とある外道の6人組   作:毛糸ー

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一応、トルネンブラも旧支配者の一角なので、そうやすやすとはやられません。
例えサンシタだとしても、モータルとは隔絶した力の差があるのです。


9.決戦

――バゲージシティ・第一食糧工場の影――

 

「チクショウ!こんなので本当に分析できるんですかい!?」

 

 木原乱数は小型かつ粗悪な観測機を設置しながら、木原病理の展開する未元物質(ダークマター)を見据えて泣き言を漏らしていた。木原乱数の言うとおり、彼らが用意した観測装置は学園都市のものとは比べるべくもない代物であり、有用なデータが取れるかは怪しいと言わざるを得なかった。

 

 だが、本物の科学者は観測装置がなくとも実験結果を正確に推し量ることができる。例えば木原一族の上澄みのように。そして、木原乱数と共にいる胡乱科学者、ザゾグはその域の探求者であった。

 

「……グダグダと言う暇があったら自分が分析機器の代わりをすればいいだろうが」

「そんなことができんのは、数多さんや幻生さんくらいですよ……」

 

 木原数多、木原幻生は共に木原一族の中でも優れた者達であり、一族の中で中の下でしかない木原乱数に彼ら上澄みの如き所業をさせんとするのははっきり言って無茶ぶりであった。……分析機器について話し合う彼らの後方から、灰が何らかの機材を持ってきていた。

 

「……これらは何に使うつもりだ?」

 

 灰が言うように、彼の集めてきた機械群は、ぱっと見ただけでは何のために集められたかが分からない代物であり、ややもすればただのスクラップにすら思われかねなかった。ザゾグは乱舞する未元物質(ダークマター)を見ながら答える。

 

「……私の考えが正しければ、その機械群を上手く組み合わせればあのクソ乱舞を止めることができるはずだ」

「えっ……どうやってそんなことできるんだ!?」

 

 木原乱数が驚きと共にザゾグを見やる。彼が驚くように、未元物質(ダークマター)は大抵の物理現象をはねのける恐るべき物質である。それをどうにかするには、凄まじい異能の力を用いる他無いはずだが……?

 

「……あのクソ音に出来て我々に出来ないことがあるか?ないだろう?違うか?」

「アッハイ、出来る奴がいるんだから俺達に出来ないわけがないってことですね」

 

 空気を軋ませるが如き怒気を発したザゾグを見て、木原乱数は口ごたえを止め、分析機器とにらめっこする作業に戻る。意図的に意識をそらしていた灰は、やっとのことで言葉を発する。

 

「……それで、どうこのガラクタ共を組み合わせればいいんだ?」

「確かに、言われねば分からんな。手伝おう」

 

 ザゾグは灰と共に、未元物質(ダークマター)をどうにかするための機械を組み立て始めた……。

 

――バゲージシティ・第一食糧工場――

 

 一方、クソ音ことトルネンブラと交戦している者達はと言うと……苦戦していた。度重なる乱入でトルネンブラはキレた。キレたため、一切の自重を捨て去った。その結果が、これだ。

 

KABOOOOM!KAKAKAKABOOOOOM!

 

 無前兆爆発が連続!実際これはラップ音の類であるが、破壊力は段違いである!見よ、この爆発に巻き込まれたものの末路を!

 

KABOOOOM!

「アバーッ!?」

 

 『目覚め待つ宵闇』の構成員の一人が、体内から爆裂!中身がまき散らされる!何たるゴア光景か!だが、肉が寄り集まる。忌まわしき不死薬物の力で。トルネンブラもそれを見ているが、放置!もう一度吹き飛ばせばよい。再生している間は小賢しい真似は出来ぬと知っているからだ。

 

「いやはや!君らはどうやってあの無慈悲爆発を避けているのかな……!?イヤーッ!」

 

 アーランズは未元物質(ダークマター)蟲群を触手腕で薙ぎ払いながら爆発回避の秘訣をザン三兄弟に尋ねる。順調に無慈悲爆破に巻き込まれ、戦闘可能人員『目覚め待つ宵闇』とは対照的に、彼らは前兆無き爆発を上手く回避していた。

 

 アーランズの問いに対し、無知能ゴロツキらしく答えるのはザン・コク。『鋼龍』に所属する多くのチンピラ同様暴力に飢えている彼は、ハイになったままショットガンを乱射し、未元物質(ダークマター)蟲を的確に撃ち殺していく!

 

「ヒャヒャヒャァッ!そりゃお前、アトモスフィアを感じんだよォ!分かるだろォ!ミスティック魔術師なんだからよォ!ギャハァーッ!」BLAMN!BLAMN!BLAMN!

