァァッ!!!! ####虫共#### ガ!!!!! 欲モ ワタ94の<<<グレ ト計画>>>をパーにシテ呉オッテェェェェェェェエエ絵得江柄画エエェェッッッッ!!!!!!]]

 

 不快音ノイズめいた怒声が、彼らに襲い掛かる!すくみあがる木原乱数!だがザゾグの方は遁走しながらも謎の声に罵声を浴びせる!謎の声もそれに応じ、罵倒合戦と化す!

 

「壊れかけのラジオ紛いが。つまらんお遊びは貴様らの住処でやっておれ。実際つまらん三文芝居なんぞ見せるな」

[[脳を無く舌 ##学者## 風情ガ!! 役立た頭ノ ###落伍者### !ガ !!]]

「その役立たずにいいようにされたカスが、それなら貴様は何だ。実際貴様の演劇は見るに堪えんクソ茶番だぞ、五流の脚本家が」

[[ハン!! イクラ息が蝋と、木サマ ワタ4二 {cannot do anything}!!]]

 

ザリザリザリザリ!ガリガリガリガリ!

 

 そう謎の声が言うと、白いイナゴの群れが二人の背後から嵐めいて壁を削り取りながら現れる!それは実際、十字教の聖書で語られる蝗害めいていた!

 

「あ、あれは未元物質(ダークマター)!?追いつかれたら死んじまう!」

「……フン。前を見てみろ。どうやら奴は戦術家としても五流らしい。どうしようもない奴だ」

 

 奇怪な羽音を響かせる未元物質(ダークマター)の白イナゴを見て絶望的な悲鳴をあげる木原乱数に対し、ザゾグは前方に何もないのを見て余裕綽々の表情でいる!だが、その表情はすぐに凍り付いた!

 

[[###屑### ガ!ァ !ァァッ ! ]]

「アバー」「アバー」「アバー」「アバー」「アバー」「アバー」……「アバー」「アバー」

 

 黒板をひっかいたような不快極まるノイズの声と共に、前方から学園都市の部隊が現れる!だが……異様なアトモスフィアだ!ゾンビめいている!無論、謎の声、つまりトルネンブラに殺され操られた死体だ!

 

「死体が消えてたのはこういう訳かよ!」

「…………」BLAMBLAMBLAM!

「アバッ、アバー」

 

 急停止しながら謎死体消失のタネを悟った木原乱数!そしてザゾグは懐から護身用ピストルを取り出し、撃つ!だが、効果はない!傷がついた側から白い物質、未元物質(ダークマター)で修復されるからだ!

 

「ま、また未元物質(ダークマター)!?嘘だろ!?」

 

 それを見て、木原乱数は現実逃避めいて後ろを振り向く!だが、そこには彼らを磨り潰さんと迫る白イナゴ!あの声の主は相当に意地が悪いのか、木原乱数たちに恐怖を植え付けるように、ゆっくりとサイクロンめいた軌道を描かせながら死のイナゴの群れを接近させている……!

 

「アイエエエ!?こ、後門のイナゴ!?」

ザザザザザザザ!ガガガガガガガ!

 

 悲鳴をあげる木原乱数!そしてまた現実逃避めいて前方を振り向く!だが、ズンビーの壁は依然として顕在!ピストルは弾切れとなり、ザゾグもお手上げ状態!

 

「アイエエエ!?ぜ、前門のゾンビ!?」

「アバー」「アバー」「アバー」「アバー」「アバー」「アバー」……「アバー」「アバー」

「これはもう、駄目かもしれんな……打開策、何かないか?」

「あるわけねぇだろ!というか、あんたこそ打開策ねーのかよ!?」

「あいにく、このピストルで品切れだ。タックルでぶち抜こうにも、多すぎる。途中で肉の壁で止められて殺されるのがオチだろうな」

 

 肩をすくめるザゾグに、絶望した表情を向ける木原乱数。彼の幻覚は、眼前のゾンビにも、後ろの白イナゴの群れにも通用しない!このまま彼らは磨り潰されるのか…!?

 

「アバーッ!?」「アバーッ!?」「アバーッ!?」

 

 だが、ゾンビーの壁の統制が突如崩壊!背後からの襲撃者により、()()()()()()()()……!?ゾンビーの群れはザゾグ側に向かう者達とその逆に向かう者達に分かれ分裂!

 

[[アリ !エ! ナイ!? {that zombies}ハ 殺せ!ん!ハズ!?]]

 

 トルネンブラが奇怪機械めいた音を立てながらがなり立てるように、未元物質(ダークマター)を利用するゾンビー達は、物理攻撃でどうにかできる存在ではない。つまり……呪術的暗殺??だが、この世界の魔術師なる胡乱集団は気前がクソなのでここの連中に己の技術を供するはずも無し。

 

ガッシ!

「お、おい!?」

「舌を噛むぞ!イヤーッ!!」

CRAAAAAASH!!

「「「「「アバーッ!?」」」」」

 

 何故だ?何故あのゾンビー共が殺された??……そうトルネンブラが思ううちに、ザゾグは木原乱数を米俵めいて抱え、ゾンビーの群れに突撃!ゾンビーはほぼ不死ではあっても、踏ん張る力が悲惨で、なおかつ集団の分裂によりゾンビーの数が少なくなっていたため、ゾンビー集団は容易に突破される!

 

「アバーッ!?」

 

 丁度その時、ザゾグ側とは逆方向に向かっていた最後のゾンビーも()()()()()()。灰色の道の向こうに立っていたのは、メン・イン・ブラックの諜報員めいた男。刀を構え実際油断ならぬアトモスフィアを放っている……!

 

「保護しろ!俺達は実際無害な民間人で、あの変なイナゴに追われてる!」

 

 ザゾグはその男に対し、凄まじく図々しい口調で保護を要請!刀男は頷くと、ジェスチャーでついて来るように促す!

 

[[殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺ス!]]

[[ワタ4殺すノ 悪戯 殺す##邪####魔#### シテ {no殺す pay} デ済殺すむ 思!###!な###!!殺!す!!!]]

 

 殺意で裏返ったかのようなホワイトノイズめいた声を響かせながらトルネンブラはイナゴを悪趣味編隊飛行から確殺高速追跡へ移行させる!トルネンブラはそれを()()()()と、亡失状態を保っておいた雲川鞠亜と木原加群を弄ぶ作業に戻っていった……。




な、長い……長いぞ!
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