 

 アーランズは引き続き白致命蟲を殺し続けながら、ぞんざいな礼を返す!

 

「どうも全く参考にならないアドバイスをありがとう!もう少し具体的に伝えてくれるともっとありがたいんだけどね!?」

「主、流石にその言い方は……」

「おいそこ、危ないぞ」

「なっ……!?」KABOOOOM!

 

 そのアーランズをたしなめようとしたヴェイズの頭上から声がかけられる!天井に張り付いたザン・ニンだ!その言に従い回避行動をとった所、先程までヴェイズが立っていた場所に無前兆爆発!回避行動をとったヴェイズに向かっていた白蟲共は、ザン・ニンがクナイで迎撃している!

 

KKKKKKKBAM!KKKKKBAM!

「何だァ!?」

 

 天井でラップ音が連続!だが、ザン・ニンに攻撃が仕掛けられた様子はない!ザン・コクは音の原因を訝しんだ。……しかし、彼以外の者達には、音の正体はおおむね予測できていた。

 

「……奴さん、我々があまりにしぶといんで、天井を落とす気だな。せっかちな事だ」

「天井に小細工をしているという線もあるのでは?」

「…………兄者ァ!」

 

 雑談めいた様子の『目覚め待つ宵闇』とは逆に、ザン・ニンは兄ザン・ギャクを呼ばわる。この残忍な三兄弟の長兄は、現在トルネンブラと()()()()()()()。これは実際、ただの睨み合いではない。命の取り合いである。

 

 半情報生命体と化した彼の目には、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()つまりトルネンブラが写っていた。脳裏にかの存在の発言が響く。

 

[[・。。・。、。、・。、###虫### ガ ワタ4 ノ{plan}を<<<パー>>>にしようとスル野は{cannot}看過・。、・。・。、、。吹けば飛ぶイノチ『『★格安で買い取ります★』』]]

 

『01殺すか01000あのガキの代わりに00100101100』

BLAMN!BLAMN!SPRAAAAASH!

 

 凄まじく暴力に飢えた発言と共に、ソードオフ・ショットガンを抜き打ちするザン・ギャク。無論、打ち出される弾丸は質量を持つ情報の弾丸である!それを打ち払うトルネンブラ!

 

 この間、寒さに鳥肌が立つような無条件反射めいて、ラップ音爆撃は『目覚め待つ宵闇』+αと木原加群たちを襲い、またザン・ギャクが打ち込んだノロイがマリアンを苛んでいた。全てトルネンブラの仕業である。

 

 ノロイを打ち込んで白蟲共を半ば無効化はしているが……アレは無限の創造性を持つ物質であり、遅かれ早かれノロイは無効化されるだろう。その前に決着をつけねばならぬ。ザン・ギャクはさらに論理弾丸を撃ち込む!

 

BLAMNBLAMNBLAMN!

[[グ輪ーッ!? 木サマ 殺サツ!イ 矢 ッ!]]

『グ01ワーッ10011』

 

 ダメージを与えたところで返す刀で地面がめくれるほどの致命一撃!前転により衝撃を殺してもなお響く!これは実際、ザン・ギャクに対するカウンターのみならず、いまだ動作不良を起こす未元物質(ダークマター)蟲群を殺し続ける『目覚め待つ宵闇』+αを撹乱するための方策でもあった。

 

「グワーッ!?」

「何だこれは!?」

「助けてくれギャクの兄貴!何が起こってんのか説明してくれ!」

「黙れ愚弟!そう言って兄者が答えたことがあったか!?」

「ないな畜生!」

 

 実際肉を纏ったあのクソ共は右往左往の有様である!あとは未元物質(ダークマター)の変化を後押しし、眼前の胡乱狂気ヒットマンの仕込んだらしきノロイを排除すれば良し!トルネンブラはザン・ギャクに追撃をかけんとしたが……!!

 

SPRAAAAAASH!

[[ナ・。、。。・。。、。、。、。・ナンダ、コレハ・・・何だコレハーッ!?]]

「イヤーッ10」[[グワーッ]]「イヤーッ10」[[グワーッ]]「イヤーッ10」[[グ鵜ゥゥワアアァ唖ァーッ!?]]

 

 突如白蟲共が動きを止め、弾ける水滴めいて爆散!驚愕したトルネンブラの隙をついて、ザン・ギャクはバックラーとグラディウスを抜き放ち、幾度もトルネンブラに斬り付ける!

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